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2012年 05月 13日

まもなく発売:サンデル『それをお金で買いますか』早川書房、ほか注目新刊

★昨春、紀伊國屋書店新宿本店人文書売場で無料配布された、千葉雅也さんと私の対談冊子「ポスト人文学の思想的境位――2010年を振り返って」で、私は「ビジネス人文書の台頭」について言及しました。これは、『超訳 ニーチェの言葉』や、サンデル『これからの「正義」の話をしよう』などのベストセラー化に見られるように、近年のビジネス書売場では人文系の書目が徐々に売上を伸ばしつつある状況に触れたものです。これらは一過性のものではなく、人文系版元にとっては大きなビジネスチャンスとなりつつあるのかもしれません。今回はまもなく発売のサンデルの新刊や、心理学書版元の最近の新刊などをご紹介します。

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それをお金で買いますか――市場主義の限界
マイケル・サンデル=著 鬼澤忍=訳
早川書房 2012年5月 本体2,095円 46判上製334頁 ISBN978-4-15-209284-7

カバーソデ紹介文より:「結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ」(本文より)。私たちはあらゆるものがカネで取引される時代に生きている。民間会社が戦争を請け負い、臓器が売買され、公共施設の命名権がオークションにかけられる。市場の論理に照らせば、こうした取引に何も問題はない。売り手と買い手が合意のうえで、双方がメリットを得ているからだ。だが、やはり何かがおかしい。貧しい人が搾取されるという「公正さ」の問題? それもある。しかし、もっと大事な議論が欠けているのではないだろうか? あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることがある。これまで議論されてこなかった、その「何か」こそ、実は私たちがよりよい社会を築くうえで欠かせないものなのでは――? 私たちの生活と密接にかかわる、「市場主義」をめぐる問題。この現代最重要テーマに、国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授が鋭く切り込む、待望の最新刊。

本文より(17頁):金融危機の際に「強欲さ」が一定の役割を果たしたことは確かであるものの、問題はもっと大きい。この三〇年のあいだに起った決定的な変化は、強欲の高まりではなかった。そうではなく、市場と市場価値が、それらがなじまない生活領域へと拡大したことだったのだ。/こうした状況に対処するには、強欲さをののしるだけではすまない。この社会において市場が演じる役割を考え直す必要がある。市場をあるべき場所に留めておくことの意味について、公に議論する必要がある。この議論のために、市場の道徳的限界を考えぬく必要がある。お金で買うべきではないものが存在するかどうかを問う必要がある。

原書:What Money Can't Buy: The Moral Limits of Markets. Farrar, Straus and Giroux, 2012.

目次:
序章――市場と道徳
 市場勝利主義の時代/すべてが売り物/市場の役割を考え直す
第1章 行列に割り込む
 ファストトラック/レクサスレーン/行列にならぶ商売/医者の予約の転売/コンシェルジュドクター/市場の論理/市場 vs 行列/市場と腐敗/ダフ屋行為のどこが悪い?〔ヨセミテのキャンプ場を転売する/ローマ教皇のミサを売りに出す〕/行列の倫理
第2章 インセンティブ
 不妊への現金/人生への経済学的アプローチ/成績のよい子供にお金を払う/保険賄賂/よこしまなインセンティブ/罰金 vs 料金/二一万七〇〇〇ドルのスピード違反切符/地下鉄の不正行為とビデオレンタル/中国の一人っ子政策/取引可能な出産許可証/取引可能な汚染許可証/カーボンオフセット/お金を払ってサイを狩る/お金を払ってセイウチを撃つ/インセンティブと道徳的混乱
第3章 いかにして市場は道徳を締め出すか
 お金で買えるもの、買えないもの/買われる謝罪や結婚式の乾杯の挨拶/贈り物への反対論/贈り物を現金にする/買われた名誉/市場に対する二つの異論/非市場的規範を締め出す/核廃棄物処理場/寄付の日の迎えの遅れ/商品化効果/血液を売りに出す/市場信仰をめぐる二つの基本教義/愛情の節約
第4章 生と死を扱う市場
 用務員保険/バイアティカル――命を賭けろ/デスプール/生命保険の道徳の簡単な歴史/テロの先物市場/他人の命/死亡債
第5章 命名権
 売られるサイン/名前は大事/スカイボックス/マネーボール/ここに広告をどうぞ/商業主義の何が悪いのか?/自治体マーケティング〔ビーチレスキューと飲料販売権/地下鉄駅と自然遊歩道/パトカーと消火栓/刑務所と学校〕/スカイボックス化
謝辞
原注

