2011年 12月 06日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

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◆近藤和敬さん(『構造と生成(I)カヴァイエス研究』著者)
◆西山雄二さん(『ブランショ政治論集』共訳者、デリダ『条件なき大学』訳者)
◆本橋哲也さん(スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』共訳者)
◆廣瀬純さん(『闘争のアサンブレア』共著者、ヴィルノ『マルチチュードの文法』訳者、ネグリ『芸術とマルチチュード』共訳者)

月刊誌『現代思想』2011年12月号「危機の大学」に、上記4氏が参加されています。

近藤和敬さんは、連載「真理の生成」を開始されました。第1回「問いの設定」が掲載されています。まもなく弊社より発売となる『構造と生成(I)カヴァイエス研究』は近藤さんのデビュー作となるもので、フランスの数理哲学者ジャン・カヴァイエスについての本邦初の本格的モノグラフになります。

西山雄二さんは特集冒頭の討議「大学はいかに可能か」に参加されています。また、討議に参加されている島薗進とともに、明日、以下の通りニコニコ生放送に出演されます。

ニコ生×現代思想「危機の大学」~御用学者と高学歴ワーキングプア~ (番組ID:lv72697153)

日時:2011年12月7日(水)開場:20:20 開演:20:30
出演:島薗進(宗教学者)、西山雄二(フランス思想家)、千葉雅也(司会・批評家)

内容:震災が大学に与えた影響とは何か? 高学歴ワーキングプアを量産する大学の未来とは? 思想や哲学を扱う雑誌として名高い青土社の『現代思想』が、ニコ生に初登場! 3月11日の大震災と原発事故の後、にわかにクローズアップされた「御用学者」問題。そもそも彼らはいかにして生まれたのか? 科学と社会、政治と学問の関係が今、問われている。また、「教養」の衰退、「就職予備校化」、学費の高騰、非正規雇用の拡大や「院生問題」(高学歴ワーキングプア)といった問題は、「大学改革」によるものだとの指摘も。番組では、このような諸問題から「大学」について考えていく。震災によって変化した学者と市民の関係とは? このまま大学は就職予備校と化すのか? 「院生問題」の思いもかけない解決策とは? 震災後、精力的に大学・学会の動向をウォッチしつづける宗教学者の島薗進氏、ドキュメンタリー映画『哲学への権利』の上映をはじめ、改革以後の教育現場の実情に精通するフランス思想家/監督の西山雄二氏を招き、震災以後の大学のあるべき姿について語りつくす。司会は、自身大学における非正規雇用者でもある気鋭の哲学者・千葉雅也氏。

島薗さんはまもなく平凡社より発売される新刊『3.11大震災 大学には何ができるのか』(多田孝文監修、渡邊直樹責任編集)の第1章「大学の社会的貢献の実践と、仏教、宗教者の役割」として収録された座談会「大学、仏教、宗教者は災害に何ができるのか」に参加されています。対談者は島薗さんのほか、本書の監修者である多田孝文さん(大正大学学長、天台宗大聖院住職)、稲葉圭信さん(大阪大学大学院准教授)で、司会が本書の責任編集者の渡邊直樹さんです。渡邊さんはかつて平凡社『太陽』の編集に携わられ、その後『SPA!』や『週刊アスキー』などの創刊編集長をお務めになられています。

なお、西山さんはご自身のブログ「哲学への権利」で訪仏のレポート5本(ユネスコでの世界哲学デーでの会議、日本人・韓国人留学生の合同哲フォーラム、ヴァルター・ベンヤミン展、レンヌ大学訪問記、パリの書店雑感)をアップされました。パリでの日本人・韓国人留学生哲学フォーラム「世界を表象/想像する?」には、馬場智一さん(サラ-モランス『ソドム』共訳者)も主催代表として参加され、ご自身も「イメージ、モナド、形而上学――レヴィナスが参加したハイデガーの講義から」と題した発表を行っておられます。

本橋哲也さんは「危機の大学」特集号に掲載された酒井直樹さんの論文「哲学とポストコロニアリズム――文明的転移と 「西洋〔ウエスト〕/その他〔レスト〕(the West and the Rest)」 という言説」を翻訳されています。また、本特集号に先行して発売された『現代思想』2011年12月臨時増刊号「上野千鶴子」で、上野さんの『ナショナリズムとジェンダー』(青土社、1998年)を読解する論考「「ポスト」 の思想としての 「ジェンダー」」を寄稿されています。同臨時増刊号では先述のニコ生イベントに出演される千葉雅也さんが上野さんの『セクシィ・ギャルの大研究』(光文社、1982年;岩波現代文庫、2009年)を読解する論考「共犯‐性と分身‐性」を寄稿されています。同臨時増刊号は上野さんと小熊英二さんとの討議を始め、研究者、作家、政治家まで錚々たる寄稿陣で固めておりたいへん読みごたえがあります。

