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2011年 02月 07日

注目新刊:主に11年1月から2月にかけて(その2)

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★『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎(上)』ケイティ・サレン+エリック・ジマーマン著、山本貴光訳、ソフトバンククリエイティブ、2011年2月
ゲームデザインの基本的文献の翻訳。全二巻で上巻にはユニット1と2、続刊予定の下巻にはユニット3と4が収録されます。トータルでは全33章。文理にわたる幅広い名著や基本文献が出てくるので、これはまさに山本さんのような方でなければ訳すのがキツいであろう仕事です。山本さんのこれまでの著書、『コンピュータのひみつ』(朝日出版社、2010年9月)、『ゲームの教科書』(馬場保仁共著、ちくまプリマー新書、2008年12月)、『心脳問題』(吉川浩満共著、朝日出版社、2004年6月)や、訳書、ジョン・サール『MiND 心の哲学』(吉川浩満共訳、朝日出版社、2006年3月)と併せてガッツリ読みたい本です。山本さんのお仕事には一貫性がありますから、「ゲーム=コンピュータ=脳=心」の諸問題をつなぐ豊かな海図がかいま見えてくるのではないかと思います。

ごく直感的な選書になりますが、写真では原田霊道訳著『現代意訳 華厳経』(書肆心水、2010年11月)と、『新版 能・狂言事典』(平凡社、2011年1月)とのあいだに挟まってもらいました。「悟達=宇宙/花=伎芸」の問題系への遊戯の機微として。


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★『新キーワード辞典――文化と社会を読み解くための語彙集』T・ベネット+L・グロスバーグ+M・モリス編、河野真太郎+秦邦生+大貫隆史訳、ミネルヴァ書房、2011年1月
帯文に曰く「レイモンド・ウィリアムズの『キーワード辞典』の精神を活かした現代の文化と社会を理解するための読む〈辞典〉」。ウィリアムズの『キーワード辞典』は原著Keywords: A Vocabulary of Culture and Societyが1976年に刊行され、この初版本では110項目のキーワードが扱われていました。これの訳書が岡崎康一訳で、晶文社から1980年に『キイワード辞典』として出版されています。続いて原著は1983年に改訂版が刊行されました。キーワードは21項目追加され、合計131項目になります。こちらの翻訳は2002年に『完訳 キーワード辞典』(椎名美智+武田ちあき・越智博美・松井優子訳、平凡社、2002年8月)として出版されます。そして今回刊行された『新キーワード辞典』の原著New Keywords: A Revised Vocabulary of Culture and Societyは2005年に出版され、142項目が扱われています。

試しにAから始まるキーワードについて、ウィリアムズ版『完訳 キーワード辞典』と、『新キーワード辞典』を比較してみましょう。前者で扱われるAから始まるキーワードは、Aesthetic(美的・美学的・審美的)、Alienation(疎外)、Anarchism(無政府主義・アナーキズム)、Anthropology(人類学・文化人類学)、Art(芸術・美術・技術)でした。後者では、Aesthetics(美学)、Alternative(オルタナティヴ)、Art(芸術)、Audience(オーディエンス)です。なるほど確かに時代の変遷を感じさせますね。後者の「序論」にはこう書かれています、「『新キーワード辞典』は、おおくの項目がさまざまな程度において理論的著作に依存するにせよ、現代の文化・社会理論の語彙集ではない」(v頁)。執筆者は61名にのぼり、その中には酒井直樹さんの名前も見えます。カルチュラル・スタディーズの諸分野で著名な学者ばかりで、実に豪華な「読む辞典」です。


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★『ゴダール的方法』平倉圭著、インスクリプト、2010年12月
著者の平倉圭さんは1977年生まれ。本書がデビュー作になります。芸術論・知覚論がご専門で、美術家としても活動されています。ヴィジュアル・スタディーズの注目の俊英です。写真右側は、ジュンク堂書店新宿店と青山BC本店にて今月いっぱい行われる刊行記念ブックフェアで無料配布されている、平倉さん選書によるブックリスト「視-聴覚的思考を更新するための50冊+α――『ゴダール的方法』のコンテクスト」です。一点ずつ興味深い選書コメントが添えられています。弊社刊『アンフォルム』も取り上げていただいています。

平倉さんによるレクチャーが今後、以下の通り予定されています。

ゴダールを解体する──『ゴダール・ソシアリスム』分析から出発して
日時:2011年2月27日(日)18:00~20:00
場所:青山BC本店・カルチャーサロン
料金:800円

◎フォルムとマテリアル――ロバート・スミッソン論(仮)
日時:2011年3月21日(月)
場所:新宿・photographers' gallery
※詳細は今月下旬に「インスクリプト通信」にて公開予定。
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by urag | 2011-02-07 05:32 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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