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2013年 01月 14日

注目の近刊、新刊:『社会的なもののために』ナカニシヤ出版、ほか

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社会的なもののために
市野川容孝(いちのかわ・やすたか:1964-)+宇城輝人(うしろ・てるひと:1967-)編
ナカニシヤ出版 2013年1月 本体2,800円 A5判並製392頁 ISBN978-4-7795-0724-3

帯文より:ソーシャルの再生にむけて。平等・連帯・自律を志向する理念としての〈社会的なもの〔ソーシャル〕〉。暗闇の時代に、その潜勢力を来るべき政治にむけて徹底的に討議する。

「はじめに」より(xiv-xvi頁):本書が一貫して問題にするものの一つは、政治的な理念としての社会的なものである。しかし、本書は政治的なマニフェストではない。社会的なものが何であったか、何でありうるかを正負両面で批判的に問いなおすことが、本書の目的である。その意味で私たちは、社会的なものを学問的に問いなおしたつもりである。本書は政治的マニフェストのはるか手前、あるいはその後ろに位置するものでしかない。[…]各章は、基調報告とそれをふまえた討論からなる。各章の討論を通じて、私たちは見解の一致を見るよりは、その相違や対立に数多く直面することになった。このようなせめぎ合いは、社会的なものがこれからしばらく経験しなければならない闇夜の深さを告知している。しかし、このようなせめぎ合いなしには、その再生も決してありえないだろう。少なくとも私はそう考えている。

目次:
はじめに(市野川容孝)
第一章 ネオリベラリズムと社会的な国家
 基調報告(市野川容孝)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・北垣徹・酒井隆史・中野耕太郎・前川真行)
  一、連帯の可能性を問う
  二、何をどのように社会化するか?
  三、社会的な統治の拠点をつくるには
第二章 労働はまだ社会的なものの基盤たりうるか
 基調報告(宇城輝人)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・酒井隆史・前川真行・道場親信・山森亮)
  一、「賃労働社会」の再検討
  二、労働社会のディストピア
  三、労働の排他性と必要に応じた分配
  四、ディストピアをどう回避するか
第三章 社会的なものと/の境界
 基調報告(宇野重規)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・北垣徹・酒井隆史・中野耕太郎・前川真行・山森亮)
  一、市民宗教――社会的なものの臨界?
  二、都市――社会的なものの場所?
  三、移動と移民――社会的なものの試金石?
第四章 社会的なものの認識の歩みとデモクラシーの未来
 基調報告(小田川大典)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・北垣徹・斎藤光・前川真行)
  一、生命の発見と社会的なもの
  二、アレントをどうとらえるか
  三、議会制民主主義と社会的なものへの意志
第五章 日本における社会的なものをめぐる抗争
 基調報告(酒井隆史)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・川越修・斎藤光・酒井隆史・前川真行・道場親信)
  一、社会的なものと植民地の問題
  二、都市という問題
  三、二重構造と日本における社会的なもの
第六章 〈3・11以後〉と社会的なもの
 基調報告(前川真行)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・前川真行)
  一、撤退する国家
  二、中間集団と公共性
  三、地方を収奪する中央
  四、原発と社会的所有
おわりに(宇城輝人)

★18日取次搬入予定。本書の二人の編者を代表とする共同研究「社会的なものの思想史」より派生した座談集で、遠からず論文集も刊行されるとのこと。今回の座談集では研究者たちによる熱のこもった討論が読者を惹きつけます。「まえがき」によれば、本書の各章の焦点は以下の通りです。