★今週火曜日15日取次搬入です。最速で16日(水)以降、順次店頭販売開始となることと思います。累計80万部と聞く『これからの「正義」の話をしよう』は白い本でしたが、今度の本は黒。さすがサンデル教授というべきか、テーマは身近でもっとも根の深い「お金」の問題です。難解な経済学ではなく、原題「お金では買えないもの――市場の道徳的限界」にある通り、今の世の中に蔓延している「何でもお金で解決できる」風潮の代表例をひとつひとつ取り上げ、何がそもそも問題なのか、このままでいいわけがないけれどどうしたらよりよく生きることができるのかを哲学的に追及していきます。

★サンデル教授はこう述べます。「われわれは不一致を恐れるあまり、みずからの道徳的・精神的信念を公の場に持ち出すのをためらう。だが、こうした問いに尻込みしたからといって、答えが出ないまま問いが放置されるわけではない。市場がわれわれの代わりに答えを出すだけだ。それが過去三〇年間の教訓である。市場勝利主義の時代は、たまたま、公的言説全体が道徳と精神的実体を欠いた時期と重なった。市場をその持ち場にとどめておくための唯一の頼みの綱は、われわれが尊重する善と社会的慣行の意味について、公の場で率直に熟議することだ」(283頁)。「民主主義には完璧な平等が必要なわけではないが、市民が共通の生を分かち合うことが必要なのは間違いない。大事なのは、出自や社会的立場の異なる人たちが日常生活を送りながら出会い、ぶつかり合うことだ。なぜなら、それが互いに折り合いをつけ、差異を受け入れることを学ぶ方法だし、共通善を尊ぶようになる方法だからだ。/つまり、結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにしてともに生きたいかという問題なのだ。われわれが望むのは、何でも売り物にされる社会だろうか。それとも市場が称えずお金では買えない道徳的・市民的善というものがあるのだろうか」(284頁)。

★サンデルさんは東日本大震災後にハーバード大学で開催されたシンポジウムの記者会見で次のように語ったそうです。「今後、原子力をめぐって議論が起こると思いますが、そのときには、率直に意見を交わし、お互いに敬意を払った議論を重ねて頂きたい。恐れることなく、避けることなく向き合って欲しいのです。今、世界中の民主主義が苦戦しています。それはある種の空虚さに打ち勝とうと、もがいているのです。ここ数十年、経済の問題が、政治や民主主義的な議論を押しのける傾向がありました。ですからそうした国家で不満が溜まっていることは驚きではありません。政党や政治家、政治のあり方に対する不満です。これは日本だけではないのです。ヨーロッパでもアメリカでもイギリスでも、政治の進め方に強いフラストレーションが溜まっているのです。今回のことは民主主義に対する究極のテストだと思います。人々にとって最も重要な問題、最も熾烈に争われるような問題が、公けの場で敬意をもって議論できるかどうか。ですから、日本でこの議論が真剣に行われることを期待します」と。

★「皆で話し合う」こと、それは簡単なようでとても難しいことです。話し合えば何とかなるというのではなくて、話し合いを通じてより良い社会を目指すことへの忍耐強い努力をサンデルは常に私たちにうながします。話し合ったって無駄なんだ、と絶望する時、民主主義は死んでしまいます。「共により良く生きる」ことの希望こそが民主主義の命なのでしょう。サンデル教授の実践は、常に現実と向き合う強靭さというものを教えてくれます。今月28日には東京国際フォーラムで来日特別講義「ここから、はじまる。民主主義の逆襲」が開催されます。なんと5000人もの聴衆を前にしたイベントです。おそらくはNHKで後日視聴できるでしょう。

