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2012年 06月 14日

本日取次搬入:ラッツァラート『〈借金人間〉製造工場』作品社より

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〈借金人間〉製造工場――“負債”の政治経済学
マウリツィオ・ラッツァラート(Maurizio Lazzarato, 1955-)著 杉村昌昭訳
作品社 2012年6月 本体2,200円 46判上製240頁 ISBN978-4-86182-390-9

帯文よりより:“負債”が世界を支配している! 私たちは、借金しているのではない。金融資本主義によって、借金させられているのだ! 欧州で話題のベストセラー! なぜ私たちは、ローンのために働くのか? なぜ国家は、債務のために緊縮財政に追い込まれるのか? それは、金融資本主義とは“負債”によって、私たちを奴隷化し、支配するシステムだからである。

帯文(裏面)より:金融資本主義とは、“〈借金人間〉製造工場”である! 現在、国家の“負債”も、個人の“借金”も、世界的に急増しつづけており、国家財政にとっても、私たちの人生にとっても、最大の脅威となっている。では、なぜ“負債/借金”は、それほどまでに増大しつづけるのか? 本書は、今ヨーロッパで注目される社会学者・哲学者が、経済学から、ニーチェ、ドゥルーズ/ガタリ、フーコーの哲学までも駆使しながら、“借金/負債”とは何かを、古代ギリシャから現代までの歴史をさかのぼり考察し、現在では、グローバル資本主義による個人・社会への支配装置として機能していることを明らかにした、欧州で話題のベストセラーである。

原書:La fabrique de l'homme endetté: Essai sur la condition néolibérale, Édition Amsterdam, 2011.

目次:
日本語版序文 “負債”が世界を支配している!
 「国家債務危機」以降の資本主義の光景
 「資本の代理人」としての欧州の政治家たち
 金融の危機か? 資本主義の危機か?
 資本主義と政府にこそ、責任があるのだ!
はじめに 私たちは、借金しているのではなく、金融資本主義によって、借金させられているのだ!――「経済的人間」とは〈借金人間〉である
第1章 社会的基盤としての〈負債〉
 1……〈負債〉による支配
 2……なぜ「金融」ではなく〈負債〉を焦点化するのか?
 3……新自由主義の戦略的核心としての〈負債〉
 4……いかに〈借金人間〉は製造されるのか?
第2章〈債権者/債務者〉とは何か?――〈負債〉による主観的主体化
 1……「返済の義務」という道徳は、いかに成立したか?――ニーチェ『道徳の系譜学』
   社会的関係の基盤としての「債権者/債務者関係」
   貸し手は、借り手の未来の時間を占有する
   経済と倫理の合体、そして政治への介入
 2……「信用〔クレジット〕」とは何か?――マルクスの二つの「信用」論
   「信用」という名の自己疎外・非人間化――「信用と銀行」
   経済システムとしての「信用」――『資本論』第三巻
 3……「信頼」と「信用〔クレジット〕」――未来創造の原動力となる「信頼」/無力化させる「信用」
 4……〈負債〉の歴史的展開――ドゥルーズ/ガタリ
   「有限の負債」から「無限の負債」へ――完済することのない〈借金人間〉の生産
   野蛮なる「権力」とお金の歴史的展開
   資本主義と負債の歴史的展開
第3章 新自由主義の戦略的核心としての〈負債〉
 1……新自由主義の誕生――すべての人を資本家に、経営者に、そして〈借金人間〉に
 2……〈負債〉による権力システムの再構成――主権権力・規律的権力・生政治的権力
   脅かされる国民主権――主権権力
   金融による企業統治の確立――規律的権力
   福祉サービスを「社会的負債」に、そして「私的負債」に――生政治的権力
 3……いかに新自由主義は「債務危機」を乗り越えようとしているか?
   常に変化し再生してきた資本主義
   「金融危機」と〈負債経済〉
   主権国家の危機――いかに債務を国家・国民に支払わせるか?
 4……〈負債〉は社会をどのように変えたか?
   三つの負債――私的負債・国家の負債・社会的負債
   〈借金人間〉の主観的主体化の技術――偽善・シニシズム・警戒心
   「金融的評価」の一般化
   社会的隷属と機械的隷属
 5……「反生産」「反民主主義」を超えるために
おわりに 新たな階級闘争の地平へ!
日本語版解説 「権力の装置」としての“負債”(石倉雅男)
  債務者を規律づける“負債”
  雇い主/労働者関係と債権者/債務者関係の相違
  経済的権力を行使する手段としての“負債“
  新自由主義のねらいは〈借金人間〉の製造にある
訳者あとがき――杉村昌昭

