2010年 02月 27日

『新書大賞2010』(中央公論別冊)に参加しました。

昨年に引き続き、中央公論新社の「中央公論」別冊、「新書大賞2010」に参加しました。今回は「年間ベスト20」を決めるための投票者としてです。投票者は、書店員さんや評論家、編集者など74名。各自が推薦文を添えてベスト5を挙げ、それを集計したものでベスト20が決まります。紀伊國屋書店チェーンでの年間売上ベスト20も併載されていますが、売れた20冊というのと、お薦めの20冊というのが必ずしも重複しておらず、面白い結果になっています。私自身は、人文書系のものを選んで欲しいと依頼を受けたので、以下の5点を挙げました。

『書く』石川九楊 中公新書
『ガンジーの危険な平和憲法案』C・ダグラス・ラミス 集英社新書
『エコ・テロリズム』浜野喬士 新書y(洋泉社)
『社会的な身体』荻上チキ 講談社現代新書
『ヤンキー進化論』難波功士 光文社新書

この中でベスト20に入ったのは、『書く』と『ヤンキー進化論』です。分野を限っているとはいえ、1500点を超える点数の中から、5点に絞るというのは実際のところ至難の業でした。「新書大賞2010」には永江朗さんと宮崎哲弥さんの対談が掲載されていて、最初のほうで宮崎さんが「Jポップならぬ「J思想」が新書の主題として浮上してきた」と発言されています。実は私も当初はその線、つまり「日本」という大テーマに挑んだ書目の中から5冊選ぼうとしていました。しかし結局は絞り切れず、このテーマで選ぶこと自体を断念したのでした。私が注目していたのは以下の7点です。

『日本近現代史9 ポスト戦後社会』吉見俊哉 岩波新書
『戦後思想は日本を読みそこねてきた 鈴木貞美 平凡社新書
『日本の難点』宮台真司 幻冬舎新書
『日本辺境論』内田樹 新潮新書
『日本哲学小史』熊野純彦編 中公新書
『ニッポンの思想』佐々木敦 講談社現代新書
『無印ニッポン』堤清二・三浦展 中公新書

振り返ってみると、日本という大テーマを断念したのは自分にとっては正解で、先述した5点に決めてよかったと個人的には納得しています。このほかにも、以下の書目に注目していました。

『西洋哲学の10冊』左近司祥子編 岩波ジュニア新書
『現代哲学の名著』熊野純彦編 中公新書
『科学の世界と心の哲学』小林道夫 中公新書
『ヴィーコ』上村忠男 中公新書
『物語 ストラスブールの歴史』内田日出海 中公新書
『学問の春』山口昌男 平凡社新書
『多読術』松岡正剛 ちくまプリマー新書
『ドゥルーズ入門』檜垣立哉 ちくま新書
『超訳『資本論』第2巻』的場昭弘 祥伝社新書
『超訳『資本論』第3巻 完結編』的場昭弘 祥伝社新書

一言だけ添えますと、石川さんの『書く』と松岡さんの『多読術』はぜひ併読をお薦めしたい本です。「新書大賞2010」に寄せた『書く』への私の推薦コメントは以下の通りでした。

「書道の可能性を追求し、「書とは何か」を問い続けてきた書家ならではの濃密な書論。現代人が等閑視しがちな「書く行為の意味」や「肉筆の価値」について深く掘り下げている。書の原理と歴史を概説するとともに、現代文化を鋭く批判する断固たる論説が目を惹く。著者にとって、パソコンのワープロソフトによる文字入力は「書くことへの愚弄」にほかならず、現代社会の退廃の元凶のひとつですらある。読書という行為の本質に迫る体験談を披露している松岡正剛『多読術』(ちくまプリマー新書)と併読すれば、読み書き行為を根源的に考え直すための良い機会を得られるだろう」。

今回の「新書大賞2010」では豪華執筆陣30名が「私のイチオシ」というテーマで1冊ずつお薦めの新書を挙げていて、たいへん読み応えがあります。また、巻末には「主要新書リスト2009」という、昨年刊行された新書の一覧が付されていて、書店員さんにとっても便利なツールになっていると思います。
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by urag | 2010-02-27 16:22 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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