◎マイケル・サンデル既訳書
『自由主義と正義の限界』(菊池理夫訳、三嶺書房、1992年11月;第2版、1999年3月;改題改訂版『リベラリズムと正義の限界』、勁草書房、2009年2月)
『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(鬼澤忍訳、早川書房、2010年5月;ハヤカワ文庫、2011年11月)
『民主政の不満――公共哲学を求めるアメリカ』(上下巻、金原恭子+小林正弥監訳、勁草書房、2010年7月-2011年)
『完全な人間を目指さなくてもよい理由――遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』(林芳紀+伊吹友秀訳、ナカニシヤ出版、2010年10月)
『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(上下巻、NHK「ハーバード白熱教室」制作チーム+小林正弥+杉田晶子訳、早川書房、2010年10月;上下巻、ハヤカワ文庫、2012年2月)
『日本で「正義」の話をしよう――サンデル教授の特別授業』(DVDブック、鬼澤忍訳、早川書房、2010年10月)
『サンデル教授の対話術』(小林正弥共著、NHK出版、2011年3月)
『マイケル・サンデル大震災特別講義 私たちはどう生きるのか』(NHK「マイケル・サンデル究極の選択」制作チーム編、NHK出版、2011年5月)
『公共哲学――政治における道徳を考える』(鬼澤忍訳、ちくま学芸文庫、2011年6月)
『Justice(正義) ――ハーバード超白熱講義DVD BOOK:マイケル・サンデルの原点となる講義を映像収録』(DVDブック、クリス・クリステンセン共著、宝島社、2011年8月)


モティベーションをまなぶ12の理論――ゼロからわかる「やる気の心理学」入門!
鹿毛雅治=編著
金剛出版 2012年4月 本体3,200円 四六判並製384頁 ISBN978-4-7724-1249-0

帯文より:あなたのやる気、何%? きまぐれモティベーションを操って、この退屈と倦怠とストレスひしめく現代社会を生き延びるための思想地図!

カバーソデ紹介文より:幻想の自由意志神話(「我思うゆえに我あり」)と虚構の根性論=精神論(「やればできる」)に支えられてきたモティベーション論を、最新の心理学理論でリノベーション。ビジネスから学習、社交から娯楽、友人関係から家族関係まで、トラブル+ストレス必至の現代社会を生き延びるためのモティベーションセオリー・コレクション!/内発的動機づけ、自己決定理論、接近・回避動機づけ、他者志向的動機、自動動機、フロー理論、達成目標理論、自己認知、セルフ・エフィカシー、自己制御学習、学習性無力感、そしてパーソナルセオリーへ――たがいにつながりあう12のセオリーは、わたしたちにとって近くて遠い心の不思議を解き明かし、モティベーション統御(コントロール)のためのヒントを与えてくれる。/世界にひとつ、あなただけのパーソナル・モティベーションセオリーをマスターするための、とっておき12レッスン!

目次:
序「やる気の心理学」への招待(鹿毛雅治)
Theory 1 好きこそものの上手なれ――内発的動機づけ(鹿毛雅治)
Theory 2 夢や目標をもって生きよう!――自己決定理論(櫻井茂男)
Theory 3 生物の根源的な動機を考える――接近・回避動機づけ(村山航)
Theory 4 努力は自分のためならず――他者志向的動機(伊藤忠弘)
Theory 5 知られざる力――自動動機(及川昌典)
Theory 6 楽しさと最適発達の現象学――フロー理論(浅川希洋志)
Theory 7 何を目指して学ぶか――達成目標理論(中谷素之)
Theory 8 自分のことをどう捉える?――自己認知(外山美樹)
Theory 9 「できる」はできるという信念で決まる――セルフ・エフィカシー(伊藤圭子)
Theory 10 自分の学習に自分から積極的にかかわる――自己制御学習(上淵寿)
Theory 11 どうして無気力になるのか――学習性無力感(大芦治)
Theory 12 自分や周りの人のやる気に働きかける――パーソナルセオリー(金井壽宏)
あとがき
事項索引・人名索引