廣瀬純さんは「危機の大学」特集号に論文「知力解放とその頭痛――新自由主義的政治状況における知識人の役割と債務」を寄稿されています。なお、廣瀬さんの週刊金曜日での連載「生の最小回路」は第30回までが河出書房新社さんで単行本化されるようです。


◆江川隆男さん(ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』訳者)
◆増田靖彦さん(ハーマッハー『他自律』訳者)

お二人の共訳書、ジル・ドゥルーズ+クレール・パルネ『ディアローグ――ドゥルーズの思想』が今月、河出文庫の新刊で刊行されました。同書は2008年に河出書房新社さんから刊行された単行本の改題文庫化。巻末には親本と同様に、訳者お二人の解説論文(江川隆男「対話と折衝」、増田靖彦「回帰の反復――ベルクソンからベルクソンへ」)が収録されています。原書は第5章「現働的なものと潜在的なもの」が追加収録された96年版。初版である77年版の旧訳には田村毅訳『ドゥルーズの思想』(大修館書店、1980年)があります。文庫版『ディアローグ』の帯文には「『千のプラトー』のエッセンスを凝縮した名著――〈生〉は実験である」とあります。『ディアローグ』は、ドゥルーズとガタリの共著『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』(ともに河出文庫)の間に出版されたものです。この二大共著のはざまにはほかに、ドゥルーズ+ガタリの『カフカ』『政治と精神分析』や、ドゥルーズ+ベーネ『重合』(すべて法政大学出版局)が刊行されています。いずれもエネルギッシュな素晴らしい本です。

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◆中山元さん(ブランショ『書物の不在』訳者)

「日経BPクラシック」シリーズより『資本論――経済学批判 第一巻』が全4分冊が先月末から刊行開始されました。底本はマルクス生前の1867年4月に唯一刊行された第1巻。今回発売された第1分冊(第1巻1)では、第1篇「商品と貨幣」と第2篇「貨幣の資本への変容」を収録。版元による内容紹介によれば、「第1分冊は、アルチュセールなど名うての『資本論』読みのプロが「最初は飛ばしたほうがいい」とアドバイスしている超難解な価値形態論を説明した第1章を含む。訳者の中山元さんは独仏英の3ヶ国語に堪能なこともあり、ディーツ社のドイツ語版をベースに、ところによって分かりやすい仏語版を採用してもいる。編集面では、小見出しや改行、傍点を適宜加え、これまで剰余価値と訳されてきたMehrwertを「増殖価値」と改訳している」とのことです。カント『純粋理性批判』もあと一巻で完結というこのタイミングでのマルクスの新訳。本当に驚異的なお仕事です。

なお、古書横断検索サイトAbeBooksでは、先月販売したもっとも高額な書籍は、マルクス『資本論』3巻本(1867年1885年、1894年)の初版で、51,739米ドルだったそうです。超円高の現在でも、ざっと400万円を超える値段。ひょっとして日本人が買ってたりして。


◆アントニオ・ネグリさん(『芸術とマルチチュード』著者)

作品社さんより著書の翻訳『戦略の工場――レーニンを超えるレーニン』(中村勝己+遠藤孝+千葉伸明訳)が刊行されました。550頁を超える大冊。帯文ではこう紹介されています。

「〈帝国〉の思想家ネグリが革命理論家レーニンを、21世紀に蘇らせる! 世界は、再び動乱と革命の時代を迎えた。20世紀を変革したレーニンの思想と理論を、21世紀変革の「理論的武器」として再構築する。/「すべての経済闘争は、政治闘争に転化しうる」(レーニン)。「私たちには、大きな課題が残されている。それは〈帝国〉の時代における、史的唯物論とコミュニズムの理論を再構築することである。〔……〕レーニンの抽象力が、〈帝国〉に抗するマルチチュードによるグローバルな革命の時代に、現実的になるために戻ってきたのだ。レーニンのユートピアが、21世紀世界の欲望になるために戻ってきたのである……」(ネグリ「序文」より要約)。レーニンとは、自らの理論の実践として、第一次大戦という世界の混乱期において、史上初の社会主義革命を実現した“革命理論家”である。そして世界は今、金融危機、中東の民主革命、米国の没落と中国の台頭など、ふたたび混迷の時代を迎えている。ソ連崩壊によって、偶像としてのレーニンは崩落したが、その思想と理論は、ふたたび混乱と変革の時代を迎えた世界で復活しようとしている。本書は、〈帝国〉の思想家ネグリが、20世紀を変革したレーニンの思想と理論を、21世紀の変革のための「理論的武器」として再構築するものである」。

