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2010年 10月 10日

デイヴィッド・ライアンの監視社会論、訳書第3弾

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カナダのクイーンズ大学で社会学の教授を勤めているデイヴィッド・ライアン(David Lyon: 1948-)と言えば監視社会の研究で有名で、1994年の『電子的な眼――監視社会の台頭』(未訳)以来、昨年までにその分野で6冊の著書と3冊の編書を上梓しています。昨年刊行された最新作『市民の身元特定――監視としてのIDカード』が以下にご紹介する通り早くも日本語訳され、先月刊行されました。これで6冊のうち3冊が訳されたことになります。未訳書には上記『電子的な眼』のほか、『社会整序としての監視――プライバシー、リスク、デジタル差別』『監視研究概論』があります。ライアンの研究分野はほかにも現代社会論や宗教論があり、現代社会論の2点は『ポストモダニティ』(せりか書房)、『新・情報社会論』(コンピュータ・エージ社)としてすべて日本語訳されています。『ディズニーランドのイエス――ポストモダンにおける宗教』などの宗教論は未訳。

昨年刊行された監視社会論の最新作の翻訳は、先月発売された『膨張する監視社会』(青土社)です。以下に『9・11以後の監視』(明石書店)、『監視社会』(青土社)とともに書肆情報を列記しますが、『9・11以後の監視』の訳者・清水知子さんは弊社のバトラー『自分自身を説明すること』の共訳者で、また『監視社会』の訳者・河村一郎さんは弊社のヴィリリオ『民衆防衛とエコロジー闘争』の共訳者です。『監視社会』はこの分野でのロングセラーで現在4刷です。


膨張する監視社会――個人識別システムの進化とリスク
デイヴィッド・ライアン著 田畑暁生訳 
青土社 2010年9月 本体2,200円 四六判上製258頁 ISBN978-4-7917-6571-3

◆帯文より:個人情報と液状化する監視システム。9・11以降ますます精緻化する監視システムとは? いまや監視社会は電子化・グローバル化による市民識別管理にシフトした。生体認証システムやIDカードシステム整備をめざす政府とその利潤に群がる企業群。セキュリティと自由のバランスをどこに見出すのか? 監視社会論の第一人者が、電子監視社会の進化形を手際よく総覧し、市民識別の視点からあざやかに斬る。

◆原書:Identifying Citizens: ID Cards as Surveillance, Polity, 2009.

◆目次:
序章
 今日の新たなID
 IDカードとは何か?
 アイデンティティと身元特定〔アイデンティフィケーション〕
 複数のアイデンティティ、身元特定、大文字の他者
 市民の身元特定
第1章 書類を要求する
 身元特定と市民の「読まれやすさ」
 身元特定と植民地行政
 身元特定と犯罪管理
 戦争のための身元特定
 大規模身元特定における一貫性と変化
 結論
第2章 整序〔ソート〕システム
 IDカードと記録
 市民権:資格と可読性
 なぜ社会的整序が中心的なのか
 監視的整序の方向性
 整序システムの政治
 結論
第3章 カード・カルテル
 カード・カルテルの理論化
 身元特定手段のコントロール
 政治、調達、プロトコル
 調達、企業、身元特定 
 プロトコル、テクノロジー、身元特定
 カード・カルテル論が言うこと、言わないこと
 結論
第4章 拡大したスクリーン
 液状性と身元特定
 身元特定による統治
 身元特定プロトコル
 九・一一、なりすまし、相互運用性
 相互運用性:その文脈
 相互運用性:事例
 「ユビキタスな監視」へと向かうのか?
 身元特定、仕分け、液状型管理による支配
 結論
第5章 ボディ・バッジ
 バイオメトリクスという解決策
 バイオメトリクスと情報の身体
 バイオメトリクスによる身元特定の文化
 バイオメトリクスを超えて?
 結論
第6章 サイバー市民
 緊張の中の近代市民権
 グローバル化、消費主義、市民権
 市民権、社会的整序、大文字の他者
 IDと市民権の将来
 結論
謝辞
訳者あとがき
参考文献
訳注
原注
索引


9・11以後の監視――〈監視社会〉と〈自由〉
デイヴィッド・ライアン著 清水知子訳 田島泰彦監修
明石書店 2004年9月 本体2,500円 46判上製272頁 ISBN978-4-7503-1979-7

◆帯文より:セキュリティの書くほか、管理統制からの自由か。監視カメラ、ICカード、生態認証、インターネット利用監視――ITを駆使したハイテク市民監視で保障される「安全」「安心」とは何か。

◆原書:Surveillance after September 11, Polity, 2003.