『ル・モンド』紙の書評より――「本書は、現在、最も世界的な注目を集めている問題をあつかっている。とくに興味深いのは、それを表層的な経済問題の議論を超えて、ダイナミックに歴史的に考察を深めていることである。哲学者にして社会学者でもある著者にとって、社会的なもののパラダイムは、象徴的交換ではなくて、“債権者/負債者”の関係にほかならない。「各個人を、借金を背負った経済的主体に変えること」――これが、我々が現在生きている経済システムである。“借金人間”(ホモ・デビトル)こそが“経済的人間”(ホモ・エコノミクス)の新たな相貌である、と著者は喝破する。“借金人間”である我々は、住居を得る権利を持っているのではなく、住宅ローンの権利を持っているだけである。教育を得る権利を持っているのではなく、学歴を得るために奨学金を組む権利を持っているだけである。現在の経済システムにとって、負債(借金)は、社会的コントロールの願ってもない道具である。それは“人々の未来を所有する”ことを可能にするからである。つまり“人々の予測不可能な行動”をあらかじめ封じ込めることができる。そして、“借金は返済するべきだという倫理を製造すること”の背後に、著者は“罪悪感の製造”を見る。著者は、マルクス、ニーチェ、フーコー、ドゥルーズ/ガタリなどを援用しながら考察を深める。最も刺激的なのは、現在、われわれは、負債と永遠に手を切ることができないというところだろう。これは、著者のテーゼの中で最も注目すべき指摘であるが、人類の歴史において“負債(借金)”とは、太古の社会では“有限”なものであったが、近代化の過程で“無限”なものへと移行し、さらに金融資本主義の誕生によって、けっして完済することのない“借金人間(ホモ・デビトル)”が創り上げられていったというものである。こうして我々は、借金を背負い返済しつづける“現代のシジフォス”となったのである」。

『朝日新聞』2012年2月23日付、高橋源一郎氏の論壇時評「いま見るべきは 緊急の中にある永遠の課題」より――「(……)「現代思想」の特集「債務危機 破産する国家」の中で紹介されているM・ラッツァラートは、金融があらゆる経済部門の中で最高の利益を出すに至った社会の異常さを指摘するために、そもそも「負債とは何か」と徹底的に考える(論文の「借金人間製造工場」というタイトルが、彼の思想を雄弁に語っている)。国家としてのギリシャや無数の、様々なローンを背負った人びとに「借金を返せ」といいつのることで、彼ら債務者たちは「罪の意識」を不断に感じるに至る。ひとたび、クレジット(信用貸し)に手を染めたなら、そこから抜け出すことはできない。「経済学者によると、フランスの新生児は生まれたときにすでに二万二〇〇〇ユーロの負債を負っている。生まれながらに伝えられるのは原罪ではなくて、先行世代の負債なのである」(……)」。

◆本日14日取次搬入。『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』(村澤真保呂+中倉智徳訳、洛北出版、2008年)に続く、ラッツァラートの翻訳第二弾です。『出来事のポリティクス』は原著がイタリア語でしたが、今回の『〈借金人間〉製造工場』の原著はフランス語。写真に写っているのは今年3月に出たイタリア語版ですが、こちらはフランス語からイタリア語に訳されたものです(著者本人による訳書ではありません)。イタリアとフランスの両方で活躍している知識人――たとえばラッツァラートやネグリやアガンベンの場合、イタリア語でもともと書かれている場合が多いですが、フランス語訳ないしフランス語で書かれた本というのもあります。『〈借金人間〉製造工場』の場合は、フランス語で書かれた本です。