「第一章「ネオリベラリズムと社会的な国家」では、ネオリベラリズムがそもそも何であるかを問う。社会的なものの理念はどのような意味でネオリベラリズムに対抗しうるのか。両者はいかなる点で異なるのか。
 第二章「労働はまだ社会的なものの基盤たりうるか」では、労働を基盤としたこれまでの社会的なものをふりかえりつつ、これが失効するのであれば、何がその基盤となりうるのかを問う。ベーシック・インカムその他の構想は、いかなる可能性を秘めているのか。
 第三章「社会的なものと/の境界」では、これまでの社会的なものが、国民国家をはじめとしたさまざまな境界を同時に設定してきたことを問いなおす。社会的なものはそれらの境界を超えられるのか。社会的なものは、そもそも境界なしに成立しうるのか。
 第四章「社会的なものの認識の歩みとデモクラシーの未来」では、ハンナ・アレントに代表される社会的なものと政治的なもの(とりわけデモクラシー)という弁別を差し当たっての出発点としながら、両者がどのような関係にあったのか、また、どのような関係をとり結べるのかを考える。
 第五章「日本における社会的なものをめぐる抗争」では、近現代の日本に焦点をあて、そこで社会的なものがどのように生成したのか、またいかなる可能性がそこで塞がれたのかを考察する。
 第六章「〈三・一一以後〉と社会的なもの」では、東日本大震災の後で、社会的なものを構想するとは、いかなることなのかを問う。この未曾有の災害と破局を前にして、社会的なものを語り続けることは可能なのか」(xv頁)。

★かつて90年代後半から00年代前半にかけては「公共」をめぐる議論がさかんでしたが、10年代の思想的政治的課題においては、本書が焦点化しているような「社会(的なもの)」への注目がますます高まると思われます。その意味で、この座談集はこれからの人文社会書の潮目になるものではないかと感じます。なお、本書の参加者は以下の通り。

市野川容孝(いちのかわ・やすたか:1964-。社会学。東京大学大学院総合文化研究科教授)
宇城輝人(うしろ・てるひと:1967-。社会学・社会思想史。福井県立大学学術教養センター准教授)
宇野重規(うの・しげき:1967-。政治思想史・政治哲学。東京大学社会科学研究所教授)
小田川大典(おだがわ・だいすけ:1967-。政治思想史・政治哲学。岡山大学大学院社会文化科学研究科教授)
川越修(かわごえ・おさむ:1947-。社会経済史。同志社大学経済学部教授)
北垣徹(きたがき・とおる:1967-。社会学・社会思想史。西南学院大学文学部教授)
斎藤光(さいとう・ひかる:1956-。科学史。京都精華大学人文学部教授)
酒井隆史(さかい・たかし:1965-。社会思想史。大阪府立大学人間社会学部准教授)
中野耕太郎(なかの・こうたろう:1967-。アメリカ現代史。大阪大学大学院文学研究科准教授)
前川真行(まえがわ・まさゆき:1967-。思想史。大阪府立大学地域連携研究機構生涯教育センター准教授)
道場親信(みちば・ちかのぶ:1967-。社会運動史。和光大学現代人間学部准教授)
山森亮(やまもり・とおる:1970-。社会政策。同志社大学経済学部教授)


ポスト3・11の科学と政治
中村征樹(なかむら・まさき:1974-)編
ナカニシヤ出版 2013年1月 本体2,600円 四六判上製308頁 ISBN978-4-7795-0722-9

版元紹介文より:科学をめぐるポリティクスのありようを問う。東日本大震災は、科学をめぐる政治(ポリティクス)のありようをさまざまな局面で浮かびあがらせた。放射能汚染や低線量被爆、被害者の抱える苦悩、専門家のあり方、震災被害の経済的社会的背景、現代科学技術のあり方など、震災によって浮き彫りになったいくつかのトピック・テーマに注目し、「科学技術社会論(STS)」の立場から問題の構図を明らかにしようとする試み。

目次:
はじめに(中村征樹)
第1章 食品における放射能のリスク(神里達博)
【キーワード】欠如モデル(伊勢田哲治)
第2章 奪われるリアリティ――低線量被曝をめぐる科学/「科学」の使われ方(調麻佐志)
【キーワード】利益相反(中村征樹)
第3章 科学的根拠をめぐる苦悩――被害当事者の語りから(八木絵香)
【キーワード】科学技術への市民参加について(渡部麻衣子)
第4章 科学技術をめぐるコミュニケーションの位相と議論(田中幹人)
【キーワード】ポスト・ノーマル・サイエンス(有賀暢迪)
第5章 複合的災害、その背景にある社会(標葉隆馬)
【キーワード】現場知(立石裕二)
第6章 原子力事故の「途方もなさ」をいかに理解するか――ハンナ・アーレントの近代批判を導きとして(平川秀幸)
【キーワード】研究の「社会実装」――サイエンス・メディア・センターという試み(田中幹人・難波美帆)
おわりに(中村征樹)
索引