★発売済。版元ウェブサイトで序とあとがきが立ち読みできます。ビジネスマンにとってもこれから就職しようという学生にとっても、「仕事へのやる気」や意欲や動機付けの有無というのは実に大きな問題で、そのためか、ビジネス書売場にはあの手この手で現代人のモチベーションを上げるべく、毎月様々な新刊が出ています。また、どの本が「効果がある」のか、ネット上には様々なレビューが飛び交っています。しかし、いったい何を信じたらいいのでしょうか。心理学系の硬派版元「金剛出版」さんがこのたび発売した新刊『モティベーションをまなぶ12の理論』は、「この本を読めばやる気がでる」というようなガイドブックではなくて、「やる気」がそもそも何なのかをきっちりと研究した12通りの学説と理論を俯瞰的に勉強できる本です。つまり、「やる気よ、今すぐに俺に降りて来てくれ」というような神頼みのための本というよりは、忙しい日常の合間にも冷静に平静に自分やら世間やらを見つめ直したい時に役に立つ本です。各理論の丁寧な解説のあとに文献や読書案内が付されているので、書店員さんがビジネス書売場にどの専門書をコンバートしてくるか考える際のヒントにもなるのではないかと思います。実際のところ、ビジネス書と心理学書の相性は抜群なので、一般書と専門書のうまいグラデーションが作れれば、ビジネス書売場はより深い情報を蓄える場になって、プロ意識を磨きたいビジネスマンの欲求に応えることができますし、一般書とともに専門書が売れれば単価が高いため売上アップにもなるでしょう。おそらく中規模書店の棚改革はこうした一般書(と新書)と専門書の絶妙なブレンドによる「教養」層の編集いかんに掛っているのではないか、と予想できます。

★「教養」層を不断に開発する一方で、読書人をよりディープな世界に引きずり込む上で、人文書は非常に役に立ちます。人文書が擁する話題の幅は歴史的にも地理的にも実に広く、格好の素材が揃っています。こんな難しい本を誰が読むんだよ、と諦めずとも、一般教養の浅瀬の一歩先はすぐ専門書の深い淵へとつながっています。一般書や娯楽書のみで完結している書棚よりも、あちこちに「蟻地獄」があった方が面白いです。ではその蟻地獄をどこに仕掛けるのか。そここそが書店員さんの直感と腕前の見せどころなのでしょうね。

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間主観性の現象学 その方法
エトムント・フッサール=著 浜渦辰二+山口一郎=監訳
ちくま学芸文庫 本体1,600円 A6判並製560頁 ISBN978-4-480-09448-3

帯文より:現象学の根本問題。最重要テクストが初めて一冊に。精選編集、本邦初訳。
カバー紹介文より:フッサール現象学の主要概念「間主観性」をめぐるテクストを精選、初めて一冊に集成する。「間主観性」とは、主観(私)と主観(他人)の「間」にあって、主観や客観を基にしては本質を捉えられない「現象」をいう。観念論や唯物論を超えて、事象そのものを捉えるためのキー概念である。それは現代哲学の大きな潮流「他者」論の成立を促した。現象学の中心課題であり、フッサールが生涯追い続けたテーマであった。その問題圏は、現象学的還元、精神科学、時間論、生活世界などへと広がり、諸学の地平を開いた。待望の本邦初訳。これまでにない明解な訳文で、現象学への新たな扉が開かれる。

目次:
まえがき
凡例
第一部 還元と方法
 一 現象学の根本問題
 二 純粋心理学と現象学――間主観的還元
 三 現象学的還元の思想についての考察
 四 現象学的な根源の問題
 五 『デカルト的省察』における間主観性の問題について
 原注・訳注
第二部 感情移入
 六 感情移入に関する古い草稿からの抜粋
 七 感情移入 一九〇九年のテキストから
 八 「感情移入」と「類比による転用」の概念にたいする批判
 九 本来的な感情移入と非本来的な感情移入
 一〇 「内的体験」としての感情移入――モナドは窓をもつ
 原注・訳注
第三部 発生的現象学――本能・幼児・動物
 一一 脱構築による解釈としての用事と動物への感情移入
 一二 他のエゴと間主観性における現象学的還元
 一三 構成的発生についての重要な考察
 一四 原初性への還元
 一五 静態的現象学と発生的現象学
 一六 世界と私たち――人間の環境世界と動物の環境世界
 一七 幼児――最初の感情移入
 原注・訳注
改題
訳者解説(浜鍋辰二)
索引

