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2010年 10月 09日

河出ブックス創刊1周年

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河出書房新社の選書シリーズ「河出ブックス」が今月(2010年10月)で創刊1周年だそうです。今月は2点刊行。累計で22点が刊行されたことになります。さいきんテレビへの出演が増えている島田裕巳さんの『教養としての世界宗教事件史』は、一年前の『教養としての日本宗教事件史』の姉妹編。大澤真幸さんの『生きるための自由論』は、マイケル・サンデルの正義論講義に興味を持っている読者には特にオススメです。なお、大澤さんはほぼ同時発売で『量子の社会哲学――革命は過去を救うと猫が言う』という新刊を講談社から刊行されています。相対性理論や量子力学など20世紀の科学の進展と、当時の文学や芸術、人文科学や政治、道徳、宗教との文化的関連を鋭く分析した本です。

教養としての世界宗教事件史
島田裕巳(1953-)著
河出ブックス 2010年10月 本体1,300円 B6判並製232頁 ISBN978-4-309-62421-1

◆カバーソデ紹介文:グローバル化の時代、いまや宗教を無視しては現代世界を語ることができなくなっている。そんななか、いかにして宗教についての教養を深めていけばよいのだろうか。洞窟壁画、ピラミッド建設、仏教の結集、十字軍とジハード、モンゴルの世界進出、宗教改革、聖母マリア出現、文化大革命、イラン革命……24の最重要事件を取り上げながら、人類と宗教のかかわりを今日的な視点からダイナミックに描く、現代人必読の世界宗教入門。

◆目次:
まえがき
1 人類はいったいいつ宗教をもったのか
2 壁画が物語る宗教の発生
3 謎に満ちた巨大ピラミッドの建設
4 ゾロアスター教が校正に多大な影響を与える
5 一神教が誕生し、偶像崇拝が禁止される
6 老子、釈迦になる。
7 結集から、仏教の歩みがはじまる
8 パウロとアウグスティヌスの回心が、キリスト教という宗教を生む
9 三蔵法師、天竺を旅する
10 ムハンマド、メディナに逃れる
11 東西の教会が分裂する
12 十字軍が招集され、「聖戦」をめぐる対立の発端となる
13 モンゴルの世界征服が原理主義を生む
14 インドで仏教が消滅する
15 ルターの異議申し立てが資本主義を生む
16 ヘンリー八世の離婚問題がイギリス国教会を独立させる
17 地動説を主張したガリレオ・ガリレイが異端審問で終身刑を科せられる
18 清教徒、新大陸にエクソダスを果たす
19 聖母マリア、出現
20 神の死を背景に宗教学が誕生する
21 ダライ・ラマ一四世、チベットを脱出しインドに亡命する
22 一〇〇年ぶりに開かれた第二バチカン公会議が修道女を解放する
23 毛沢東語録をふりかざす紅衛兵が孔子を厳しく糾弾する
24 イランのイスラム革命が世界を変える
あとがき
主要引用参考文献

◆姉妹編『教養としての日本宗教事件史』目次:
まえがき
1 新しくやってきた仏教とそれを迎え撃つ神道との対決
2 大仏開眼という国際的イベントと環境破壊
3 命をかけて海を渡ってきた鑑真は本望をとげたのか
4 空海と最澄との戦いはけっきょくどちらが勝利したのか
5 往生への異様な情熱が時代を席捲する
6 日蓮の真の敵は空海だった
7 蓮如がいなかったら親鸞は生き残ったか
8 茶道はドラッグとして輸入された
9 禅寺で中国語が使われていた深いわけ
10 日本を一挙に近代化した織田信長の蛮行
11 キリシタンは日本をキリスト教化する可能性を持っていたのか
12 人を神として祀ることは冒涜ではないのか
13 出開帳という新しいビジネス・モデルの登場
14 宗教バブルとしてのお蔭参り
15 廃仏毀釈に飲み込まれた大寺院
16 宗教的原理主義の先駆けとしての明治政府
17 天理教は天皇制に対抗したのか
18 熱病のように広がった聖霊降臨
19 徹底して弾圧された大本の真の野望は
20 宗教国家としての満洲国と日蓮主義
21 天皇の人間宣言は何を意味したのか
22 踊る宗教と戦う宗教が戦後日本を変える
23 地球温暖化と戦う明治神宮
24 お一人様宗教の時代
あとがき
主要参考文献