★18日取次搬入予定。同時刊行の『社会的なもののために』に負けず劣らずこんにちもっともアクチュアルな問題圏のひとつと言える「科学技術社会論(Science, Technology and Society; Science and Technology Studies)」を、東日本大震災の事例によって掘り下げていく意欲的な論文集です。「はじめに」によれば本書の内容構成は次の通り。

「一章では、食品の放射能汚染問題をとりあげる。食品放射能に対する市民の不安、またそれに対する行政対応のあり方などに注目することで、放射能の「リスク」をめぐる政治性について考える。
 二章では、さまざまな議論のある低線量被ばく問題を取り上げる。一〇〇ミリシーベルト未満の低線量の被ばくが健康に与える影響について、人々の受け止める不安の背後にどのような問題があるかを検討する。
 三章では、「被害者」の抱える苦悩に注目する。JR福知山線事故の被害者の言葉に耳を傾けることを通して、科学では見えてこない被害当事者の苦悩のありかたを見ていく。
 四章では、震災で浮き彫りになった専門家と社会とのコミュニケーションの課題について検討する。そして、震災後の科学技術をめぐるコミュニケーションのあり方について問題提起を行う。
 五章では、東日本大震災における被害のありようを検討する。被害の規模・性格の地域による違いを分析していくと、震災被害をめぐる構造的問題が浮き彫りになってくる。
 六章では、よりマクロな視点から、今回の深刻な被害をもたらした現代科学技術のあり方について考える。哲学者ハンナ・アーレントの議論をてがかりに、私たちが科学技術とどのように向かい合っていくべきかが検討される」(viii-ix頁)。

★本書の分類コードはC0036で「社会」ですが、内容的には科学(理工書)にも政治にもかかわりがあります。書店さんにとって本書は社会学、政治、科学を横断させるための格好の素材になると思われます。リアルな社会問題の究明を書棚で表現しようとする時、文系理系の縦割り分類はかえって邪魔になります。ブルーノ・ラトゥールやポール・ヴィリリオ、ジャン=ピエール・デュピュイなどもそうですが(あるいはスティーヴン・トゥールミンやエドガール・モランらも併せていいかもしれません)、越境的な研究者や京急書をピックアップし、科学哲学棚をもっと効果的に盛り上げていくといいような気がします。

★本書の執筆者は以下の通りです。

中村征樹(なかむら・まさき:1974-。大阪大学全学教育推進機構准教授。科学技術社会論・科学技術史)
神里達博(かみさと・たつひろ:1967-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授。科学史・科学技術社会論)
調麻佐志(しらべ・まさし:1965-。東京工業大学大学院理工学研究科准教授。科学計量学)
八木絵香(やぎ・えこう:1972-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
田中幹人(たなか・みきひと:1972-。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース准教授。科学/ジャーナリズム/インターネットの境界領域研究)
標葉隆馬(しねは・りゅうま:1982-。総合研究大学院大学先導科学研究科助教。科学技術社会論)
平川秀幸(ひらかわ・ひでゆき:1964-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授。科学技術社会論)
伊勢田哲治(いせだ・てつじ:1968-。京都大学大学院文学研究科准教授。科学哲学・倫理学)
渡部麻衣子(わたなべ・まいこ:1979-。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院情報学環所属。科学技術社会論)
有賀暢迪(ありが・のぶみち:1982-。立教大学兼任講師・電気通信大学非常勤講師。科学史)
立石裕二(たていし・ゆうじ:1979-。関西学院大学社会学部准教授。科学技術社会学)
難波美帆(なんば・みほ:1971-。早稲田大学大学院政治学研究科准教授)

