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2011年 08月 14日

今週発売の注目新刊(2011年8月第3週)

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★人文書院さんのすぐれた入門書「ブックガイドシリーズ 基本の30冊」の最新刊は二点同時発売です。取次搬入が18日(木)。続刊はこの秋、松村圭一郎『文化人類学』になるそうです。このシリーズは人文書棚をどうやって構成しようかと日々研鑽されている書店員さんにとっても、基本書をどう扱うかということを考える上で非常に有益だと思います。

日本思想史
子安宣邦編
人文書院 2011年8月 本体1,800円 46判並製202頁 ISBN978-4-409-00105-9

帯文より:「日本」という枠組みを問い直し、思考を触発し続ける30冊。

目次:
まえがき
第1部 日本/古代
 網野善彦『日本論の視座――列島の社会と国家』小学館、1990年(新装版2004年)
 山尾幸久『日本国家の形成』岩波新書、1977年
 津田左右吉『神代史の新しい研究』二松堂書店、1913年
 和辻哲郎『日本古代文化』岩波書店、初版1920年(改訂1925年、改稿1939年、新稿1951年)
 三品彰英『日本神話論』平凡社『三品彰英論文集』第1巻、1970年
 西郷信綱『古事記の世界』岩波新書、1967年
第2部 中世
 高取正男『神道の成立』平凡社、1979年(平凡社ライブラリー1993年)
 黒田俊雄『寺社勢力』岩波新書、1960年
 網野善彦『無縁・公界・楽』平凡社、1978年(増補版1987年、平凡社ライブラリー1996年)
 大隅和雄『信心の世界、遁世者の心』中央公論社『日本の中世』2、2002年
第3部 近世①
 阿部吉雄『日本朱子学と朝鮮』東京大学出版会、1965年
 野口武彦『江戸の歴史家』筑摩書房、1979年(ちくま学芸文庫1993年)
 子安宣邦『江戸思想史講義』岩波書店、1998年(岩波現代文庫2010年)
 ヘルマン・オームス『徳川イデオロギー』黒住真ほか訳、ぺりかん社、1990年
 丸山眞男『日本政治思想史研究』東京大学出版会、1952年
 尾藤正英『江戸時代とは何か』岩波書店、1992年(岩波現代文庫2006年)
第4部 近世②
 村岡典嗣『本居宣長』警醒社、1911年(岩波書店1928年、増補版1・2平凡社東洋文庫2006年)
 小林秀雄『本居宣長』新潮社、1977年(新潮文庫上下巻1992年)
 E・H・ノーマン『忘れられた思想家――安藤昌益のこと』上下巻、大窪愿二訳、岩波新書、1950年
 テツオ・ナジタ『懐徳堂――18世紀日本の「徳」の諸相』子安宣邦監訳、岩波書店、1992年
 伊東多三郎『草莽の国学』羽田書店、1945年(再版真砂書房1966年、増訂版名著出版1972年)
第5部 近代/現代
 大川周明『日本精神研究』文録社、1927年(明治書房1939年)
 相良亨『日本人の伝統的倫理観』理想社、1964年
 湯浅泰雄『近代日本の哲学と実存思想』創文社、1970年
 色川大吉『新編 明治精神史』黄河書房、1964年(講談社学術文庫上下巻1977年)
 安丸良夫『近代天皇像の形成』岩波書店、1992年(岩波現代文庫2007年)
 村上重良『国家神道』岩波新書、1970年
 戸坂潤『日本イデオロギー論』白揚社、1935年(岩波文庫1977年)
 竹内好『日本とアジア』筑摩書房『竹内好評論集』3、1966年(ちくま学芸文庫1993年)
 子安宣邦『近代知のアルケオロジー』岩波書店、1996年(増補→岩波現代文庫『日本近代思想批判』2003年)

★目次情報に副題と出版社名、刊行年を足して掲出しておきます。中には現時点で別の版が存在している本もありますが、基本的にガイドブック内で記載されているもののみを書き起こしました。以下の『メディア論』の目次についても同様です。

