2011年 02月 25日

本日発売:バリバール『スピノザと政治』水嶋一憲訳、水声社より

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スピノザと政治
エティエンヌ・バリバール(Étienne Balibar, 1942-)著 水嶋一憲(みずしま・かずのり、1960-)訳
水声社 2011年2月 本体4,000円 A5判上製288頁 ISBN978-4-89176-802-7

帯文より:いまなお謎めいた存在でありつづけている、きわめて難解な17世紀オランダの哲学者の、ついには《同時代人たちが争っていた諸種の問い――信仰と理性、絶対主義と社会契約、等々――を徹底的に転位させる》に至った、その政治=哲学を、マルクスとの《相補的な交換性》をも視野に入れながら、ネグリ以降の新たな視点で読み解く。

原書:Spinoza et la Politique, PUF, 1985.

目次:
序言
校訂版、翻訳、研究道具
第一章 スピノザの党派
 〈自由党派〉
 宗教か神学か
 予定と自由意思――宗教的イデオロギー間の抗争
 諸教会、諸宗派、諸党派――オランダ共和国の危機
第二章 『神学・政治論』――民主制のマニフェスト
 最高権力の権利と思考する自由
 「もっとも自然な」統治形態――民主制
 歴史哲学?
 神権制の名残
第三章 『政治論』――国家の科学
 一六七二年以降――新たな問題設定
 『政治論』のプラン
 権利と力能
 「政治体」
 国家の精神――決定
第四章 『エティカ』――政治的人間学
 社会性
 服従とは何か?
 『エティカ』とコミュニケーション
第五章 政治とコミュニケーション
 力能と自由
 「欲望とは人間の本質そのものである」
 共同体のアポリアと認識の問い
補論 政治的なるもの、政治――ルソーからマルクスへ、マルクスからスピノザへ
訳註
年譜
書誌
マルチチュードの力能と恐れ(水嶋一憲)
訳者あとがき

★原著1985年刊の『スピノザと政治』の日本語訳に2本の論文が追加で訳出しされています。第五章(1989年)と補論(1993年)がそれです。

★エティエンヌ・バリバール(Étienne Balibar, 1942-)単独著日本語訳一覧
『プロレタリア独裁とはなにか』加藤晴久訳、新評論、1978年2月
『史的唯物論研究』今村仁司訳、新評論、1979年3月
『ルイ・アルチュセール――終わりなき切断のために』福井和美編訳、藤原書店、1994年10月
『マルクスの哲学』杉山吉弘訳、法政大学出版局、1995年12月
『市民権の哲学――民主主義における文化と政治』松葉祥一訳、青土社、2000年10月
『ヨーロッパ、アメリカ、戦争――ヨーロッパの媒介について』大中一彌訳、平凡社、2006年12月
『ヨーロッパ市民とは誰か――境界・国家・民衆』松葉祥一+亀井大輔訳、平凡社、2007年12月
『真理の場所/真理の名前』堅田研一+澤里岳史訳、法政大学出版局、2008年10月

★バリバールのデビュー作は言うまでもなくルイ・アルチュセールとの共著『資本論を読む』(初版1965年/ちくま学芸文庫1996-1997年、改訂版1968年/合同出版1974年)ですが、初版当時、バリバールはわずか23歳で、師匠のアルチュセール(1918-1990)とはふたまわりも違う若さでした。マルクス主義哲学者の新鋭として日本でも70年代から単独著が訳されてきましたが、80年代はまったく翻訳なし。今回の著書はその時期にフランスで出版された本です。本書は、アルチュセール門下でバリバール同様に『資本論を読む』初版本の共著者であるピエール・マシュレ(Pierre Macherey, 1938-)の著書『ヘーゲルとスピノザ』(1979年/新評論1986年)や、投獄中のアントニオ・ネグリ(Antonio Negri, 1933-)の大きな成果『野生のアノマリー――スピノザにおける力能と権力』(1981年/作品社2008年)や、ジル・ドゥルーズの『スピノザ――実践の哲学』(1981年/平凡社1994年/平凡社ライブラリー2002年)と並んで、スピノザの政治哲学の革新性を分析した、フランスにおける一連のスピノザ・ルネサンスの古典的名著として知られています。

★ちょうど先月、國分功一郎さんの大著『スピノザの方法』が、みすず書房から刊行され、人文業界の話題をさらっています。スピノザの訳書もあわせて、本屋さんの書棚がにぎわうといいなと思います。

★スピノザの主著『エティカ』(中公クラシックス、2007年)の訳者、工藤喜作先生は日本でのスピノザ研究の第一人者でいらっしゃいましたが、2010年1月22日に79歳でお亡くなりになりました。弊社のような零細企業にもやさしく接してくださり、いくつかの出版企画が実現するはずでした。あらためて心からの哀悼の意を捧げる次第です。
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by urag | 2011-02-25 19:29 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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