「ほっ」と。キャンペーン
2011年 05月 17日

まもなく発売:ピーター・シンガー『動物の解放 改訂版』人文書院より

a0018105_2045621.jpg

動物の解放 改訂版
ピーター・シンガー:著 戸田清:訳
人文書院 2011年5月 本体4,400円 A5判上製406頁 ISBN978-4-409-03078-3

帯文より:動物への非倫理的扱いを禁止せよ――。世界における動物福祉論の最大の画期となり、現在まで重要性を増し続ける革命的書物にしてシンガーの代表作。そのあまりに苛烈かつ論理的な倫理の要求は、われわれ全存在に向けられている。大幅な改稿を施された2009年版にもとづく決定版。動物の権利〔アニマル・ライツ〕運動のバイブル。

原書:Animal Liberation, Harper Perennial Modern Classics: New York, 2009.

目次:
二〇〇九年版への序文
一九七五年版への序文

第一章 すべての動物は平等である
第二章 研究の道具
第三章 工場畜産を打倒せよ
第四章 ベジタリアンになる
第五章 人間による支配
第六章 現代のスピシーシズム

謝辞
付録1 動物解放の三〇年
付録2 著者について――シンガーによるシンガー
訳者あとがき
参考文献・読書案内
原注
索引

★本日5月17日取次搬入とのことで早いお店では明日以降に発売開始になるものと思われます。同訳書の初版は「技術と人間」から1988年9月に刊行され、2002年1月にトーハン系のオンデマンドサービス「デジタルパブリッシングサービス」で同書の3刷として復刊されました(写真左)が、これも久しく品切になっていたようです。今回の改訂版の担当編集者のMさんによれば、アマゾン・マーケットプレイスではかなり高価だったとか。確かに今日現在、最安値で12,000円。学術書ではよくありがちな価格上昇です。2002年のオンデマンド版も当時3,700円という結構なお値段でしたが、復刊したけれどいつのまにか品切になってる、というのもよくあることで、購入をためらっているうちになくなりますから、復刊ものは一期一会ですねえ。ともあれ本書は多くの論争を巻き起こした現代の古典ですからニーズはあったわけです。

★日本はこのところさんざんシー・シェパードに調査捕鯨を邪魔されてきましたから、国民的感情としては動物保護運動はどこか胡散臭い大義名分の「偽善」という印象が一般的には強いかもしれません。しかし一方で、先日ご紹介したジョナサン・サフラン・フォア『イーティング・アニマル――アメリカ工場式畜産の難題〔ジレンマ〕』(黒川由美訳、東洋書林、11年4月)が暴いているような、食肉工場の安全性問題というのは、さいきんの「ユッケ食中毒死事件」でかなり注目されてきていると思います。シンガーの考えというのはさらに進んでいて、本書は「ヒト以外の動物に対する人類の専制政治についての書物」(12頁)であり、乱暴に要約すると、畜産や動物実験による搾取をやめて菜食主義者として人類は出直すべきだと言うわけです。シンガーの主張への賛否は色々あると思いますし、彼の論旨は完全無欠とは言い難いのですが、20世紀後半以後の倫理思想に本書が新局面を提示したことは確かです。

◎ピーター・シンガー(Peter Singer: 1946)既刊訳書
『アニマルファクトリー――飼育工場の動物たちの今』(ジム・メイソンとの共著、高松修訳、現代書館、82年8月)
『試験管ベビー』(ウィリアム・ウォルターズとの共編、坂元正一ほか訳、岩波書店、83年10月)
『動物の権利』(ピーター・シンガー編、戸田清訳、技術と人間、86年9月)
『動物の解放』(戸田清訳、技術と人間、88年9月;改訂版、人文書院、11年5月)
『生殖革命――子供の新しい作り方』(ディーン・ウェールズとの共著 、加茂直樹訳、晃洋書房、88年11月)
『マルクス』(重田晃一訳、雄松堂出版、89年6月)
『実践の倫理』(山内友三郎ほか監訳、昭和堂、91年9月;新版、昭和堂、99年10月)
『私たちはどう生きるべきか――私益の時代の倫理』(山内友三郎監訳、法律文化社、95年9月;改訳版、法律文化社、99年5月)
『ヘーゲル入門――精神の冒険』(島崎隆訳、青木書店、95年12月)
『生と死の倫理――伝統的倫理の崩壊』(樫則章訳、昭和堂、98年2月)
『大型類人猿の権利宣言』(パオラ・カヴァリエリとの共編、山本友三郎ほか監訳、昭和堂、01年4月)
『現実的な左翼に進化する――進化論の現在』(竹内久美子訳、新潮社、03年2月)
『「正義」の倫理――ジョージ・W・ブッシュの善と悪』(中野勝郎訳、昭和堂、04年7月)
『グローバリゼーションの倫理学』(山内友三郎ほか監訳、昭和堂、05年7月)
『人命の脱神聖化』(山内友三郎ほか監訳、晃洋書房、07年7月)

※ピーター・シンガーには同姓同名の著名人がいて、生命倫理学者ピーター・アレクサンダー・シンガー(1960-)や政治学者ピーター・ウォレン・シンガー(1974-)がいます。
[PR]

by urag | 2011-05-17 20:01 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://urag.exblog.jp/tb/12596156
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< 今週発売の注目新刊(2011年...      ボワ+クラウス『アンフォルム』... >>