2010年 04月 23日

いよいよ近日発売:ロミ『完全版 突飛なるものの歴史』、平凡社より

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かつて作品社から出版されていたロミの『突飛なるものの歴史』の完全版が、いよいよ平凡社から近日発売になります。数年前から近刊予告は出ていましたが、ついに刊行です。

完全版 突飛なるものの歴史 
ロミ著 高遠弘美訳
平凡社 2010年4月 本体2,800円 四六判上製カバー装360頁 ISBN978-4-582-23806-8

◆帯文より:美はどんな味がするか!? 澁澤龍彦、種村季弘が教科書にした幻の稀覯本。現代アートを志す者必読の書。

◆解説より:「腕試しの力瘤とは無縁に、ひたすらキャアキャアこわがり、ゲラゲラ笑いなお化け屋敷を探検するのでもいい。首吊り死体がぶら下がっていたり、暗がりにどんでん返しがあったり、へんな手がにょろりと伸びてきたり、髪の毛がざわざわたなびいたりと、どの曲がり角にも驚異と不安の、あわよくば笑いの止まらなくなるような冗談の頁が待ち伏せている。それを存分にたのしめばいい」(種村季弘)。

◆原書:Histoire de l'insolite, Paris:Pont Royal, 1964.

◆目次:
序文 フィリップ・スーポー

はじめに 「突飛なるもの(アンソリット)」とは何か?

第1章 「突飛なるもの」の起源
 空想の産物としての神々

第2章 伝説上の動物誌
 前説
 1 一角獣
 2 セイレーン
 3 ケンタウロス
 4 バシリスク
 5 ドラゴン

第3章 空想旅行
 死者の王国へ――サバトめざして

第4章 意表をつく試み
 1 前説
 2 口とくちびる
 3 手、そして指
 4 みつめる眼、増殖する眼
 5 乳房の誘惑
 6 さまざまな美女と野獣
 7 夢の世界

第5章 突飛なるものを企てた人びと
 1 反画一主義の伝統
 2 プレシオジテ
 3 大世紀【ルイ十四世の時代】の妖精たち
 4 ロマン主義の熱狂
 5 支離滅裂(アンコエラン)派
 6 世紀末の唯美主義
 7 一九〇〇年の熱狂
 8 未来派
 9 ダダイズム
10 シュルレアリスム
11 シュルレアリスム――その後
12 テクニックとマチエールの探究

第6章 突飛なるものの巨匠たち
 1 風狂の殿堂(パンテオン)
 2 ヒエロニムス・ボス――理路整然たる秩序破壊者
 3 パラケルスス――科学と突飛なるもの
 4 奇想の画家、アルチンボルド
 5 神秘を売る男、カリオストロ
 6 夢と悪夢の挿絵画家、グランヴィル
 7 自由奔放なノンセンスの転載、エドワード・リア
 8 幻覚にとらわれた王、バイエルンのルートヴィヒ二世
 9 理想の建築を実現したフェルディナン・シュヴァル
10 風狂の詩人、アルフレッド・ジャリ
11 見神者、エレーヌ・スミス
12 支離滅裂なる(アンコエラン)数理詩人、レーモン・ルーセル
13 サルバドール・ダリ、意識せるパラノイア

第7章 日常化した突飛なるもの
 1 大衆化した奇矯性
 2 興行主・バーナム
 3 いかに楽しむか?
 4 いかに装うか?
 5 コマーシャルに独創性は欠かせない
 6 珍奇を求める人たち
 7 珍品を求めて

第8章 十三の突飛な物語
 1 メアリー・トフツの十七羽の兎(一七二六年)
 2 ボルドロン師の幻想小説(一七三〇年)
 3 豚の顔をした跡取り娘(一八一五年)
 4 ブノワ氏の交感性エスカルゴ(一八四八年)
 5 葬儀人夫ビュグ=ジャルガル(一八五〇年)
 6 死者と対話したヴィクトル・ユーゴー(一八五五年)
 7 ユイスマンスにかけられた呪い(一八九〇年)
 8 おなら男ビュジョール氏の大成功(一八九二年)
 9 妖精に夢中になった空軍中将(一九五一年)
10 レコードになったあの世の謎(一九五二年)
11 ヨーロッパに火星人が雨のように……(一九五四年)
12 英国へどうぞ、一万の幽霊が皆さんをお待ちしています(一九六一年)
13 妖精に守られた町(一九六四年)

華やぐ知識の宝庫――解説にかえて 種村季弘 
訳者あとがき

★平凡社の【完全版】と作品社版の違いについて、「訳者あとがき」に高遠さんが説明されていますので、以下に引用します。※は小林の補足です。

一、作品社版では都合により削除されていた部分を、今回の平凡社版では全面的に復活した。そのうち、スーポーの「序文」とロミの「はじめに」は、前述の「悪趣味大全」に載せたものである。

 ※「悪趣味大全」とは、青土社の月刊誌「ユリイカ」の1995年4月臨時増刊号のこと。

二、作品社版は、原書にない図版を多数挿入したビジュアル本的要素の濃いでき上がりで好評を博したが、平凡社版では原書の図版に新しくつけ足すことはしていない。前述したように、1960年代当時のエネルギーをそのまま感得していただきたかったからである。今回【完全版】と謳うゆえんである。ただし、図版の大きさや色、配置場所については造本上の制約もあり、編集部に一任した。

 ※作品社版の編集を担当されたのは加藤郁美さん(現・月兎社)です。「原書にない図版を多数挿入したビジュアル本的要素の濃いでき上がり」というのは加藤さんならではの職人技で、緻密な校正校閲作業と優れた美的センスで定評のある名編集者です。『切手帖とピンセット』という著書が国書刊行会から2010年1月に刊行されています。インタビュー記事をこちらで読めます。

三、平凡社版のブックデザインは鈴木成一さんである。鈴木氏は平凡社の企画で言えば、『澁澤龍彦 ホラー・ドラコニア 少女小説集成』全五巻その他を手がけておられる。澁澤とロミをむすぶ本書の造本家として、最適の方ではなかろうか。

 ※『ホラー・ドラコニア』や今回の完全版を手掛けられた編集者は高丘卓さんです。平凡社で刊行されている澁澤龍彦関連の書籍は高丘さんの手になるものです。なかでも気鋭の画家たちの鮮烈な画業と澁澤の幻想的な小説を合体させた『ホラー・ドラコニア』シリーズは澁澤本の新時代を開いた斬新な企画で、各巻とも絶賛をもって迎えられました。編集が一種の魔術でありケミストリーであるとすれば、高丘さんはそれを知悉している凄腕編集者で、平凡社では現在、文芸書編集部編集長をつとめられています。

四、目次やキャプションも作品社版とは異なっている場合が多いと思う。ことさらに奇を衒って変更したのではなく、原書がどういう本かを知って頂きたいと思ったがゆえである。

五、訳文を全面的に見直し、原著の明らかな誤りを含め、訂正すべきは訂正した。段落については、編集部の意向もあり、読みやすくするために、改行を増やした。
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by urag | 2010-04-23 01:11 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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