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到来する共同体 新装版 (叢書・エクリチュールの冒険)


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◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆最新刊と近刊

◎2016年12月6日取次搬入予定:荒木経惟×荒木陽子『東京は、秋』本体3,500円

◎2016年11月11日発売:森山大道×鈴木一誌『絶対平面都市』 本体2,750円

◎2016年9月2日発売:森山大道『Osaka』本体3,500円

◎2016年7月7日発売:W・ウォルターズ『統治性――フーコーをめぐる批判的な出会い』本体2,500円。
書評1⇒ぷよまる氏書評「フーコーを使う、理論を使う」(「綴葉」352号、2016年11月)

◎2016年7月1日発売:G・バタイユ『マネ』本体3,600円。
書評1⇒濱野耕一郎氏書評「期待を裏切る至高のタブロー――バタイユによるマネ論」(「週刊読書人」2016年9月9日号)
書評2⇒中島水緒氏書評「マネ作品の可能性を汲み尽した比類なき芸術論」(「美術手帖」2016年11月号BOOK欄)

◎2016年5月25日発売:『ユンガー政治評論選』本体2,800円。

◎2016年4月15日発売:『表象10:爆発の表象』本体1,800円

◎2016年2月9日発売:申鉉準ほか『韓国ポップのアルケオロジー』本体5,500円

◎2015年11月30日発売:B・シュティーグラー『写真の映像』本体3,400円、芸術論叢書第3回配本。
書評1⇒増田玲氏書評「周到な仕掛けを施す――55の断章からなる切れ味鋭い写真論」(「週刊読書人」2016年2月26日号)

◎2015年10月9日発売:森山大道『犬と網タイツ』本体3,500円

◎2015年7月22日発売:W・シュスラー『ヤスパース入門』本体3,200円、シリーズ古典転生第12回配本、本巻11。
書評1⇒池田喬氏書評「改めてヤスパースから学ぼう――基本思想を心地よいテンポで解説」(「週刊読書人」2015年9月18日号)

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:『犬と網タイツ』2刷:2016年8月8日、『ニュー新宿』2刷:2016年8月10日。
◎品切重版準備中:『ミクロコスモス第1集』2刷、ユンガー『パリ日記』2刷、ギルロイ『ブラック・アトランティック』4刷。
◎品切重版未定:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象04』『表象05』『表象08』、毛利嘉孝『文化=政治』、上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』、ブランショ『書物の不在 第二版鉄色本』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道『新宿』、森山大道写真集『新宿+』、森山大道写真集『大阪+』、森山大道写真集『オン・ザ・ロード』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、熊木裕高写真集『吠えない犬』、瀬戸正人写真集『picnic』、菱田雄介写真集『ある日、』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
日々この業界ではたくさんの出来事が起こっていて、それぞれにコメントしたい気もするし、実際言うべきこともままあるのですが、出来事に振り回されるのは嫌だし、こみいった背景をうまく説明できなかったり、しがらみのせいではっきり言えなかったりするのが現実なので、出来事情報は下記のリンクを随時ご参照下さいませ。

◎業界紙系:倒産や出店などの時事情報がやっぱり早い→ 新文化 ニュースフラッシュ
◎一般紙系:全国紙や地方紙、専門紙誌に掲載されたニュースをまとめてチェック→ Yahoo!ニュース「マスコミ、出版」
◎話題系:昨今の様々な注目トピックを整理整頓→ フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営」 / Yahoo!ニュース「出版不況」「電子書籍」「アマゾン
◎新刊書店系:書店業界のひきこもごもの内情→ 日書連 全国書店新聞
◎古書店系:古本屋さんの奥深い世界を垣間見れます→ 東京古書組合 日本の古本屋メールマガジン
◎雑談&裏話:業界の「非常時」には頼りになる一面もあるかも→ 2ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください! 
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# by urag | 2017-12-31 23:59 | ご挨拶 | Trackback(1) | Comments(21)

注目新刊:コスロカヴァール『世界はなぜ過激化するのか?』、など

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世界はなぜ過激化(ラディカリザシオン)するのか?――歴史・現在・未来』ファラッド・コスロカヴァール著、藤原書店、2016年12月、本体2,800円、四六上製272頁、ISBN978-4-86578-101-4