◆フランスの「国の借金」を一人当たりに割ると約220万円。日本の場合はもっと悲惨で、一人当たり約750万円(2012年4月現在)の借金があります。日本の出生率から考えると、夫婦と子供一人が平均しているとして、一世帯当たりの借金は2250万円にもなります。家のローンだけでも返済が大変で、しかも超高齢化社会に突入していくというのに、とうてい返せそうにない「国の借金」を抱え、なおかつこれから消費税などの増税地獄が待っています。まさに現代の日本人はラッツァラートが言うところの「借金人間」です。彼はきっぱりと「資本主義とテクノクラート政府にこそ責任があるのだ」と言い切っています。しかし国の方は国民を見捨ててすべてが「自己責任」であるかのように振舞っています。思想の左右に関係なく、本書は「この世の中、どこかおかしい」と感じるすべての人々にとって実に明快なヒントを与えてくれます。新自由主義の「恐喝」的手口を暴き、「負債経済」による搾取と支配を鋭く分析する本書は、日本が抱える諸問題を考える上でも大いに役に立つでしょう。

◆ラッツァラートはこう書いています。「福島の原発を管理していた東京電力のような企業が、みずからの戦略を問い直し、議論にかけ、変更する能力があるというのである。同様の論法でいくと、負債の政策に対する「反対派の先鋒」は、金融破局を引き起こした権力ブロックのなかにあるということになる。しかし、こうした第二の近代の自省力は待てど暮らせどやって来ないことは、あらゆる現象から明らかではないか! 損害がひとたび国によって引き受けられたとたんに、銀行や投資家や保険会社が示した「自省」の結果は、次のようなものだった。「すべてを以前と同様に続けなくてはならない!」(195頁)。さらに彼は続けます。「変化はひとえに反核運動の力に左右されるのであり、絶対に原子力産業や統治者の「反省力」によるのではない。原子力産業や金融の権力ブロックが持ちうる唯一の「反省力」は以下のようなものである。すなわち、いかにして破局〔カタストロフ〕にいたるまで持ちこたえるか、ということだ」(195-196頁)と。こうした言葉は今の日本人には切実に響きます。

◆版元の情報をお借りすると、著者の「マウリツィオ・ラッツァラート(Maurizio Lazzarato)は、1955年生まれ。パリ在住の社会学者、哲学者。非物質的労働、労働者の分裂、社会運動などについての研究を行なう。また、現在、世界的な広がり見せる、反貧困・反格差社会を求める市民・労働者の活動の理論的な指導者でもある」。また、日本からは市田良彦さんが参加している『ミュルティチュード』誌の創刊に携わり、『タルド著作集』の編纂にもかかわっています。本書の担当編集者のUさんは、作品社さんの得意とする「ビジネス人文書」(経済書と思想書の先端的ミックス)を数多く手掛けておられます。売行良好と聞く、以下のハーヴェイの本もその一冊です。

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資本の〈謎〉
デヴィッド・ハーヴェイ著 森田成也・大屋定晴・中村好孝・新井田智幸:訳 伊藤誠:解説
作品社 2012年2月 本体2,500円 46判上製396頁 ISBN978-4-86182-366-4
帯文より:グローバル資本主義は経済危機からなぜ逃れられないのか? この資本の動きの〈謎〉を説き明かし、恐慌研究に歴史的な1頁を加えた、世界的ベストセラー! 《世界の経済書ベスト5》Books of the year 2011, Guardian. 12カ国で翻訳刊行。

版元紹介文より:米国債に続きユーロ圏国債が格下げされ、ユーロ破綻の危機が続いている。日本は1000兆円の国家債務を抱えたまま不況から脱することができない。世界は、金融危機から債務危機へと直進しているが、誰もその疾走が止められない。本書は、世界的ベストセラー『新自由主義』のデヴィット・ハーヴェイが、「資本の流れ(キャピタル・フロー)」の詳細な分析によって、グローバル資本主義における資本の動きの〈謎〉を説き明かし、世界的な注目を集めているものである。

原書:The Enigma of Capital and the Crises of Capitalism, Profile books, 2011.

