2011年 06月 27日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

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◎加治屋健司さん(ボワ+クラウス『アンフォルム』共訳者)

ジュンク堂書店京都BAL店の5階にて今月5日から好評開催中のブックフェア「ネゴシエーションとしてのアート──『表象05』サブテクスト20選」で選書を担当されています。同フェアは、平倉圭『ゴダール的方法』(インスクリプト)と橋本一径『指紋論』(青土社)が第2回表象文化論学会賞を受賞したことを記念するブックフェア「ゴダールと指紋――『ゴダール的方法』『指紋論』表象文化論学会賞受賞記念」を構成する四つの柱のひとつになっています。四つの柱とは、「視‐聴覚的思考を更新するための65冊+α──『ゴダール的方法』のコンテクスト【増補版】」(平倉圭=選)、「指先から広がる人文学の世界──『指紋論』をめぐる66冊」(橋本一径=選)、「ネゴシエーションとしてのアート──『表象05』サブテクスト20選」(加治屋健司=選)「写真家たちによって編集されるもっとも過激な!写真雑誌。──『photographers' gallery press no.10』刊行記念フェア」の四つです。平倉圭・選書の65冊(+α)、橋本一径・選書の66冊、加治屋健司・選書の20冊については、それぞれ選書コメント付きのリーフレットが作成されており、売場にて無料配布されています。下記の写真は右が加治屋さんのコメント付き選書リスト小冊子です。フェアは7月16日(土)まで開催されると聞いておりますので、ぜひご来店いただけたら幸いです。

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ご参考までに、写真左は『photographers' gallery press no.10』で、ディディ=ユベルマンをフィーチャーした日本初の特集「ジョルジュ・ディディ=ユベルマン――イメージで思考する」が組まれています。この特集では、『指紋論』の橋本一径さんが、ディディ=ユベルマンの二つのテクスト「蛍の残存――第2章」「イメージは燃える」を翻訳されており、さらに23頁にわたるインタビュー「ジョルジュ・ディディ=ユベルマンに聞く」の聞き手もつとめられ、自ら「《アトラス》――いかにして世界を背負うか」という論考も寄せられています。また、橋本さんとともに上記の学会賞を受賞されている平倉圭さんも「時間の泥――ロバート・スミッソン《スパイラル・ジェッティ》」という論文を寄稿されています。弊社から発売させていただいた写真集『picnic』の作者である瀬戸正人さんのエッセイ「Varzea/バルセア――消えゆく大地」も、本号に収録されています。


◎西山雄二さん(『ブランショ政治論集』共訳者、デリダ『条件なき大学』訳者)
◎大竹弘二さん(ガルシア・デュットマン『友愛と敵対』共訳者、同『思惟の記憶』訳者)
◎江川隆男さん(ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』訳者)
◎郷原佳以さん(『ブランショ政治論集』共訳者)

四氏が寄稿された『現代思想』7月臨時増刊号「総特集=震災以後を生きるための50冊――〈3・11〉の思想のダイアグラム」が青土社より発売されました。これは55名もの書き手がそれぞれ、今こそ読み直したい(というお題のもとに選ばれたろうと私が勝手に想像している)本を一冊ずつ挙げて読解を試みている特集号で、実に壮観です。四氏が書かれたのは以下の通り。

西山雄二さん「レヴィナス『実存から実存者へ』――カタストロフィの哲学」
大竹弘二さん「シュミット『独裁』――統治が技術に変容するとき」
江川隆男さん「ルクレティウス『物の本性について』――天災と人災の究極的融合:ルクレティウスと気象哲学」
郷原佳以さん「カミュ『シーシュポスの神話』――日常との向き合い方」

ガイドブックにありがちな「分担」形式ではなく、寄稿者が同じ本を選んでも構わないという編集方針だったのか、大宮勘一郎さんと田崎英明さんと門林岳史さんのお三方がクライストの『チリの地震』を選んでいらっしゃるのが印象的でした。そういえば、河出書房新社さんから発売された『思想としての3・11』の巻頭を飾る、佐々木中さんの紀伊國屋じんぶん大賞2010受賞記念講演(4月15日)でも『チリの地震』を取り上げていらっしゃいましたね。同短編作品の既訳には、白旗信訳(井上正蔵編『ドイツ短篇名作集』所収、学生社、1961年)、福田英男訳(『ドイツの文学(12)』所収、三修社、1966年)、柏原兵三・中田美喜訳(『世界の文学 新集(5)』所収、中央公論社、1972年)、種村季弘訳(『チリの地震』所収、王国社、1990年;『ドイツ・ロマン派全集(11)』所収、国書刊行会、1990年;『チリの地震――クライスト短篇集』所収、河出文庫、1996年)、佐藤恵三訳(『クライスト全集(1)』所収、沖積舎、1998年)などがあります。なお、同臨時増刊号では先述した橋本一径さんや平倉圭さんも寄稿されています。