★発売済。原書は『Radicalisation』(Les Éditions de la Maison des sciences de l'homme, 2014)です。著者のファラッド・コスロカヴァール(Farhad Khosrokhavar, 1948-)はテヘラン生まれの社会学者で、フランスとイランの国籍を有しており、現在はフランスの社会科学高等研究所(EHESS)の教授でいらっしゃいます。既訳書に『なぜ自爆攻撃なのか――イスラムの新しい殉教者たち』(早良哲夫訳、青灯社、2010年6月;著者名表記は「ファルハド・ホスロハヴァル」)があり、今回の新刊は日本語訳第二弾です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭には〈日本語版 特別インタビュー〉として「過激ジハード主義テロの本質にあるもの」が置かれています。ここでコスロカヴァールは日本に「先進国として日本が新しい移民政策モデルをつくり上げてほしい」(31頁)として「選択的な移民政策」をごく簡潔に提言されています。本論で著者は「西欧でジハード主義者の人集めが行われていない国はない」(231頁)とさる情報筋の話を特記しています。実際のところ日本ももはや例外ではなく、ラディカリザシオン=過激化現象について深く学ぶべき時が到来していると言えます。

Farhad Khosrokhavar - Radicalisation et mal démocratique (2016, France Culture)

Farhad Khosrokhavar - Hors-champs (France Culture)

Farhad Khosrokhavar - " Les deux types de jihadismes européen "


★なお、藤原書店さんでは今月下旬、ドイツにおけるエジプト学の大御所ヤン・アスマン(Jan Assmann, 1938-)の代表作のひとつ、『エジプト人モーセ――ある記憶痕跡の解読』(安川晴基訳;原著1998年)を刊行する予定とのことです。『エジプト――初期高度文明の神学と信仰心』(吹田浩訳、関西大学出版部、1998年2月、品切)以来の訳書であり、要チェックかと思います。


私たちの“感情”と“欲望”は、いかに資本主義に偽造されているのか?――新自由主義社会における〈感情の構造〉』フレデリック・ロルドン著、杉村昌昭訳、作品社、2016年10月、本体2,400円、四六判上製284頁、ISBN978-4-86182-602-3

★発売済。原書は『La Société des affects : Pour un structuralisme des passions』(Seuil, 2013)です。著者のフレデリック・ロルドン(Frederic Lordon, 1962-)はフランスの経済学者・思想家。フランス国立科学研究センター(CNRS)および、ヨーロッパ社会学センター(CSE)の研究ディレクターで、最近ではパリの大衆抗議運動「Nuit debout(ニュイ・ドゥブ:夜、立ち上がれ)」における活躍が注目されています。既訳書『なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷”になるのか?──新自由主義社会における欲望と隷属』(杉村昌昭訳、作品社、2012年11月)があり、今回の新刊は日本語訳第二弾になります。巻頭には日本語版への序文として「「欲望」と「感情」を棚上げにしてきた人文・社会科学――“欲望”が制度的秩序を転覆する“力”ともなる」ではスピノザの東洋性(!)というイメージから語り起こし、スピノザ主義社会科学としての「感情の構造主義」(13頁)が示唆されています。ロルドンはネグリやバリバール以後、スピノザをもっとも先鋭的に政治哲学へと活用している一人として目が離せない存在になっています。巻末には訳者の杉村さんによる解説「ロルドンの活動と本書の思想的戦略について」に続き、付録としてロルドンによる痛烈なピケティ批判である「ピケティでもって“21世紀の資本”は安泰だ」(ル・モンド・ディプロマティーク日本語電子版2015年4月号からの抜粋)が併載されています。

Lordon lance un appel à la révolte # Nuit Debout


Débat entre Frédéric Lordon et David Graeber : les Nuits debout doivent-elles rester sauvages ?


Lordon Piketty CSOJ 04/2015

+++

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

用兵思想史入門』田村尚也著、作品社、2016年11月、本体2,800円、四六判上製352頁、ISBN978-4-86182-605-4
汚れた戦争』タルディ/ヴェルネ著、共和国、2016年12月、本体3,500円、A4変型判上製176頁、ISBN978-4-907986-13-1
沈黙の海へ』髙﨑紗弥香写真、アダチプレス、2016年11月、本体5,000円、B4変型判上製32頁、ISBN978-4-908251-05-4
引揚げ文学論序説――新たなポストコロニアルへ』朴裕河著、人文書院、2016年11月、本体2,400円、4-6han・上製210頁、ISBN978-4-409-16099-2
『加藤秀俊社会学選集()』加藤秀俊著、人文書院、2016年11月、本体各3,400円、4-6判上製314頁/330頁、ISBN978-4-409-24111-0/24112-7
うたごえの戦後史』河西秀哉著、人文書院、2016年10月、本体2,200円、4-6判上製204頁、ISBN978-4-409-52064-2