目次:
序文……デヴィッド・ハーヴェイ
第1章 なぜ金融恐慌は起こったか?
 階級的力関係の劇的変化
 有効需要と金融化
 金融投機の異常な発達
 経済成長と過剰資本
 新自由主義的転換の政治経済学
第2章 どのように資本は集められるのか?
 資本流通とその潜在的諸制限
 本源的蓄積と貨幣権力の集積
 信用の発達と「国家-金融結合体」
第3章 どのように資本は生産をしているか?
 労働供給と過剰人口
 生産手段の調達と部門間の不比例性
 自然の希少性と自然的限界
 建造環境とインフラ投資
 技術と組織形態のイノベーション
 労働過程の統制
第4章 どのように資本は市場を通るのか?
 種々の恐慌理論
第5章 資本主義発展の共進化
 資本主義的進化の七つの活動領域
 資本主義の共進化の考察枠組み
 資本主義の断続的発展と変革の可能性
第6章 資本の流れの地理学
 資本主義の地理的環境
 三つの地理的空間と共進化
 第一の原則――地理的限界の克服と空間的支配
 第二の原則――地理的集中と地理的差異
 空間的立地をめぐる競争と戦略
 都市空間の形成と過剰資本の吸収
 グローバルな都市空間の形成と恐慌
 「都市の地理」と文化、政治、暴力
 地代と資本蓄積
第7章 地理的不均等発展の政治経済学
 土地に対する創造的破壊
 資本主義における時空間編成の矛盾
 場所の創造と領土的組織
 資本主義的領土化の諸特徴
 さまざまな領土的単位とその独自の役割
 戦争と領土間競争
 権力の領土的論理と資本主義的論理
 地政学と地理的ヘゲモニー
 地理的不均等発展の政治経済学
第8章 何をなすべきか? 誰がなすべきか?
 古いオルタナティブから新しいオルタナティブへ
 共-革命的理論の構築に向けて
 精神的諸観念の変革
 反資本主義運動と批判的知識人の役割 
 略奪された人々の二大カテゴリー
 同盟の構築とその諸困難
 変革主体の諸潮流と組織形態
 新しい反資本主義運動に向けて
ペーパーバック版あとがき 恐慌の反復か、資本主義からの転換か
 金融恐慌の地理的不均等発展
 新自由主義と不平等のさらなる進行
 米国と中国――ヘゲモニー・シフトの徴候
 複利的成長の継続か反資本主義的転換か
日本語版解説 「資本の謎」の謎解きのために……伊藤 誠
 本書の主題
 ハーヴェイの恐慌論
 日本経済との関わり
 なにをなすべきか?
訳者解題……森田成也
付録1 主要な債務危機と緊急支援(一九七三~二〇一〇年)
付録2 アメリカにおける金融イノベーションとデリバティブ市場の拡大(一九七〇~二〇〇九年)
典拠資料と参考文献
役立つサイト

図表一覧:
図表1 ケース・シラー住宅価格指数(季節調整済)の年変化率(1988-2009年)
図表2 アメリカの持ち家率(1970-2008年)
図表3 アメリカの住宅差し押さえ着手率(1985-2007年)
図表4 アメリカにおける住宅抵当債務の年変化率
図表5 不動産投資信託の株価(アメリカ)
図表6 不動産株価指数(イギリス)
図表7 日本の地価の年変化率
図表8 日本全土の地価指数
図表9 アメリカの賃金および給与の対GDP比
図表10 イギリスの平均実質賃金
図表11 中国の労働者所得と家計消費の対GDP比(1998-2008年)
図表12 消費者家計債務率(可処分所得に占める債務支払い額)
図表13 アメリカの巨大な負債バブル
図表14 アメリカの株価と住宅価格の対GDP比
図表15 アメリカ企業の利潤源の逆転(1946-2007年)
図表16 デリバティブ市場での取引高と世界経済の産出高
図表17 GDPの成長:世界および主要地域(1950-2030年)

本書に対する世界の評価:
『フィナンシャル・タイムス』――ハーヴェイは、驚くべき大胆さと詳細な分析によって、現在のグローバル経済の構造とその危機の〈謎〉を説き明かしていく。今後、歴史的な評価を得ていくであろう最重要文献である……

『ガーディアン』Books of the year 2011《世界の経済書ベスト5》――なぜ経済危機が発生したのか? 我々はどうしたらよいのか? これが現在、経済書に求められている二大テーマである。〔……〕本書は、世界金融のメルトダウンを、キャピタル・フローの詳細な分析によって明らかにすることに成功している。

『インデペンデント』――現在の経済危機は、資本主義システムの内在的原因から発生しており、歴史的に周期的に訪れてきた構造的危機の最新段階である。では、今回の危機は、システム破綻に向かうのか? または、さらなる跳躍への自己更新となるのか? 本書は、経済恐慌の研究に、新たに歴史的な一頁を加えた。