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3・11以後の日本の思想状況を占う上で、今回ご紹介した『現代思想』7月臨時増刊号「総特集=震災以後を生きるための50冊――〈3・11〉の思想のダイアグラム」(青土社)と、先日ご紹介した『思想としての3・11』(河出書房新社)は欠かせないアンソロジーであると言えますが、今後さらに類書が増えそうです。ただし、直接的に「3・11」を掲げていなくても、震災の衝撃はあちこちに波紋を広げています。河出さんの「道の手帖」シリーズ最新刊『ウィトゲンシュタイン』の巻頭に置かれた、鬼界彰夫さんの「今こそ読むべきウィトゲンシュタイン」では、危機の時代にこそいっそうウィトゲンシュタインに注目が集まるだろうと述べられていますし、震災前の連続講義が書籍化された大澤真幸さんの『社会は絶えず夢を見ている』(朝日出版社、2011年5月)や、同じく震災前に脱稿された長崎浩さんの『共同体の救済と病理』(作品社、2011年6月)においても、それぞれの「あとがき」に震災へのまなざしが刻みこまれています。震災を境にして何かが変わったというよりは、震災前にすでに語られ書かれていたことがいっそうの重みをもって震災後にそのポテンシャルを顕在化させているのだ、と言うべきだろうと思います。大澤さんは上記書のあとがきにこう綴っておられます、「本書に収録した四つの講義はすべて、3・11の破局よりも前に行われたものである。しかし、私自身が驚いている。講義の中のさまざまな論材が、破局後の主題とあまりに直接的に対応していることに、である」(304頁)。あるいは、長らく品切だった原発関連書が次々に復刊されているのも、問題意識の高まりによって歴史との再会が果たされつつあるからでしょう。過去は墓場なのではなく、生きた現在をつくる幾つもの息吹なのだ、と昨日に続けて今日も強調しておきます。

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西山雄二さんが参加される以下の催事についてもお知らせします。

アレゼール日本シンポジウム「沈黙の喪のなかにいる全国の大学人へ、福島そして東京からのメッセージ」
2011年7月16日(土) 13:30~18:00
早稲田大学 早稲田キャンパス8号館B02教室(地下1階)

発言: 石田葉月(福島大)、入江公康(立教大)、岩崎稔(東京外語大)、鵜飼哲(一橋大)、白石嘉治(上智大)、高橋哲哉(東京大)、西山雄二(首都大学東京)、浜邦彦(早稲田大)
司会:岡山茂(早稲田大)

6月初旬、福島大学の教員12名が県知事に宛てて、放射能被曝の現状解明と対策を求める「要望書」を提出した。福島の大気と大地と海がとりかえしのつかない形で汚染されるなか、その事実から目をそむけることなく行動することを彼らは訴えている。「フクシマ」はわれわれにとって対岸の火事ではない。日本の大学人は惨事後の呆然とした沈黙に留まるよりは、「喪」を意識化する作業を通じて、自らの身体と言葉で応答する準備を始めるべきではないだろうか。今回は、福島からの声を聞き、東京からのメッセージを「大学」という場所で共鳴させることで、現在のカタストロフィを思考するための希望の糸口を模索したい。

参加料無料、事前申込不要 主催:アレゼール日本


◎中山元さん(ブランショ『書物の不在』訳者)

訳書であるカント『純粋理性批判(5)』(光文社古典新訳文庫)が先月、著書の『正義論の名著』(ちくま新書)が今月発売になりました。中山さんの驚くべき仕事量は多くの後進の励みになっているのではないでしょうか。ただただ驚嘆するばかりです。

◎森山大道さん(『新宿』『新宿+』『大阪+』『ハワイ』『にっぽん劇場』『何かへの旅』作者)

明日28日からいよいよ、大阪国立国際美術館にて「森山大道写真展On the Road」(6/28~9/19)が開催されます。弊社より近日発売の公式カタログ『森山大道 オン・ザ・ロード』が、同館ミュージアムショップでは明日より先行発売されます。皆様のご来館をお待ちしております。
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by urag | 2011-06-27 23:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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