生きるための自由論
大澤真幸(1958-)著
河出ブックス 2010年10月 本体1,200円 B6判並製192頁 ISBN978-4-309-62422-8

◆カバーソデ紹介文:冷戦の終結は、「自由な社会」の魅力によって連鎖反応的に引き起こされた。「自由」こそ人類にとって至高の価値であるとされ、一人ひとりが自由な主体であることがわれわれの社会生活の基本的な前提となっているが、しかし、その自由はいったいどこにあるのか? 脳科学の知見も参照しながら、「心脳問題」や自由意志の所在を問い直しつつ、自由という概念そのものの抜本的な刷新を提案。新たな連帯への方向性をも示唆する刺激的な論考。

◆「まえがき」より:本書は、自由と自由主義〔リベラリズム〕について論じた二本の論文を収めている。I は、自由の所在についての〔中略〕問いから始めて、最後には、そこからひとつの政治的な含意を引き出す。II はリベラリズムに関する政治思想的な考察なら、最終的には、自由の概念そのものの抜本的な刷新を提案する。両者は同じ結論へと向かっている。

◆目次:
まえがき
I 〈自由〉の所在
 1 「心-脳」問題と自由意志
   【1】問題
   【2】脅かされる自由意志の地位
 2 心-脳の基本的な関係
   【1】デイヴィッドソンの非法則論的一元論
   【2】心-脳の基本的な関係
   【3】ベンジャミン・リベット批判
 3 〈社会〉としての脳
   【1】脳科学の教訓
   【2】盲視
   【3】幻肢の治療
   【4】カプグラ症候群
   【5】右脳と左脳
   【6】エイリアン・アーム
 4 可能=受動
   【1】潜在能力
   【2】日本語の「(ら)れる」
   【3】可能と受動
 5 快楽と苦痛
   【1】快感原則を越えて
   【2】欲望の原因/対象のギャップ
   【3】自由の社会性
 6 政治思想的含意
   【1】新たなる傷
   【2】エリコに下る道
II 連帯の原理としてのリベラリズム
 1 社会構造の二つの矛盾する目的
 2 リベラル・ナショナリズム/憲法パトリオティズム
   【1】リベラル・ナショナリズム
   【2】憲法パトリオティズム
   【3】ナショナリズムの二つのアスペクト
 3 リベラリズムへの純化
   【1】「真の普遍主義」
   【2】Cogito
   【3】資本主義との連動
 4 新しくて旧い批判
   【1】リベラリズムの三つの論拠への批判
   【2】多文化主義的批判の新しさ/旧さ
   【3】形式の実質的効果
 5 普遍性の発生
   【1】マルクスの疑問
   【2】普遍性の発生
   【3】資本主義の驚異的な適応能力
   【4】不寛容への寛容
 6 規範/反規範
   【1】非公式の(反)規範
   【2】リベラルな革命がありうるとすれば……
 7 自由の根源へ
   【1】「私は私である」
   【2】身体の自己所有
   【3】もうひとつの〈自由〉
   【4】連帯の原理としてのリベラリズム
付 一つの壁から無数の壁へ
あとがき


★河出ブックスは偶数月の隔月刊行で、今後の刊行予定には以下の書名が上がっています。

鳥羽耕史『1950年代――「記録」の時代』
佐藤卓己『青年の主張――教養主義のメディア史』
檜垣立哉『フーコー』
宇野邦一『ドゥルーズ』
五十嵐太郎『戦後日本建築家列伝』
高田里惠子『失われたものを数えて』
美馬達哉『脳のなかの経済――神経経済学入門』
松生恒夫『腸の話』
永江朗『誰がタブーをつくるのか』
陣野俊史『あの作家はなぜ消えたのか』
安藤礼二『大川周明』
前田英樹『内村鑑三』