◆目次:
序章
 監視と急激な変化
 本書について
第I章 監視を理解する
 真意の探索
 破壊と露呈
 9・11以前の監視
 監視の眼差しを理論化する
 批判的問い
 プリズム、展望、実践
第II章 監視の強化
 目に見える犠牲者、消え去る自由
 「テロリスト」の捕獲:疑いの文化
 テロリストとは誰か
 萎縮的風潮:秘密主義の文化
 監視に動員される市民
 監視を強化する
第III章 監視の自動化
 監視を売る
 監視技術
 バイオメトリクス
 IDカード
 CCTVと顔認識
 9・11以後の技術監視
 結果と批判
第IV章 監視の統合
 全情報認知(TIA)
 収斂、コード、カテゴリー
 新しい統治
 テロリズムと監視
第V章 監視のグローバル化
 グローバル化、テロリズム、監視
 グローバル化した監視
 旅客機搭乗者データ
 ハイジャックの歴史
 ダンスのような進歩
 グローバルな統合に向けて?
 反監視のグローバル化
 グローバルな監視?
第VI章 監視への抵抗
 糸を寄せ集める
 難題に立ち向かう
 社会的問い
 新しい政治への取り組み
 テクノロジーの市民権
 疑念と秘密を超えて
エピローグ・日本の読者へ 9・11前後の日本の監視
 テロのターゲットとしての東京
 日本の監視を理解する
 日本の監視情勢
 日本における監視への抵抗
 結論
監修者あとがき
訳者あとがき


監視社会
デイヴィッド・ライアン著 河村一郎訳
青土社 2002年11月 本体2,400円 四六判上製310頁 ISBN978-4-7917-6008-4

◆帯文より:電子情報システムと日常生活。安全性・リスク管理・効率性・利便性の名のもとに個人情報を絶えず収集し、人間を分類・選別し統御する現代の情報化社会――、それが監視社会だ。電子情報網による権力編成の本質を鮮やかに描く現代思想・社会理論の最重要書。

◆原書:Surveillance Society: Monitoring Everyday Life, Open University Press, 2001.

◆目次:
序文と謝辞
序章
 監視は二つの顔をもつ
 基軸テーマ
 本書は何を行うか
第I部 監視社会
 第一章 消失する身体
  時間・空間を再編成する
  不明瞭化する公的/私的
  テクノロジーと社会を組み換える
 第二章 不可視のフレームワーク
  共通項と諸変動
  社会に拡散する監視
  社会的オーケストレーション
 第三章 漏れ易い容器
  監視による治安活動
  労働者を監視する
  消費者を把捉する
  規制緩和とリスク
第II部 監視の広がり
 第四章 都市における監視的分類
  都市における社会監視
  シムシティーと都市の現実
  都市の監視
  カメラの監視下にて
  シムシティーと現実世界
 第五章 身体部位と探針
  場としての身体から情報源としての身体へ
  アイデンティティー・身元確認・近代
  身体監視テクノロジー
  様々な部門における身体監視
  移動・行動・リスク
 第六章 グローバルなデータの流れ
  グローバル化と監視
  グローバルな安全保障――コミント
  グローバルな安全保障――国境管理
  監視のワールドワイドウェブ
  グローバル化した監視
第III部 監視のシナリオ
 第七章 理論における新たな方向性
  コンピュータと近代的監視
  スーパーパノプティコンとハイパー監視
  理論から見た新たな監視
  身体を回帰させる
 第八章 監視のポリティクス
  規制型の対応
  動員型の対応
  コンテクストの中の抵抗
  何故、抵抗には限界があるのか
 第九章 監視の未来
  近代/ポストモダンの監視
  新たなアプローチに向けて
  個人を再‐身体化する
原註
参考文献
訳者あとがき


★デイヴィッド・ライアン(David Lyon: 1948-)訳書一覧

『膨張する監視社会――個人識別システムの進化とリスク』(田畑暁生訳、青土社、2010年9月/原書Identifying Citizens: ID Cards as Surveillance, Polity, 2009)
『9・11以後の監視――〈監視社会〉と〈自由〉』(清水知子訳、明石書店、2004年9月/原書Surveillance after September 11, Polity, 2003)
『監視社会』(河村一郎訳、青土社、2002年11月/原書Surveillance Society: Monitoring Everyday Life, Open University Press, 2001)
『ポストモダニティ』(合庭惇訳、せりか書房、1996年12月/原書Postmodernity, Open University Press, 1994)※原書では増補版が1999年に刊行されています。
『新・情報化社会論――いま何が問われているか』(小松崎清介監訳、コンピュータ・エージ社、1990年12月/原書The information society: issues and illusions, Polity, 1988)
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by urag | 2010-10-10 23:56 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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