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2012年 03月 31日

2012年3月の注目新刊2点:『ヴィータ・テクニカ』『10年メモ』

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ヴィータ・テクニカ――生命と技術の哲学
檜垣立哉(1964-)著
青土社 2012年3月 本体3,600円 四六判上製492頁 ISBN978-4-7917-6647-5
帯文より:臓器移植、遺伝子操作、脳科学からiPS細胞……。生命科学における「技術」の進歩は、私たちの「生命」の捉え方を大きく変貌させた。「生」のありようを考察しつづけてきた著者の集大成にして、あたらしい時代の生命哲学。

目次:
第一章 ヴィータ・テクニカの哲学へ
第二章 生態学的転回エコロジカル・ターンについて
 1 自然の非本質主義について
 2 ビオスとゾーエ
 3 エコ・バイオ・キャピタルへ
第三章 生命における主体/生態における視点
 1 自己触発について
 2 内部観測について
 3 ドーキンスと遺伝子の自己
第四章 確率・環境・自己
 1 統計の生政治学へ
 2 統治の主体としての人口
 3 人口論から自己論へ
第五章 テクネーとしての自己
 1 告白/牧人司祭権力の両義性
 2 パレーシアとしてのテクネー
 3 フーコーのテクネー論・未来のテクネー論
第六章 ゲシュテルとパノプティコン
 1 ハイデガーの技術論
 2 テクネーの主体とは誰か
 3 技術の主体の微分化に向けて
第七章 マイナーテクノロジーとメタリック生命体
 1 国家の外のテクネー
 2 徒党集団対国家
 3 国家と資本とその外部
終章 ヴィータ・テクニカ問題集
 1 物質としての生命
 2 映像のテクネーと身体
 3 エコロジカルなものの存在論に向けて


ヴィータ・テクニカへのあとがき
索引

★月刊誌『現代思想』での二年間にわたる22回の連載をまとめたもの。帯文にある通り、本書は著者の現時点での哲学的集大成とみなしていいだろう大作です。これまでに刊行されている著書(ただし単独著に限る)は以下の通りです。

2004年04月『ベルクソンの哲学――生成する実在の肯定』勁草書房
2002年10月『ドゥルーズ――解けない問いを生きる』NHK出版(シリーズ「哲学のエッセンス」)
2005年01月『西田幾多郎の生命哲学――ベルクソン、ドゥルーズと響き合う思考』講談社現代新書;2011年01月、講談社学術文庫
2006年05月『生と権力の哲学』ちくま新書
2008年10月『賭博/偶然の哲学』河出書房新社(シリーズ「道徳の系譜」)
2009年04月『ドゥルーズ入門』ちくま新書
2010年12月『フーコー講義』河出ブックス
2010年12月『瞬間と永遠――ジル・ドゥルーズの時間論』岩波書店

★「あとがき」には以下のように書かれています。「この書物で描きえたことは、この厚さをもってしても至極わずかなものかもしれない。〔…〕ここから先は、筆者自身の思想的課題として、様々な場で、別の試みを継続させていく必要があるのだろう」。そして、ヴィータ・テクニカのさらなる展開として、エコロジー、エコノミー、エシックス、美学、フェミニズム/クィア、記号、等々の諸領域と接続する試みについて言及されています。

★本書はその細部や注に至るまで非常に啓発的ですが、たとえば次のような一節にふされた注で提示された問題提起は戦後日本思想史の一面を照射するものであるように感じます。「イタリアの美学者であったアガンベンは、ベンヤミン研究を中心にしながらも、フーコーやドゥルーズ=ガタリを経由しつつ、政治的なものの思考へといたっている。ドイツのフランクフルト学派とフランス・ポストモダン思想との接合、あるいはそこでの美学的領域と政治哲学との工作や、さらには生命論的な思考の重層化は、容易なようでいて、実際には誰にもなしえなかったことである」(第二章第二節、47頁)。この箇所に以下の注が付されています。「日本では従来は今村仁司の試みしか存在しなかったといえる。岡田温司等を中心に、イタリア系の現代思想の紹介が進展していることは、この点できわめて大きな意義をもつだろう。しかし同時に、何故イタリア思想においてこうした企てが可能になったのか、どうして日本の八〇年代の現代思想はそこにいたりえなかったのかを検証する必要があるようにおもえる」(注5、444頁)。


10年メモ
nu 2012年3月15日発売 本体3,000円 B6判変型(180×135×40mm)832頁 
帯文より:去年の今日、何してた? 忘れたくない、日々のできごとを一冊に。家族のこと、仕事のこと、学びのこと、食事のこと、お金のこと、からだのこと、買い物のこと、見たこと、聞いたこと、読んだこと、話したこと、今後のこと、みんなのこと、あなたのこと――。

★インディペンデント・マガジン「nu」の番外編ともいうべき10年日記帖です。2012年4月始まりなので、ちょうどこの春から使えます。版元の説明をお借りすると、「左ページには一日のメモ欄が10年分並びます。右ページはフリースペースなので、メモの続きはもちろん、別の用途にもお使いいただけます。/メモ欄は1日約50文字。2年目以降は、前年のメモと比較をたのしめるのが10年メモの特徴です。続けるほどにたのしさ倍増。10年後には、もうひとりの自分に会える?」とのこと。表紙の色は、ベーシックのブラックのほか、ネイビー、バーガンディ、ブラウン、マスタードがあります。nuのサイトで購入できます。発行者である戸塚泰雄さんによれば、この「10年メモ」を製作するきっかけは3・11の震災だったようです。なるほど。「10年目も」書き続けることができますように。

★先述の通りnuのサイトでも直販されていますが、吉祥寺のRoundaboutでは今月上旬まで「10年メモ」フェアを行っているとのことです。このほか、オンライン通販ではリルマグ、リアル書店では新宿のBIBLIOPHILIC(ディスクユニオン)、吉祥寺の百年やバサラブックス、ブックスルーエ、36 Sublo、西荻窪のFALL、表参道のユトレヒト、下北沢の気流舎やヴィレッジヴァンガード下北沢店、代官山の蔦屋書店、中野のタコシェ、下高井戸のトラスムンド、三鷹の四歩(シッポ)、京都のガケ書房、等の店頭で取り扱いあり。
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by urag | 2012-03-31 20:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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