週刊『東洋経済』2012年4月14日号(奥村宏)――なぜ、世界金融恐慌が起こったのか、ということを原理的に説明すると同時に、資本の流通、生産、市場の各局面でさまざまな要因をあげて解明してようとしている。これまでの世界金融恐慌についての経済学者たちの議論は抽象的で、具体性に欠けたものが多いが、この著者の議論は具体的で、事実に即しており、説得力がある。

週刊『エコノミスト』2012年4月24日号(森岡孝二)――〔本書の〕課題は、時間と空間の両面で世界を不断に作り替えながら、複利的蓄積の果てに恐慌に導く「資本という運動体」の「謎めいた秘密」を解き明かすことである。(……)「世界の経済書ベスト5」に入るほど広く読まれている本書の真価は、あまりにも資本が強く、労働者が弱すぎるこの国〔日本〕で読まれてこそ確かめられる。

◆発売済。現代に生きる私たちの暮らしを規定する資本主義――そこにおける資本の流れ〔キャピタル・フロー〕を分析し、それが社会にもたらす深刻な荒廃と崩壊を詳しく分析。資本主義の「打倒」に向けた力強いメッセージが脈打っているハーヴェイの最新著のひとつです。本書は今年2月に発売、先月で4刷に達しています。一見地味な書名でピンと来ないかもしれませんが、これまで経済学者たちが様々に説明を試みてきた「謎」としての資本主義のからくりがよく分かる本で、売行良好なのもうなずけます。上記の今月新刊、ラッツァラート『〈借金人間〉製造工場』と合わせて読むと、現代社会を覆っている危機の闇をより構造的に捉えることができると思います。

◆本訳書のあと4月に発売されたハーヴェイの原著最新刊は、Rebel Cities: From the Right to the City to the Urban Revolution, Verso, 2012です。『ショック・ドクトリン』の著者ナオミ・クラインも称賛を寄せており、話題を呼んでいます。ハーヴェイの著書は日本では90年代まで地理学や空間論を中心に訳されてきましたが、2000年以降はもっぱら資本主義および新自由主義の批判的分析が紹介されています。写真に写っているのは、彼の経済地理学と資本主義批判の結びつきがもっともラディカルに現れたも力作ひとつ、『希望の諸空間』(Space of Hope, University of California Press, 2000)です。ハーヴェイはこの本を境にして、2002年『資本の諸空間』、2006年『グローバル資本主義の諸空間』、そして下記のように各社より訳されている著書を上梓しており、ますます盛んに言論活動を展開しています。

◎デヴィッド・ハーヴェイ(David Harvey, 1935-)ニューヨーク市立大学教授。経済地理学。
2012年02月『資本の〈謎〉――世界金融恐慌と21世紀資本主義』(森田成也・大屋定晴・中村好孝・新井田智幸訳、作品社)
2011年09月『〈資本論〉入門』(森田成也・中村好孝訳、作品社)
2007年03月『新自由主義――その歴史的展開と現在』(渡辺治監訳、森田成也・木下ちがや・大屋定晴・中村好孝訳、作品社)
2007年03月『ネオリベラリズムとは何か』(本橋哲也訳、青土社)
2006年05月『パリ――モダニティの首都』(大城直樹・遠城明雄訳、青土社)
2005年06月『ニュー・インペリアリズム』(本橋哲也訳、青木書店)
1999年12月『ポストモダニティの条件』(吉原直樹監訳、青木書店)
1991年12月『都市の資本論――都市空間形成の歴史と理論』(水岡不二雄監訳、青木書店)
1990年01月『空間編成の経済理論――資本の限界(下)』(松石勝彦ほか訳、大明堂)
1989年05月『空間編成の経済理論――資本の限界(上)』(松石勝彦ほか訳、大明堂)
1980年08月『都市と社会的不平等』(竹内啓一・松本正美訳、日本ブリタニカ)
1979年09月『地理学基礎論――地理学における説明』(松本正美訳、古今書院)

◆なお、作品社さんでは今後、カール・マルクス『新訳 初期マルクス』(的場昭弘訳)や、ヘーゲル『大論理学(1)存在論』(山口祐弘訳)などが続刊予定です。待ち遠しいですね。
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by urag | 2012-06-14 15:11 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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