メディア論
難波功士著
人文書院 2011年8月 本体1,800円 46判並製226頁 ISBN978-4-409-00106-6

帯文より:クールでホット、神経をツイストさせる誘(いざな)いの30冊。

目次:
はじめに
第1部 メディアの生成
 ベンヤミン『複製技術時代の芸術』河村二郎ほか訳、紀伊國屋書店、1965年
 オング『声の文化と文字の文化』桜井直文ほか訳、藤原書店、1991年
 リップマン『世論』掛川トミ子訳、岩波文庫、1987年
 マーヴィン『古いメディアが新しかった時――19世紀末社会と電気テクノロジー』吉見俊哉ほか訳、新曜社、2003年
 水越伸『メディアの生成――アメリカ・ラジオの動態史』同文館、1993年
 フィッシャー『電話するアメリカ――テレフォンネットワークの社会史』吉見俊哉ほか訳、NTT出版、2000年
 フルッサー『写真の哲学のために』深川雅文訳、勁草書房、1999年
 前田愛『近代読者の成立』有精堂出版、1973年(岩波現代文庫2001年)
 北田暁大『広告の誕生――近代メディア文化の歴史的社会学』岩波書店、2000年(岩波現代文庫2008年)
 加藤秀俊『テレビ時代』中央公論社、1958年
第2部 マスメディアの世紀
 有山輝雄『近代日本のメディアと地域社会』吉川弘文館、2009年
 佐藤健二『読書空間の近代――方法としての柳田国男』弘文堂、1987年
 キャントリル『火星からの侵入――パニックの社会心理学』斎藤耕二ほか訳、川島書店、1971年
 ヴィリリオ『戦争と映画――知覚の兵站術』石井直志ほか訳、UPU、1988年(平凡社ライブラリー1999年)
 ブーアスティン『幻影の時代――マスコミが製造する事実』後藤和彦ほか訳、東京創元社、1964年
 ホガート『読み書き能力の効用』香内三郎訳、晶文社、1974年
 モラン『プロデメの変貌――フランスのコミューン』宇波彰訳、法政大学出版局、1975年
 萩元晴彦、村木良彦、今野勉『お前はただの現在にすぎない――テレビになにが可能か』田畑書店、1969年(朝日文庫、2008年)
 パットナム『孤独なボウリング――米国コミュニティの崩壊と再生』柴内康文訳、柏書房、2006年
 メイロウィッツ『場所感の喪失――電子メディアが社会的行動に及ぼす影響』上巻、安川一ほか訳、新曜社、2003年

第3部 メディアの現在進行形
 アンダーソン『増補 想像の共同体――ナショナリズムの起源と流行』白石さやほか訳、NTT出版、1997年
 佐藤卓己『現代メディア史』岩波書店、1998年
 キットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』石光泰夫ほか訳、筑摩書房、1999年(ちくま学芸文庫上下巻2006年)
 原崎惠三『海賊放送の遺産』近代文藝社、1995年
 ペンリー『NASA/トレック――女が宇宙を書きかえる』上野直子訳、筑摩書房、1998年
 とりみき『愛のさかあがり[天の巻][地の巻]』角川書店、1987年(ちくま文庫上下巻1995年)
 吉見俊哉、若林幹夫、水越伸『メディアとしての電話』弘文堂、1992年
 井手口彰典『ネットワーク・ミュージッキング』勁草書房、2009年
 ライアン『膨張する監視社会――個人識別システムの進化とリスク』田畑暁生訳、青土社、2010年
 マクルーハン『メディア論――人間拡張の諸相』栗原裕訳、みすず書房、1987年

★シリーズ以外の人文書院さんの続刊予定には、たとえばエリファス・レヴィ『大いなる神秘の鍵――エノク、アブラハム、ヘルメス・トリスメギストス、ソロモンによる』(鈴木啓司訳)や、ロビン・D・G・ケリー『フリーダム・ドリームス』(高廣凡子・篠原雅武訳)などがあります。前者は『高等魔術の教理と祭儀』(1856年)、『魔術の歴史』(1860年)に続く、魔術三部作の完結篇(1861年)です。前二作は人文書院さんから刊行されています。


儀礼と権力 天皇の明治維新 
ジョン・ブリーン(John Breen, 1956-)著
平凡社 2011年8月 本体3,000 円 四六判上製296頁 ISBN978-4-582-84231-9

帯文より:維新期、天皇は何をしていたか? 権力の新編成、その表示と定着、対外的な主権の確立、そして万世一系の神話を組み込む近代国家の統合の中核づくり……その真ん中でいそしむ天皇の儀礼的身体をとらえる!

カバー裏紹介文より:幕末・明治維新期、天皇は諸勢力に担がれる「玉」として、あるいは礼拝される御真影の図像として、スタティックにあっただけではない。たとえば五ヶ条の誓文の式典において、新しい権力編成を上演し、世界に刻み込むアクターとして、たとえば主権の確立に向け諸国の公使を謁見する勲章で飾られた万国公法的身体として、また万世一系神話を組み込み再編成される近代神道の中心として、日々自らの役割に具体的に邁進していた。〈儀礼と権力〉の支店から、日本の近代国家と天皇のありようをとらえなおす、画期的な論考!

目次:
はじめに
序章 明治天皇を読む
第一部 近代天皇と国家儀礼
 第一章 孝明政権論――将軍の上洛と国家儀礼の再編成
 第二章 天皇の権力――国家儀礼としての「五ヶ条の誓文」
 第三章 明治天皇の外交
第二部 近代神社・神道の祭祀と儀礼
 第四章 近代神道の創出――神仏判然令が目指したもの
 第五章 神道の可能性と限界――大国隆正の神道論
 第六章 神社と祭りの近代――官幣大社日吉神社の場合
付論 靖国――戦後の天皇と神社について
あとがき
索引

★著者はイギリス人の日本史家。現在は国際日本文化研究センター教授。「はじめに」によれば「本書は、明治維新を軸に近代の天皇を儀礼的な観点から語るものである。第一部では、孝明、明治両天皇に焦点をしぼり、天皇が主役の儀礼の力学を考察するが、第二部では、同じく明治維新を軸として神社に目を向け、神社の祭祀、祭礼(どちらも儀礼の範疇に入る)の近代的意味を考える」とのこと。ここ5、6年の間に著者が各所で発表してきた論考をまとめたものです。近代日本における天皇制の変遷を振り返る上で勉強になります。
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by urag | 2011-08-14 01:20 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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