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彼女は何を視ているのか――映像表象と欲望の深層
竹村和子(たけむら・かずこ:1954-2011)著
作品社 2012年1月 本体2,600円 A5判上製304頁 ISBN978-4-86182-418-0

帯文より:私たちの性意識や欲望は、映像・映画によっていかに創られているのか? 惜しくも急逝した、日本を代表する批評理論家・竹村和子が、その理論・思想を映像分析に応用した、挑戦的ジェンダー映画論。トリン・ミンハとの対話、レイ・チョウ、ローラ・マルヴィとの対論も収録。

目次:
プロローグ ハリウッドと同性愛表象
フィルム・レヴューcolumn 異性愛を洗脳するハリウッド
第I部 レズビアン表象/ホモソーシャルの陰影
 第1章 「欲望」の「夢」の出来事を生きれば――『マルホランド・ドライブ』をとおって
 第2章 「噂」の俳優――グレタ・ガルボをクィアに見る
 第3章 カミングアウトして、どこへ――ジュディス・バトラーとレズビアン映像表象
フィルム・レヴューcolumn 『ナイトレイト・キス』バーバラ・ハマー、一九九二年
第II部 女同士の絆/[ヘテロ]セクシズムの攪乱
 第4章 イヴからマドンナ、ラスベガス・ダンサーへ――対象化と同一化の終わりなき物語
 第5章 〈悪魔のような女〉の政治学――女の「ホモソーシャルな欲望」のまなざし
 第6章 忘却/取り込みの戦略――バイセクシュアリティ序説
フィルム・レヴューcolumn 『夜の子供たち』アンドレ・テシネ、一九九六年、フランス
第III部 暴力と美学/動員されるエロス
 第7章 死の領有――戦争映画と純愛物語が交差するところ
フィルム・レヴューcolumn 笑いと麻痺の戦争証言――『陸に上がった軍艦』二〇〇七年
 第8章 マゾヒスティック・エイジェンシーの(不)可能性――アブグレイブ写真・『ソドムの市』・『ドッグヴィル』におけるプンクトゥムと暴力
フィルム・レヴューcolumn 「アメリカ」のロリータ、あるいは空間の記憶喪失――『ロリータ』一九六二年・一九九七年
第IV部 メタ映像論/偶発性と歴史性
 第9章 責任あるエイジェンシー――ポストモダニズム、ポストコロニアリズム、フェミニズム
 第10章 〈現実界〉は非歴史的に性化されているか?――フェミニズムとジジェク
第V部 応答による批評実践
 第11章 レイ・チョウへの応答
  日本におけるアメリカ研究、アメリカ研究における日本――異言語的な聞き手への語りかけの構えの挑戦 (レイ・チョウ/山口菜穂子・内堀奈保子訳)
  異質性と友情――アメリカ研究とジェンダー研究 (竹村和子/内堀奈保子訳)
 第12章 ローラ・マルヴィへの応答
  ニュー・テクノロジーから観る (ローラ・マルヴィ/水野祥子訳)
  穿視〔せんし〕する観客/行為者――デジタル・テクノロジー時代の〈死〉に漸近する観客の快楽 (竹村和子)
第VI部 トリン・T・ミンハとの対話
 第13章 〈愛のお話〉と表象の可能性――覗き見るもの/見られるもの (トリン・T・ミンハ/竹村和子)
 第14章 ポストコロニアルなスタンス――トリン・T・ミンハを読む
フィルム・レヴューcolumn 間隙を生きる/語る――トリン・T・ミンハ「境界線上の映画」一九九九年