★発売済。『間主観性の現象学』全三巻からの抜粋。巻頭の「現象学の根本問題」が突出して長いのでこれだけでも一冊に独立できそうですが、そこをあえてそうしていないのがいいと思います。フッサールの哲学はとびきりに難解ですが、どうしたわけか、読んでいると難解な中にもふと入り込める穴があって、フッサール特有の用語を頭に入れさえすればどんどん議論の内側へのめり込んでいけることもあったりします。ちなみに第11論文で「脱構築」とあるのはAbbau(解体)の新訳。言葉は難しいですが、フッサールはようするに人間の「生きている」状態というのがいかなるものなのか、そして世界といかに「関係している」のかを原理的に突き詰めて考えようとした人ですから、日常生活の中のふとした瞬間に浮かび上がる世界と存在の《謎=裂け目》を覗こうとすると、そこには必ずフッサール的問いが影のように付きまとうのだと思います。私は個人的には中公文庫で出ているいわゆる「危機」書が好きです。

◎エトムント・フッサール既訳書(単独著のみ、文庫のみ)
『純粋現象学及現象学的哲学考案』上下巻、池上鎌三訳、岩波文庫、1939-1941年
『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』細谷恒夫+木田元訳、中公文庫、1995年
『デカルト的省察』浜渦辰二訳、岩波文庫、2001年
『ブリタニカ草稿』谷徹訳、ちくま学芸文庫、2004年
『フッサール・セレクション』立松弘孝編、平凡社ライブラリー、2009年

★来月のちくま学芸文庫の新刊(6月6日発売)では、バタイユ『ニーチェ覚書』酒井健=訳、岡倉天心『茶の本 日本の目覚め 東洋の理想――岡倉天心コレクション』櫻庭信之+斎藤美洲+富原芳彰+岡倉古志郎=訳、伊藤義教『アヴェスター』などが出るようです。


眼に映る世界――映画の存在論についての考察
スタンリー・カヴェル(1926-)=著 石原陽一郎=訳
法政大学出版局 2012年4月 本体3,800円 四六判上製347+28頁 ISBN978-4-588-00973-0

帯文より:哲学的映画論の白眉。不在の「現実」をスクリーンに映し出し、一つの世界を魔術的に出現させる映画というメディアは、二十世紀の歴史と思考に何をもたらしてきたか。その物理的・技術的基盤に注目しつつ、絵画・写真・演劇とは異なる映画そのものの本質を、モダニズムの美学批判的眼差しのもとに探究した映画理論の古典。バザン以後の問いを受け継ぎ、ドゥルーズ『シネマ』と双璧をなす名著、待望の邦訳。

原著:The World Viewed: Reflections on the Ontology of Film. Enlarged edition, Harvard University Press, 1979.

★発売済。目次詳細は版元ウェブサイトで確認できます。カヴェルの単独著の翻訳はようやくこれで3冊目。中でもカヴェルの映画論は本書を第一作として原書では何点もあるのですが、訳書は今回が初めて。カヴェルの映画論については他著も含め、訳者解説「なぜ映画が哲学の問題たり得えるのか」で説明されています。アメリカ現代哲学におけるその重要な地位にも関わらず、カヴェルはまだまだ日本には知られていないと言えるかもしれません。彼の既訳書とともに、人柄を伝えるかもしれない動画を貼り付けておきます。

◎スタンリー・カヴェル既訳書(単独著のみ)
『センス・オブ・ウォールデン』齋藤直子訳、法政大学出版局、2005年
『哲学の〈声〉──デリダのオースティン批判論駁』中川雄一訳、春秋社、2008年



★なお、法政大学出版局さんの6月の新刊には、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『時間の前で――美術史とイメージのアナクロニズム』(小野康男+三小田祥久=訳、6月22日発売予定)や、マーサ・C・ヌスバウム『正義のフロンティア――障碍者・外国人・動物という境界を越えて』(神島裕子訳、6月29日発売予定)などが予告されています。
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by urag | 2012-05-13 23:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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