2010年 05月 23日

マイク・デイヴィス『スラムの惑星』が明石書店より刊行

a0018105_2293165.jpgスラムの惑星――都市貧困のグローバル化
マイク・デイヴィス(Mike Davis:1946-)著
酒井隆史監訳、篠原雅武+丸山里美訳、明石書店、10年5月、本体2,800円 四六判347頁 ISBN978-4-7503-3190-4

◆帯文より:地球上の7人に1人、10億の民がスラムの住人――都市は貧困で爆発する。ネオリベラリズムが生み出した構造的な社会問題を、都市論の代表的論客M・デイヴィスが読み解く。

◆原書:Planet of Slums, Verso, 2006.
※2004年の春、『ニュー・レフト・レビュー』26号に掲載された同名の論文を大幅に加筆し書籍化したもの。初出論文の日本語訳は、長原豊訳で『現代思想』06年8月号(特集=ホームレス)186-210頁に「スラムの惑星――都市への内訌〔インヴォルーション〕と非正規〔インフォーマル〕なプロレタリアート」という訳題で掲載されています。

◆目次:
第一章 都市の転換期
第二章 スラムの拡大
第三章 国家の背信
第四章 自立〔セルフ・ヘルプ〕という幻想
第五章 熱帯のオースマン
第六章 スラムの生態学
第七章 第三世界を構造調整する=搾り取る
第八章 過剰人類?
エピローグ ベトナム通りを下って
謝辞
訳者解説
監訳者あとがき

◆マイク・デイヴィス(Mike Davis:1946-)既訳書
『要塞都市LA』村山敏勝+日比野啓訳、青土社、初版01年4月/増補新版08年9月
『感染爆発――鳥インフルエンザの脅威』柴田裕之+斉藤隆央訳、紀伊國屋書店、06年3月
『自動車爆弾の歴史』金田智之+比嘉徹徳訳、河出書房新社、07年12月

★2年半前に刊行された『自動車爆弾の歴史』の訳者あとがきで告知されていたデイヴィスの訳書2点のうち、『スラムの惑星』がついに刊行されました。総中流化社会から格差社会へと移行した現代日本に住む私たちにとって、本書は鋭い棘のように胸を刺します。現代人必読と言えるのではないでしょうか。

★告知されていたもう1点は、杉浦勉監訳『マジカル・アーバニズム』(原書00年刊、明石書店刊行予定)でした。しかし杉浦勉先生は若くしてお亡くなりになり、『スラムの惑星』と同様にこの本の担当編集者であるはずのOさんは編集から外されてしまったので、今後刊行されるのかどうか、現時点では不明です(『スラムの惑星』にも関連情報は載っていません)。明石書店で長期化している労使問題については明石書店労働組合のブログや「明石書店の出版を考える著者の会」のウェブサイトをご参照ください。

★ちなみに「訳者解説」では、今年2月に青土社より刊行されたジジェクの『大義を忘れるな』で論じられている、解放政治の担い手としてのスラム居住者というのが、デイヴィスの『スラムの惑星』を下敷きにしている、と紹介しています。興味深いですね。『大義を忘れるな』第9章「自然における不快なもの」には次のようなくだりがあります。「プロレタリアートの置かれた新しい立場が新しい巨大都市におけるスラム街住民の立場であるとしたら、どうだろうか。ここ十年におけるスラム街の爆発的な増加〔中略〕は、おそらく、今日におけるきわめて重要な地政学的出来事である」(635頁)。ここに注が付されていて、デイヴィスの「スラムの惑星」(2004年雑誌初出版)を「すばらしいレポート」として参照しています。さらにジジェクは後段では次のような書いています。「19世紀の解放の政治学の主たる仕事が、労働者階級を政治化することによって、ブルジョア自由主義者による独占を打破することであったとすれば、そして、20世紀の仕事が、アジアとアフリカの莫大な農村部住民の政治意識を目覚めさせることであったとすれば、21世紀の主たる仕事は、スラム街住民という「脱構造化された大衆」を政治化する――組織化し、鍛錬する――ことである」(639頁)。


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by urag | 2010-05-23 22:09 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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