巻末の解説論文は三本建てで、白井聡さん、市田良彦さん、訳者の中村さんによる力作揃い。目次詳細を以下に転記します。

◎『戦略の工場』目次

二〇〇四年版への序文……アントニオ・ネグリ

第Ⅰ部 レーニンとわたしたちの世代
第1講 レーニンのマルクス主義のマルクス的読解のために
第2講 資本の理論から組織化の理論へ(一): 経済闘争と政治闘争――階級闘争
第3講 資本の理論から組織化の理論へ(二): 組織化の労働者的性格――工場としての党
第4講 資本の理論から組織化の理論へのレーニンの歩みについて――いくつかの注釈
第5講 組織化の理論から革命の戦略へ(一)――プロレタリアートの独立性
第6講 組織化の理論から革命の戦略へ(二)――戦略の工場
第7講 組織化の理論から革命の戦略へ(三)――共産主義をめざす組織化
第8講 組織化の理論から革命の戦略にいたるレーニンの歩みについて――注釈 
第9講 技術としての蜂起と大衆の実践

第Ⅱ部 ロシア革命におけるレーニンと評議会、そして評議会主義に関する若干の考察
第10講 自然発生性と理論とのあいだにある評議会
第11講 レーニンと評議会――一九〇五年から一九一七年まで
第12講 評議会とレーニンによる実践の逆転
第13講 実践の改良主義的変容――こんにちにおける評議会とはなにか
第14講 問いの検証――評議会は権力機関か
第15講 大衆の評議会主義と切迫する労働者闘争

弁証法についての間奏――一九一四年から一九一六年までのノート

第16講 レーニン思想の再発見された形態としての弁証法 
第17講 ヘーゲルを読むレーニン 
第18講 哲学と政治学のあいだ――弁証法という武器 

第Ⅲ部 国家死滅の経済的な基礎――『国家と革命』読解
第19講 「誰がやりはじめるか」 
第20講 国家概念一般――国家は破壊することができるし破壊しなければならない 
第21講 国家〈死滅〉についての日和見主義的観念と革命的観念――社会愛国主義に対する労働者の憎悪
第22講 国家〈死滅〉の問題設定――平等に抗して 
第23講 国家〈死滅〉の物質的基礎の定義への最初のアプローチ――労働に抗して、社会主義に抗して
第24講 国家〈死滅〉の問題についてのマルクスの先駆性――価値法則に抗して
第25講 移行の問題設定の再審のために――不可能な社会主義と切迫する共産主義 
第26講 移行の問題設定の再審のために(再論)――大衆への言葉 
第27講 移行とプロレタリア独裁――労働者の特殊利害 
第28講 移行、労働者階級による統治の物質的基礎とその拡張 
第29講 とりあえずの結論のために――レーニンとわたしたち 

補論 「極左路線」〔「左翼主義」小児病〕について――ひとつの結論とひとつの始まり
第30講 困難な均衡 
第31講 極左路線のひとつの定義といくつかの(相応しい?)模範 
第32講 闘争の新たなサイクルに向けて 
第33講 『左翼小児病』から『なにをなすべきか?』へ

[日本語版解説]
二一世紀世界の“欲望”として再生するレーニンのユートピア……白井 聡
歴史のなかの『レーニン講義』、あるいは疎外なきルカーチ……市田良彦
七〇年代イタリアにおける後期マルクス主義の成立……中村勝己

本書の原書はまず初版が1977年にCLEUP(cooperativa libraria editrice degli studenti dell'universita di padova)/collettivo editoriale librirossiによってLa fabbrica della strategia, 33 lezioni su Leninという書名で刊行され、その後、新たな序文を付して2004年にmanifestolibriからTrentatre lezioni su Leninと副題を正題に変更して再刊されました。2008年には新装版が出ています。今回の訳書は2004年版の翻訳です。

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◆伊藤一博さん(ユンガー『パリ日記』企画関係者)

弊社6月刊、エルンスト・ユンガーの『パリ日記』の訳者あとがきをお読みになった方はご存知かと思いますが、もともと私家版であったこの訳書を弊社で再刊するきっかけとなったのは、「毎日新聞」の「ひと」欄に掲載された、訳者山本尤先生を紹介する記事でした。この記事を書いたのが伊藤一博さんです。伊藤さんは最近、元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎について「ひと」欄で紹介記事「坂本慎太郎さん ソロ始動した元「ゆら帝」リーダー」(2011年11月29日付)を書かれています。御承知の通り坂本さんは先月ファースト・ソロアルバム「幻とのつきあい方(How To Live With A Phantom)」を発表されました。記事によれば「自分としては軽いリズムで質感の良い、ロックっぽくない音楽を作ったつもりなのに、業界の旧友から『重い。死の臭いがする』と評されて驚きました」とのこと。アルバムに収録されている「君はそう決めた(You Just Decided)」のPVでは坂本さん自身が製作したアニメーションを見ることができます。



なお、伊藤さんの最近のお薦めは、柴幸男さん作・演出の演劇公演、「あゆみ」。「奇跡的な70分間」とのことです。明日から金曜日まで横浜赤レンガ倉庫1号館で上演。
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by urag | 2011-12-06 12:27 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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