2011年 01月 09日

サンデル「ハーバード白熱教室」と、本日放送の小林正弥「白熱教室JAPAN」

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サンデル教授の「ハーバード白熱教室」がお正月に二夜連続で再放送された影響で、本屋さんでサンデル本が再び売れているようです。いくらなんでも元旦にやるとは正直驚きましたが、正月休みだからこそ見れる、という視聴者もいたことでしょう。年末には講義のDVDBOXが発売されたことですし、何度見直しても勉強になりますね。再放送された「ハーヴァード白熱教室」について復習されたい方は昨年10月に刊行された『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(上下巻、早川書房)をぜひお読みください。

DVDBOXのほか、昨年末にはサンデル教授の六本木ヒルズでの講義が『日本で「正義」の話をしよう』(早川書房)として発売され、さらに「白熱教室」の解説でおなじみの小林正弥教授の『サンデルの政治哲学――〈正義〉とは何か』(平凡社新書)も刊行されました。『日本で「正義」の話をしよう』は本文が日英対訳で、来日の様子の写真も併載しています。六本木講義(小飼弾さんが出席していたあの講義です)でのあのお決まりの「発言者を指名するポーズ」や相手の発言をじっと聞いている様子、さらに八重洲BC本店を訪れた時のサイン会の写真も載っていて、ちょっとしたサンデル写真集としても楽しめます。講義の名手はこうも格好良いものなんだなと見惚れました。講義の様子は付録の2カ国語音声DVDで視聴でき、サンデル哲学を通じて英語の勉強もできるという、一粒で三度おいしい本になっています。

[DVDブック]日本で「正義」の話をしよう――サンデル教授の特別授業
マイケル・サンデル(Michael J. Sandel, 1953-)著 鬼澤忍訳 小林正弥監修・解説
早川書房 2010年12月 本体3,000円 A5判上製120頁 ISBN978-4-15-209179-6

版元紹介文より:教育や医療に市場原理を適用すべきか? 遺伝子工学が提起する倫理的問題とは? 一夜限りのエキサイティングな哲学教室を、英語・日本語完全対訳ブック+二カ国語音声DVDで贈る。英語学習にも最適な永久保存版!

目次:
プロローグ
議論(1)市場に道徳的な限界はあるか?
議論(2)バイオテクノロジー:遺伝子工学がもたらす危険
解説


一方、小林先生の『サンデルの政治哲学』ですが、売行良好につき現在版元品切のようです。間違いなく重版するでしょう。本書ではサンデル教授のこれまでの著書すべてが懇切に解説されていて、講義の名手としてのサンデルが彼自身としてはどんな哲学を唱えているかが明らかにされます。「ハーヴァード白熱講義」は受講者を啓蒙するための政治哲学入門ですからサンデル教授自身の個性は前面には出ていませんでしたが、小林先生の解説本ではサンデル哲学のオリジナリティが見えてきます。

サンデルの政治哲学――〈正義〉とは何か
小林正弥(こばやし・まさや、1963-)著
平凡社新書 2010年12月 本体940円 新書判376頁 ISBN978-4-582-85553-1

カバーソデ紹介文より:「ハーバード白熱教室」での鮮やかな講義と、核心を衝く哲学の議論で、一大旋風を巻き起こした政治哲学者マイケル・J・サンデル。彼自身の思想と「コミュニタリアニズム」について、サンデルがもっとも信頼を寄せる著者が、その全貌を余すところなく記した。全著作を一冊で読む。サンデル哲学の根源に迫る!

帯文より:「日本の読者に私の考えを紹介してくれている小林教授に、私は深く感謝している。長年にわたり多くを語りあっているので、彼の判断を私は信頼しており、私の政治哲学と同時代への示唆について、完全にそして深く、彼は理解してくれている」(マイケル・サンデル)。

目次:
はじめに──マイケル・サンデルの政治哲学の全体像
序 新しい「知」と「美徳」の時代へ──なぜ、このような大反響となったのか
第一講 「ハーバード講義」の思想的エッセンス──『正義』の探求のために
第二講 ロールズの魔術を解く──『リベラリズムと正義の限界』の解読
第三講 共和主義の再生を目指して──『民主政の不満』のアメリカ史像
第四講 「遺伝子工学による人間改造」反対論──『完成に反対する理由』の生命倫理
第五講 コミュニタリアニズム的共和主義の展開──『公共哲学』論集の洞察
最終講 「本来の正義」とは何か?──正義論批判から新・正義論へ
あとがき
文献案内


なお、本日(2011年1月9日)午後6時より、NHK教育テレビの1時間番組「白熱教室JAPAN」で、小林正弥教授(千葉大学公共哲学センター)の講義が放映されます。講義は全4回にわたり、今日の放送はその第1回「命の価値を議論する」になります。「白熱教室JAPAN」は日本の大学で行われている対話形式の講義を紹介するもので、第1弾は横浜市立大学国際総合科学部准教授で国際化推進センター長の上村雄彦先生の連続講義でした(昨年11月から12月にかけて全4回放映)。小林先生の講義は第2弾になります。

第1回「命の価値を議論する」2011年1月9日(日)午後6時
第2回「私を所有しているのは私?」2011年1月16日(日)午後6時
第3回「イラク日本人人質事件を議論する」2011年1月23日(日)午後6時
第4回「ウィキリークスに正義はあるのか」2011年1月30日(日)午後6時

***

関連催事についてさらにご案内します。来たる2月4日(金)午後3:00~6:30には、東京大学本郷キャンパス医学部教育研究棟14F鉄門記念講堂にてシンポジウム「ロールズ『正義論』と現代――自由・平等・友愛の社会へ」が開かれるとのことです。『正義論〔改訂版〕』の訳者である川本隆史先生(東京大学大学院教育学研究科)が「『正義論』の宇宙、再訪」と題した基調講演を行い、その後、井上達夫(東京大学大学院法学政治学研究科)、大沢真理(東京大学社会科学研究所)、盛山和夫(東京大学大学院人文社会系研究科)、森政稔(東京大学大学院総合文化研究科)の各氏をパネリストに迎え、川本さんとのパネルディスカッションが行われる予定です。定員280名、入場無料・要予約。予約申し込みは、東大生協本郷書籍部ホームページか、駒場書籍部ホームページから可能とのことです。当日限りで『正義論〔改訂版〕』が特価7000円だそうですよ。学外の方々も参加可能なようですが、念のため電話で確認されるのがいいかもしれません(本郷書籍部03-3811-5481)。【1月11日追記:駒場書籍部のご担当者Tさんに確認したところ、シンポジウム参加および記念特価は学外の方でもOKとのことでした。】
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by urag | 2011-01-09 02:26 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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