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2012年 01月 22日

まもなく発売:平凡社さんの1月新刊

★今月発売予定の平凡社さんの新刊から何点かご紹介します。

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ゾチオロギカ――フランクフルト学派の社会学論集
M・ホルクハイマー+Th・W・アドルノ著三光長治+市村仁+藤野寛訳
平凡社 2012年1月 本体3800円 四六判上製392頁 ISBN978-4-582-70276-7
帯文より:『啓蒙の弁証法』に次ぐアドルノとホルクハイマーの第2の共著。アメリカ亡命からドイツに帰国した二人が、ドイツ哲学とアメリカ社会学を批判的に結合し、新たな社会哲学の課題を提示する。

目次:
序文
社会学と哲学(1959年、ホルクハイマー)
イデオロギーと行為(1951年、ホルクハイマー)◇
文化と管理(1960年、アドルノ)◎
偏見について(1961年、ホルクハイマー)
修正された精神分析(1952年、アドルノ)◎
ショーペンハウアーと社会(1955年、ホルクハイマー)◇
ショーペンハウアーの現代的意義(1961年、ホルクハイマー)◇
二番煎じの迷信(1959年、アドルノ)◎
半教養の理論(1959年、アドルノ)◎
理性の概念によせて(1952年、ホルクハイマー)◇
社会学と経験的研究(1957年、アドルノ)◎
社会学のカテゴリーとしての静学と動学(1961年、アドルノ)◎
原注/訳注
解説 アメリカ合衆国・社会学・啓蒙――戦後のアドルノ/ホルクハイマー(藤野寛)
アドルノ小論「思想の音楽」――あとがきに代えて(三光長治)

★原書は1962年刊、Sociologica II: Reden und Vorträgeです。アドルノの論考6篇のみ(◎印)を訳出したのが、『ゾチオロギカ――社会学の弁証法』(三光長治+市村仁訳、イザラ書房、1970年)でした。実に40年以上の歳月を経て、ホルクハイマーの論考もともに訳出した新版が刊行されました。ただし、ホルクハイマーの「文化批判としての哲学」と「責任と(大学での)勉学」の二篇は割愛されています。また、ホルクハイマーの論考のうち、◇印を付したものには既訳があります。本書の執筆・刊行時の著者について、また、本書の意義については訳者解説論文に詳しいです。ちなみにSociologica Iは、ホルクハイマー55歳記念の論集で、アドルノ、ベンヤミン、ベッテルハイムなどが寄稿したものだそうです。

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メタボリズム・トリップ 
チャーリー・コールハース(1977-)著
平凡社 2012年1月 本体3200円 A4変型判並製112頁 ISBN978-4-582-27790-6
版元紹介文より:丹下健三、菊竹清訓、黒川紀章、槇文彦ら戦後建築のスターが設計し、今も新陳代謝を続ける「生きたメタボリズム建築」を、レム・コールハースの娘が新鮮な視点で撮影したオールカラー写真集。
「はじめに」より:これらのイメージと物語は、私が10の建築物を2週間で見てまわった旅の記録である。簡単に言うならば、旅の目的は、上を目指す果てしない野心の記念碑であり、新しい世界についての見取り図であったこれらの建築物が、どのように使われ、どのように月日を重ねたかを目録にすることだった。何が残り、何が失われ、そして何が起きたか、設計者がどうしても予想することのできなかったものを見ることだった。

★まもなく刊行されるはずの大著『プロジェクト・ジャパン――メタボリズムは語る』(レム・コールハース+ウルリッヒ・オブリスト著、太田佳代子編)の姉妹編とも言うべきドキュメントです。10箇所を見聞した際の様子が綴られ、老朽化もそのままに写真に写し取っています。中でも象徴的な建造物は、1972年に造られた「中銀カプセルタワービル」でしょうか。黒川紀章の代表作でもあるこのビルは今なお個性を発散させており、老朽化すら何か美しい時の刻印のように思えます。朽ちていく奇妙な建築群はノスタルジックですが、チャーリーの「外からの視線」は回顧ではなくむしろ「今」を如実に切り取って見せてくれたような気がします。


ペテルブルグのバレリーナ――クシェシンスカヤの回想録
マチルダ・F・クシェシンスカヤ(1872-1971)著 関口紘一監修 森瑠依子訳
平凡社 2012年1月 本体3500円 A5判上製376頁 ISBN978-4-582-83483-3
帯文より:プリマ・バレリーナ・アッソルータが語るロシアバレエの1世紀。プティパ、チャイコフスキー、ディアギレフ、ニジンスキーらと同時代を生き、ロマノフ朝の華やかな宮廷生活、ロシア革命期の動乱、パリでの亡命生活を生き延びた女性による時代の証言。

★原著は1960年にパリで刊行されています。その華やかで波乱に満ちた人生はまるで長篇映画のようです。プリマ・バレリーナ・アッソルータの称号を得たバレリーナは数えるほどしかいませんが、さらに彼女の場合「マリー・ロマノフスキー=クラシンスキー女公爵」としての地位も得ています。彼女が愛息ヴォーワとともに映っている貴重な動画を以下に添えます。



くらしのこよみ――七十二の季節と旬をたのしむ歳時記
うつくしいくらしかた研究所=編
平凡社 2012年1月 本体2980円 B6判並製456頁 ISBN978-4-582-41508-7
帯文より:日本には72の季節がある。スマートフォンやiPadで15万ダウンロードを記録した人気アプリが、本になりました。東風解凍、桃始笑、土潤溽暑、楓蔦黄……うつくしい日本の季節をあらわす「七十二候」の言葉たちを中心に、ビジュアル、俳句、旬の食べ物、行事をお届けします。

★帯文には「ひとりに一冊」とも謳っているのですが、確かに本書は、「くらしのこよみ」アプリがいかに人気があるか、そのわけをはっきりと分からせてくれるとても素敵な本です。「歳時記」というとなんとなく若い人には「年寄りの好み」のように映るかもしれませんけれども、本書を手にとってよくよく中を眺めてみれば絶対に欲しくなりますし、日本の風土の素朴な豊かさがじわっと沁みてきて、巻末の「うつくしいくらしかた宣言」に素直に同意したくなるはずです。「うつくしいくらしかた研究所」というのは、平凡社さんと電通が運営されているそうです。なるほど、実に巧い打ち出し方だなと感心しました。

★なお「東洋文庫」の今月発売済の新刊は富士川英郎『江戸後期の詩人たち』。ここで言う「詩」とは「漢詩」のことで、約50人の略伝と代表作を紹介しています。来月の配本は『ラーマーヤナ 1』。かつて東洋文庫では80年代に岩本裕訳『ラーマーヤナ』が全二巻で出ていましたが、このたび新訳が成るようです。

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by urag | 2012-01-22 23:52 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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