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2012年 07月 22日

注目新刊:2012年7月、ベルサーニ『親密性』洛北出版、ほか

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親密性
レオ・ベルサーニ+アダム・フィリップス著 檜垣立哉+宮澤由歌訳
洛北出版 2012年7月 本体2,400円 四六判上製252頁 ISBN978-4-903127-16-3
帯文より:暴力とは異なった仕方で、ナルシシズムを肥大させるのではない仕方で、他者とむすびつくことは可能なのか? これが、本書で考察されている問いである。

原書:Intimacies, The University of chicago Press, 2008.

★発売済。ベルサーニの訳書は99年に青土社から刊行された『フロイト的身体』以来久しく出ていませんでした。洛北出版さんのウェブサイトで第2章「恥を知れ」の一部(62-72頁)を立ち読みできますが、第2章は本書の山場で非常に刺激的な議論が展開されており、脳髄にガツンと来ますよ。美しい装丁造本といい、強度をもった内容といい本当に洛北出版さんの手掛けられる本は一冊ずつ魂が籠っています。

★洛北さんのブログで弊社の今月新刊、バトラー『権力の心的な生』をご紹介いただいているのですが、そこで以下のように言及されています。「小社近刊の『親密性』(レオ・ベルサーニ & アダム・フィリップス著)とも、ふかく関係がある書物です。とりわけ本書の第5章「メランコリー的ジェンダー/拒否される同一化」は、内容もそうですが、アダム・フィリップスのコメント、それに対するバトラーの応答が収録されています」。弊社のバトラー本をお買い求めになった読者の皆様にぜひ『親密性』をお薦めしたいです。

◎レオ・ベルサーニ(Leo Bersani, 1931-)単独著既訳書
1984年01月『ボードレールとフロイト』山縣直子訳、法政大学出版局
1996年10月『ホモセクシュアルとは』船倉正憲訳、法政大学出版局
1999年09月『フロイト的身体――精神分析と美学』長原豊訳、青土社

◎アダム・フィリップス(Adam Phillips, 1954-)単独著既訳書
1998年06月『精神分析というお仕事――専門性のパラドクス』妙木浩之訳、産業図書
2006年08月『ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢』渡辺正隆訳、みすず書房


化学・生物兵器の歴史
エドワード・M・スピアーズ著 上原ゆうこ訳
東洋書林 2012年7月 本体3,600円 A5判上製304頁 ISBN978-4-88721-802-4
帯文より:不可視の敵!? 科学が発展するかぎり、悪用の可能性も際限なく膨らむ。テロリストやカルト教団は、大量殺戮を実行するのか?――つねに疑惑や憶測で語られる化学・生物剤の「不確実性」に注目しつつ、心理的側面を含む包括的な実像に迫る。軍縮とバイオディフェンスの議論に一石を投じる画期的考察! 解説=常石敬一

版元紹介文より:戦略論、戦争論で教鞭をとり多くの著作を持つ著者が、古代の毒矢やサソリ爆弾から地下鉄サリン事件にいたるまで、歴史の中で使用されてきた数々の化学・生物兵器の詳細について、膨大な文献や資料をひもとき、その凄惨な威力を考証。人が人に行ってきた常軌を逸する世界を概観する。

原書:A History of Chemical and Biological Weapons, Reaktion Books, 2010.

目次:
序文
序章 化学・生物兵器とは
第1章 第一次世界大戦のガス戦が残したもの
第2章 抑止と軍縮
第3章 第三世界での紛争における化学戦
第4章 化学・生物併記の拡散
第5章 イラクの化学・生物戦プログラム
第6章 化学・生物テロ
終章 進化する化学・生物戦
解説「ポスト冷戦期の生物・化学兵器の諸相」(常石敬一)

★まもなく発売。ペロポネソス戦争における硫黄の煙の使用に始まる、化学兵器、生物兵器の長い長い進化の歴史を追った研究書です。悪名高い731部隊の軍医石井四郎や、死刑囚麻原某も出てきます。陰惨な写真は一切掲載されていませんが、文字情報だけでも、人類の飽くことなき兵器開発の来歴には充分うんざりさせられることでしょう。解説をお書きになっている常石敬一さんは731部隊の研究書などを上梓されているほか、クーン『コペルニクス革命』などの訳書も手掛けておいでです。スピアーズの本書を「便利な本」と積極的に評価されています。


日本2.0 思想地図β vol.3
東浩紀編集
株式会社ゲンロン 2012年7月 本体3,200円 A5判並製516+112頁 ISBN978-4-9905243-5-7
帯文より:新しい国づくりは新しい思想を必要とする。それを日本2.0と名づけよう。憲法改正からクールジャパン、新国土計画から文学再定義まで、新世代の執筆陣が投げかける日本再生に向けた大胆な提言/実践集。これが僕たちが本当に見たかった日本だ。

★発売済。ゲンロンのウェブサイトでは消費税および送料サービスで購入できるようです。これまでの「思想地図」の中一番分厚いものになっています。別冊で「新日本国憲法ゲンロン草案」がついています。従来の左翼と異なるのは、象徴天皇の存在を認めているところです。一方で戦争については従来の第9条をほぼそのまま護持し、自衛隊の存在を認めています。また、国民と住民を立て分け、国民院と住民院の二院制を謳います。全体としては、こんにちの社会的実際を踏まえたリアルな書き換えになっており、これを評価する人と、「新鮮味に欠ける」と思う人とに反応が分かれるだろうと思います。「新鮮味に欠ける」のは、新憲法を目指さなくても現行憲法の解釈の範囲で充分ではないか、という意見や、逆に、もっとラディカルな理想形を追求すべきではないか、という意見がありうるためです。いずれにせよ、この「草案」が若い世代にとっても「国のかたち」を色々と考えさせてくれる良い機会になると思います。今回の特集は政治の混乱が深刻なこんにち、状況へのアクチュアルな介入を試みたものだと評価できるのではないでしょうか。
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by urag | 2012-07-22 22:03 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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