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2012年 04月 05日

ヴァールブルク著作集別巻1『ムネモシュネ・アトラス』ついに刊行!

ムネモシュネ・アトラス(ヴァールブルク著作集別巻1)
アビ・ヴァールブルク著 伊藤博明+加藤哲弘+田中純著
ありな書房 2012年3月 本体24,000円 B5判上製768頁 ISBN 978-4-7566-1222-9
帯文より:記憶の女神ムネモシュネが九人の娘/ムーサたちに託したアルテ、ヨーロッパ数千年にわたる文化的な記憶の地層を掘り起こし、形に動きを与える情念の身振りと形に理を与える星辰の天行が、時を超えトポスを超えてくりかえし浮かびあがらせるイメージの源層を解明し、六三のパネル全体が形成するアルカディア的な魂の空間に動的原理を吹きこむ、アビ・ヴァールブルクの夢見たイメージの宇宙を読み解く!

★版元ドット・コムで注文された方は、本日4月5日(木)から順次届くようです。リアル書店とオンライン書店での扱いはまだ先になるものと思われますから、早く入手されたい方は送料無料(搬送業者はヤマト運輸)でクレジットカード決済可能な版元ドット・コムをご利用になるといいと思います。版元ドット・コムでは現在、新刊売上ランキング第一位だとか。同サイトでしか現在扱っていないのと、扱っている版元各社の銘柄数が限られているからとはいえ、税込25,200円の本が「第一位」というのはすごいことです。人文書業界全体でも2012年のベストブック上位に数えられることは間違いありませんし、ここ半年間の中では昨年末刊行されたユングの『ヴィジョン・セミナー』(創元社、特価期間は2012年6月30日まで)とともに、情報量、判型、価格、すべてにおいてキングサイズの大著として、読書界に記憶されることでしょう。

★未完成の図像パネル集である本書MNEMOSYNE ATLASは、スペイン語版がアマゾン・ジャパンで購入できますが、今回刊行された日本語版は、伊藤・加藤・田中の三氏が解説・解題・序・翻訳を担当されている「完全解説版」です。「あとがき」から引用しますと、「刊行されている資料として、ドイツ語「全集」版を初め、「ダイダロス」版、さらにはイタリア語版やスペイン語版などを参照したが、われわれが目指した「すべてのパネルを網羅的かつ統一的な方針のもとに読み説」き、十全な解説を付したものはなく、現段階ではこの日本語版が世界に唯一の「完全解説版」と言いうるであろう。さらには、各解説中に、パネル上のイメージを拡大図版として掲載しただけではなく、関連する参考図版をも配してある」(712頁)。三氏がそれぞれどのパネルの解説を分担しているかは「あとがき」をご覧いただくこととして、そのほかの分担は、伊藤さんが「アビ・ヴァールブルクと『ムネモシュネ・アトラス』」と題した序と、解説「不在のペルセウス――『ムネモシュネ・アトラス』と占星術」を執筆し、文献一覧と索引も担当。加藤さんはヴァールブルクの草稿「『ムネモシュネ・アトラス』序論」の翻訳を担当。田中さんは同序論の解説と、解題「ヴァールブルクの天球へ──『ムネモシュネ・アトラス』の多層的分析」を担当されています。

★図像や文書など本書を構成する資料についてはロンドン大学のウォーバーグ研究所からの提供と許諾を得ており、また、出版については鹿島美術財団の「美術に関する出版援助」を受けています。企画/構成には、ありな書房でセッティス、フィンドレン、ボルツォーニ、ダミッシュ、シアマンなどの共訳書を刊行されている表象文化論ご専攻の石井朗さんのお名前がクレジットされており、デザインは中本光さんが担当されています。印刷は厚徳社、製本は小泉製本所です。

★ありな書房版「ヴァールブルグ著作集」は本巻全7巻がすでに完結しており、今回の新刊が別巻1、続刊予定には伊藤博明ほか著・訳『イメージの政治学(仮)』があります。『ムネシュモネ・アトラス』はB5判と非常に存在感のある大判の本なのですが、画像だと大きさが伝わりにくいかもしれませんから、ヴァールブルクの文庫本2点を比較用に並べてみます。

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★なお、共著訳者の加藤さんのホームページで本書の内容見本PDFを見ることができます。また、田中さんのブログでは6月30日に東大駒場で行われるシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって」が予告されていますので、ご覧ください。

by urag | 2012-04-05 14:41 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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