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2012年 06月 17日

まもなく発売:『環大西洋奴隷貿易歴史地図』ほか

★まもなく発売となる『環大西洋奴隷貿易歴史地図』『アラブ・エクスプレス展』、発売済の今月新刊『建築と言葉』『吉本隆明の思想』をご紹介します。

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環大西洋奴隷貿易歴史地図
デイヴィッド・エルティス+デイヴィッド・リチャードソン著 増井志津代訳
東洋書林 2012年6月 本体9,500円 B5変型判上製306頁 ISBN978-4-88721-801-7
帯文より:大陸を行き交う冷たい数字、石のような言葉。人身売買の悲惨を静かに物語るフルカラーの刺激的資料集成! 3万数千の基礎データを可視化した交易マップを中心とする228点にも及ぶ驚異の視覚資料と、植民地時代の「体験談〔ナラティヴ〕」や「商品」報告などの稀少な文献数十を一挙に公開!!

原書:Atlas of the Transatlantic Slave Trade, Yale University Press, 2010.

目次:
序文(デイヴィッド・プライオン・デイヴィス)
本書について
序章
第1章 奴隷をアフリカから輸送した国々(1501-1867)
第2章 環大西洋奴隷貿易における航海拠点港
第3章 奴隷のアフリカ大西洋岸出発地、そしてアフリカと大西洋世界の関連
第4章 中間航路の体験
第5章 南北アメリカにおける奴隷の到着地と大西洋世界とのつながり
第6章 環大西洋奴隷貿易の廃止と鎮圧
解説(デイヴィッド・W・ブライト)
訳者あとがき
環大西洋奴隷貿易史・年表
用語解説
収載資料一覧

★統計などの膨大な一次資料を駆使して奴隷貿易の諸次元を地図上で可視化した貴重な書籍です。アフリカから北米へ、あるいは中南米へ、数百年にわたってものすごい数の「人間」がモノとして売買されていた暗い歴史の現実があぶりだされます。たとえば北米における黒人への暴力の凄惨さについては、"Without Sanctuary: Lynching Photography in America"(Twin Palms Publishers, 2000)のような写真集のほうが確かに衝撃的で伝わりやすいでしょうが、本書ではどこの地域から何人がいつ奴隷船に連れられてきたのか、性別や年齢や死亡率などがはっきりしている資料も紹介しており、写真とは違った戦慄を覚えます。


アラブ・エクスプレス展――アラブ美術の今を知る
森美術館編
平凡社 2012年6月 本体2,700円 A4変型判上製208頁 ISBN978-4-582-20670-8
版元紹介文より:森美術館「アラブ・エクスプレス」展公式カタログ。アラブの現在を映す、11か国の作家による現代美術作品を紹介する。作家解説・アラブ美術史/現代史年表・用語集も収録。

★先週土曜日から10月28日まで、六本木ヒルズの森美術館で開催されている展覧会の公式図録です。日本人が持っている「アラブ」の一般的イメージでは想像できないような多様な作品が収録されていますが、アラブ世界の政情を如実に反映した作品群もあり、色々考えさせられます。視覚的に怖かったのはハリーム・アル・カリームの「都会の目撃者」シリーズ。忘れ難いインパクトがあります。

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建築と言葉――日常を設計するまなざし
小池昌代+塚本由晴(アトリエ・ワン)著
河出ブックス 2012年6月 B6判並製232頁 ISBN978-4-309-62445-7
帯文より:建築には比喩が必要である。――風景を導く言葉とは何か。建築家と詩人、「かたち」をつくる者同士が、暮らしの源泉と行方を探し当てた対話。
カバーソデ紹介文より:
「家を失いながら人は生きている。わたしは言葉で『家』を建てておくことにした。」――小池昌代
「『居場所』をつくるのは、建築だけではない。言葉を挟んでおけば、別の『居場所』を構想することができる。」――塚本由晴
建物は、人間が生きる「ふるまい」を正直にトレースする。だから、住まいの感覚と心のあり方の感覚は、寄り添うのだ。今、確かな日常を得るために必要な視線とは何か。答えを探しに、「言葉」という豊富な資材を、「建築」という空間に解き放ってみた。

目次:
棲家――まえがきにかえて(小池昌代)
今、建築は言葉に期待する(塚本由晴)
序章 建築に言葉は必要か
第一章 建築の目的と無目的
第二章 更地から生まれる言葉
第三章 都市と家の「ふるまい」
第四章 風景を再生するために
山水主義試論――あとがきにかえて(塚本由晴)
言葉の家――あとがきにかえて(小池昌代)

★詩人・小説家の小池昌代(こいけ・まさよ:1959‐)さんと、建築家の塚本由晴(つかもと・よしはる:1965‐)さんの対話本。塚本さんは塚本さんは貝島桃代さんとの建築家ユニット「アトリエ・ワン」で活躍しておられます。近年ではナイキジャパンが命名権を得て改修した渋谷の宮下公園(現在は「みやしたこうえん」)の設計を担当したのがアトリエ・ワンです。本書の第三章ではくだんの改修問題が言及されており、塚本さんの「公共」についての考えを読み取ることができます。


現代思想 2012年7月臨時増刊号 総特集=吉本隆明の思想
青土社 2012年6月 本体1,238円 A5判並製230頁 ISBN978-4-7917-1246-5
★詳細目次はリンク先でご確認いただけます。松本昌次さんによる「「花田清輝-吉本隆明論争」の頃」など、興味深い証言も読めます。巻頭の大西巨人さんの寄稿はわずか5行のテクストながら、鮮烈な印象を残します。ここでは吉本さんは「言語の本義に基づいて、gratuationの実現を切望した」と印刷されているのですが、gratuationというのは誤植でしょうか。

★なお、吉本さん関連の新刊情報は、おそらく京都・三月書房さんの「<吉本隆明>本 新刊のお知らせ」が一番早くて網羅的かと思います。
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by urag | 2012-06-17 16:30 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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