★いっぽう、東大出版会からは、亜細亜大学教授・奥井智之さんの『社会学』(2004年)の姉妹編『社会学の歴史』が先月刊行されました。奥井さんと上記の大澤真幸さんは同い年の社会学者どうしですね。お二方は東大大学院の同期で、同じ見田宗介先生門下でいらっしゃいます。『社会学の歴史』は、書名こそ硬いイメージがありますが、筆致は肩肘張った感じのない率直な会話のようで、すんなり読み進めることのできる優れた入門書です。

社会学の歴史
奥井智之(1958-)著
東京大学出版会 2010年9月 本体2,000円 四六判並製316頁 ISBN978-4-13-052023-2

◆帯文より:ようこそ、社会学の闘技場〔アリーナ〕へ。社会的な秩序はどうかたちづくられているのか。この問いに答えるべく、切磋琢磨した社会学者たち。かれらはどのような相貌をもって、この闘技場に姿を現したのか。歴史から現在へ、言葉の戦場をめぐるスリリングな社会学戦記。

◆目次:
はじめに
 創造のドラマ
 奇人変人伝
 先人たちの声
1章 アリアドネの糸――前史
 失われた環
 原罪の社会学
 アカデミズム
 社会的動物
 個別性の誕生
 社会契約
2章 創始者の悲哀――コント
 革命勃発
 社会学の存在理由
 市井の哲学者
 学問の終局的方式
 産業主義
 人類教
3章 思想の革命家――マルクスとエンゲルス
 壮大なる失敗
 亡命生活
 マルクス主義の土台
 自己批判の書
 絶え間ない変化
 本源的蓄積
4章 少数者の運命――フロイト
 おしゃべり階級
 心的外傷
 エディプス・コンプレックス
 父親的存在
 集団の心理
 大衆と指導者
5章 繊細な観察者――ジンメル
 「無縁」の空間
 就職問題
 ベルリンっ子
 相互作用
 交換的動物
 橋と扉
6章 社会の伝道師――デュルケーム
 免罪の方法
 アカデミシャン
 デュルケーム学派
 アノミー的分業
 社会的事実
 際限のない欲望
7章 自由の擁護者――ウェーバー
 漱石の病跡
 ナショナリストの相貌
 創造的な局面
 時代の総括者
 予定説
 理論的ユートピア
8章 野外の研究者――シカゴ学派
 新天地
 エスニック・コミュニティ
 植民地的コンプレックス
 モノグラフ
 人間生態学
 シカゴ流
9章 冷徹な分析家――パーソンズ
 アメリカの平和
 ウェーバー体験
 冷戦対立
 ホッブズ問題
 パターン変数
 秩序と進歩
10 オデュッセウスの旅――マートン、シュッツ、ガーフィンケル、ゴッフマン、ベッカー
 文化的左翼
 中範囲の理論
 現象学的社会学
 エスノメソドロジー
 ミクロ社会学
 ラベリング理論
11 シシュポスの石――ハーバーマス、ルーマン、フーコー、ブルデュー、バウマン
 鏡に映った自分
 批判的社会理論
 社会システム理論
 パノプティコン
 ハビトゥス
 リキッド・モダニティ
12 ヤヌスの顔――福沢諭吉、柳田国男、高田保馬、鈴木栄太郎、清水幾太郎
 青年の学問
 理論優位
 生活世界
 理論社会学
 領域社会学
 現代社会学
おわりに
 ドラマトゥルギー
 社会学的闘争
 生きた存在
文献一覧
関連年表
事項索引
人名索引

◆参考:『社会学』主要目次
1章 社会
2章 行為
3章 集団
4章 家族
5章 都市
6章 逸脱
7章 コミュニケーション
8章 社会心理
9章 宗教
10章 ジェンダー
11章 医療と福祉
12章 現代社会
読書案内
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by urag | 2010-10-09 23:54 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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