解説 穿視する女〔ひと〕 (新田啓子)
あとがきにかえて (河野喜代美)
ビブリオグラフィー
フィルモグラフィ/インデックス

★発売済。2011年12月13日に惜しくもガンで亡くなられた著者による未完の書が、残された友人たちの手によって再構成され一冊となりました。附録小冊子として「竹村和子さんと〈チームK(和子)〉」(大島美樹子・河野貴代美・篠塚英子)、全16頁が付属しています。編集を担当されたUさんからいただいたプレスリリースによれば、本書は「批評理論を映像・映画に応用し、いかに私たちの性意識や欲望がハリウッド映画などの「異性愛の洗脳装置」によって構築されてきたのか」、また「現在、いかに映画がジェンダーをめぐる攪乱の場となっているのか」を論じた、刺激的な映画論となっているとのことです。私が初めて竹村さんの謦咳に接したのは、トリン・T・ミンハさんの来日時でした。終始にこやかで友愛に満ちた竹村さんの振る舞いを思い出します。


虚実亭日乗
森達也(もり・たつや:1956-)著
紀伊國屋書店 2013年1月 本体1,700円 46判並製376頁 ISBN978-4-314-01100-6

帯文より:森達也、悶える! 異文化の境界で、憎悪の連鎖する世界で、生死の淵で、異国の女子トイレで…逡巡し、葛藤し、煩悶する日々を私小説風に描き、フェイクドキュメンタリーを活字で試みる意欲作。

目次:
虚実皮膜に悶える南京
禁煙に悶える南京
善悪の狭間で悶える南京
異文化の境界で悶える南京
業界の片隅で悶える南京
罪と罰の狭間で悶える南京
ホンオフェに悶える南京
生死の淵で悶える南京
主観と客観の隙間で悶える南京
夢と現実の境界で悶える南京
異国の女子トイレで悶える南京
厳罰と寛容の狭間で悶える南京
憎悪の連鎖する世界で悶える南京
アフマディネジャドの謎に悶える南京
正義と悪のパラドックスに悶える南京
連載打ち切りに悶える南京
ハブとイラブーとアフリカマイマイに悶える南京

★発売済。担当編集者のAさんからいただいたプレスリリースによれば、本書は「歯切れよく断言する人がカリスマとしてもてはやされる今の日本で、物事を単純化せず、違う角度から眺めてみること、考え込んで煩悶すること」で「日本社会のタブーに切り込」んでいった一冊、とのことです。目次を一瞥すると「異国の女子トイレで悶える」というくだりがつい気になりますが、これはノルウェーでのむしろ「良い話」に属するエピソードです。個人的には主人公の緑川南京(ナンキョウ、と読むそうです)が交通事故で入院した際に枕元に積んでいた本の数々の「取り合わせ」が実に興味深く、著者の森さんの書斎をほんの少しだけ覗き見できた気分になりました。

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テーマ別 世界神話イメージ大百科
クリストファー・デル著 前田耕作日本版監修 花田知恵訳
東洋書林 2013年1月 本体9,500円 B5変形判上製352頁 ISBN978-4-88721-810-9

帯文より:名画の集う〈原型〉の万神殿! 詩精〔ムーサ〕よ、〈観念〉〔イデア〕よりまず〈形象〉〔イメージ〕を与え給え! 82のモティーフに分類された東西の伝承譚〔ミュトス〕を概説し、照応する著名絵画、秘画、部族芸術400余点を集載。智慧の実を食べた者どもの心裡に兆した、世界意思とも言える創造の躍動〔ダイナミズム〕を直感的に俯瞰する視覚全書!

カバーソデ紹介文より:汲めども尽きぬイメージの源泉……神話はあらゆる表象の母であり、今もそうあり続けている。時空の際〔きわ〕で語られた多義的なこの物語群は、人類の営為の深いあわいを暗示し、であるからこそ幾多の創作家たちを触発してやまない。人間世界を照らす鏡である神話の数々を地域ではなく共有する主題によって横断し、選り抜かれた図版の交響によって鬱蒼たる〈記憶の森〉の冒険行へと誘う。

原書:Mythology: The complete Guide to Our Imagined World, Thames & Hudson, 2012.

