月刊誌『みすず』
2013年1/2月合併号は毎年恒例の「読書アンケート特集」です。今年も多種多様な本が挙がっており、たいへん参考になります。ジュンク堂書店池袋本店をはじめ、この「読書アンケート特集」をもとにブックフェアが開催されています。弊社からはバトラー『権力の心的な生』と、ド・マン『盲目と洞察』を出品しています。
読書アンケートで取り上げられた弊社の本は以下の通りです。まず、上村忠男さんが御自身のご高訳書であるアガンベン『
到来する共同体』に言及され、思想集団ティックーンの論文「ブルームの理論」を取り上げておられます。Théorie du Bloomはウェブ上でPDFが無料配布されています。
加藤幹郎さんはロザリンド・E・クラウスの最新評論集『Perpetual Inventory』を取り上げられ、その際、クラウス+ボワ『
アンフォルム』に言及されています。弊社の出版活動に過分のお言葉を頂戴しました。ジュンク堂書店難波店店長の福島聡さんには岡本源太『
ジョルダーノ・ブルーノの哲学』を取り上げていただき、「圧倒的な印象」と評していただきました。
李孝徳さんにはバトラー『
権力の心的な生』を取り上げていただきました。ベル・フックス、チャンドラー・モーハンティ、ジェルメーヌ・ティヨンらの訳書とともに、「長らく邦訳が待望されていたフェミニズム・ジェンダー論の著作〔…〕いわゆる学術では終わらないフェミニズムの射程にあらためて深い感銘を受けた」と記されています。
巽孝之さんはポール・ド・マン『読むことのアレゴリー』(岩波書店)を取り上げられ、弊社の『
盲目と洞察』にも言及していただきました。「デリダの盟友ド・マンの理論的本質をふまえて初めて、脱構築は歴史化されるとともに、歴史そのものが脱構築であることも実感されるだろう」と指摘されています。國分功一郎さんにも『盲目と洞察』を取り上げていただきました。「静謐さと倫理を精密に組み立てた構築物」であるド・マンの文章を「実に見事に日本語に移し替えた」と評していただいています。また、十川幸司さんにも人文書の翻訳もので強い感銘を受けたものとして『盲目と洞察』を挙げていただきました。
特に弊社の訳本を指定していただいたのではないのですが、鵜飼哲さんはヴィリリオ『民衆防衛とエコロジー闘争』に言及しつつ、一年を振り返っておられます。杉橋陽一さんには片山廣子『
野に住みて』を取り上げていただきました。「彼女の短歌はケルトとも繋がっているのがおもしろい」と評していただきました。写真家の大島洋さんには中平卓馬『
都市 風景 図鑑』を取り上げてくださり、「時代を彷彿とさせる」と書かれています。
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さて現在、東京堂書店神田神保町店の3Fでは、土田知則さんの選書によるブックフェア「
ポール・ド・マン・ルネサンスのために」が開催されています。選書コメントを集めた小冊子(写真右)が無料配布されています。また、先日も告知しましたが、明日2月6日18:30より、同店6Fの「東京堂ホール」にて、ブックフェアと同名の
トークセッションが行われます。土田さんと巽孝之さんの対談です。参加費は800円(ドリンク付)で、要予約(電話03-3291-5181)です。ブックフェアを担当されているMさんが司会をおつとめになられます。