目次:
序章
第1章 超自然の領域
第2章 地上
第3章 人間
第4章 神々からの贈りもの
第5章 動物の世界
第6章 象徴的〔シンボリック〕な物たち
第7章 英雄
第8章 探究、長い旅、そして叙事詩
世界神話・概要
日本版あとがき
参考文献
図版出典
索引

★発売済。神話世界を表現した芸術作品全般が好きな私にとって非常に楽しい一冊です。オールカラーの図版の数々を一瞥するだけでもゆうに一時間以上はかかります。ことしの干支である「蛇」についても、エジプト「死者の書」のサタ神や、インドの水神ナーガ、千の頭をもつ大蛇シェーシャなどを見ることができます。むろん、イヴをそそのかした古き蛇も。神話別ではなく、モチーフ別に神話を横断してまとめられているというのがミソです。時代を超え、場所を越えてそこかしこに繰り返し現れるイメージ群をめぐる探求の旅には終わりがないようです。


ビジュアル版 アメリカ大統領の歴史大百科
ジョン・ロウパー著 越智道雄訳
東洋書林 2012年12月 本体9,500円 A4変形判上製264頁 ISBN978-4-88721-811-6

帯文より:誰よりも激しく「世界」を夢見た44人の国父の肖像! 独立戦争の前夜から人種分断に風穴をあけた元首の再選まで、各政権間の里程標〔マイルストーン〕を交えながら、辛苦〔たしな〕みつつ荒れ野を降る主導者のゆくたてをつぶさに語り、超大国の250年を総括する全128項! ファーストレディ小伝、各州の連邦加盟データなどのコラム170本、フルカラー図版460点付。

カバーソデ紹介文より:大統領制は米国政の主柱であるとともに、世界随一の発言力を個人に付託する強大な権威である。21世紀において、ワシントン、ジェファスン、リンカーン、ウィルスン、そして2人のローズヴェルトに比較しうる「英雄」、キャプテン・アメリカは果たして現れるのか?――米大統領44代の光と影を順行し、次代の人物像を見晴るかすビジュアル歴史全書。

原書:The Complete Illustrated Guide to the Presidents of America, Anness Publishing, 2008.

目次:
序文
歴代大統領一覧
第Ⅰ部 18・19世紀の大統領 1754-1901
 第1章 ジョージ・ワシントン、ジョン・アダムズとアメリカ合衆国の建国(1754-1801)
 第2章 トマス・ジェファスンからジェイムズ・モンローまで(1801-1825)
 第3章 ジョン・クインシー・アダムズからジェイムズ・ポークまで(1824-1848)
 第4章 ザカリー・テイラーからアンドルー・ジョンスンまで(1849-1869)
 第5章 ユリシーズ・S・グラントからウィリアム・マッキンリーまで(1869-1901)
第Ⅱ部 20世紀以降の大統領 1901-
 第6章 セオドア・ローズヴェルトからウドロウ・ウィルスンまで(1901-1921)
 第7章 ウォーレン・ハーディングからフランクリン・D・ローズヴェルトまで(1921-1945)
 第8章 ハリー・トルーマンからジョン・F・ケネディまで(1945-1963)
 第9章 リンドン・B・ジョンスンからジミー・カーターまで(1963-1981)
 第10章 ロナルド・レーガン以降(1981-)
補遺――オバマ再選までの道程
訳者あとがき
索引

★発売済。全世界にとっての「公人」として明々白々たる可視性のもとにある存在でありながら、時としてその周囲が深い闇に包まれ、けっして解き明かされることのない謎をまとってもいるアイコン、米国大統領。新聞や歴史書に書かれた姿だけでなく、都市伝説や奇妙な歴史的符合をも影として飲み込むその存在感は、私たち日本人にとっても無視できないものです。そんな歴代大統領を、豊富な図版と史実で一望させてくれる便利な本が出ました。建国時や戦後の人物は比較的に思い出しやすいですが、それ以外の人々は名前すら知らない場合が多いのが普通です。日本の歴代首相についての本(たとえば御厨貴編『歴代首相物語』新書館、2003年)などと一緒にひもとくといっそう興味深いものがあると思います。
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by urag | 2013-01-14 23:30 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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