★田村尚也『用兵思想史入門』は発売済。本書の言う「用兵思想」とは「兵の用い方に関する思想」(1頁)であり、「戦争のやり方や軍隊の使い方に関するさまざまな概念の総称」と定義されています。「用兵思想の夜明け」「ローマの遺産」「封建制と絶対王政が生み出したもの」「ナポレオンと国民軍の衝撃」「産業革命とドイツ参謀本部」「海洋用兵思想の発展」「国家総力戦の現出」「諸兵科協同戦術の発展」「航空用兵思想の発展」「機甲用兵思想の発展」「ロシア・赤軍の用兵思想の発展」「アメリカ軍の原題用兵思想の発展」の全12章で、古代メソポタミアから現代アメリカの「エアランド・バトル」までを概観できます。田村さんは在野の軍事研究家で、近年ではアニメ『ガールズ&パンツァー』の軍事監修のほか、今春から陸上自衛隊幹部学校の技術高級過程の講師をお勤めだそうです。

★タルディ/ヴェルネ『汚れた戦争』はまもなく発売。先月刊行された『塹壕の戦争 1914-1918』に続く、共和国さんのタルディ第二作です。原書は『Putain de Guerre !』(Casterman, 2014)。訳者あとがきによれば、同作はまず2008年から2009年にかけて、タブロイド判6分冊で発行されたあとに2分冊のアルバムとして刊行され、その後本書の底本となる1巻本新装版が2014年に刊行された、とのことです。前半(第1部)は、ジャック・タルディが第一次大戦を描いた「汚れた戦争」で、後半(第2部)はジャン=ピエール・ヴェルネによる大戦をめぐる資料編「汚れた戦争全史 1914-1918」となっています。世界情勢があたかも大戦前夜のようにきな臭くなっているこんにち、100年前に起こった最悪の事態について何度でも学び直す必要があると思えます。共和国さんは今年、タルディの二作をはじめ、池田浩士『戦争に負けないための二〇章』や、藤原辰史編『第一次世界大戦を考える』などの新刊を刊行されており、その出版活動そのものが反戦のアクションとなっています。「この編集者を見よ」と言わずにはいられません。

★髙﨑紗弥香写真集『沈黙の海へ』は発売済。「初夏から晩秋にかけて御嶽山の山小屋で働きながら、撮影を続けている写真家」(版元紹介文より)だという髙﨑紗弥香(たかさき・さやか:1982-)さんの写真集第一作です。当ブログでの写真では小さく見えるかもしれませんが実際はB4変型判(279mm×406mm)というかなり大判な本で迫力があります。収録されているのは「2014年に行なった、日本海から太平洋を縦断する単独行において〔・・・〕新潟・親不知の海抜ゼロメートルを起点に、北アルプス→乗鞍岳→御嶽山→中央アルプス→南アルプス→最終地点の静岡・駿河湾へ至る43日間」の中で撮影されたもので、厳しい自然の表情は「日本の自然でありながら、まったく未知の場所に降り立ったかのような新鮮な印象を与えるもの」となっていると謳われています。サンプル写真は書名のリンク先をご覧ください。静けさの中に生と死が剥き出しのまま隣り合わせているような、美しさと厳しさを併せ持つ凄絶な写真群に圧倒されます。今月17日(土)まで、静岡県三島市のGALLERYエクリュの森にて写真集出版記念展「沈黙の海へ」が開催されています。

★朴裕河『引揚げ文学論序説』はまもなく発売。2008年から2016年に各誌や論集で発表されてきた「引揚げ文学」をめぐる論文を一冊にまとめたもの。「引揚げ文学」とは、前世紀における満州、朝鮮、中国から日本への帰国者の中で作家として活躍した人々のことを指しており、彼らは「帝国時代の記憶にこだわり続け〔・・・〕」多くは、引揚げ後も自らを「在日日本人」と認識し、自らの異邦人性を強く自覚していた。〔・・・〕青少年期までの時期をかの地で過ごした結果として、植民地や占領地以外には「故郷」がないと感じていたひとたち」(14頁)と著者は指摘しています。目次詳細や取り上げられている作家については書名のリンク先をご覧ください。

★「「引揚げ」関連手記や文学作品をひもといてまず気づくのは、これらの物語が、「日本」という主体の統合化に微細ながら決定的な亀裂を入れていることである。つまり、そこでは植民地の日常の記憶や、戦後日本への違和感とともに、植民地からもち帰った言葉や文化の「混交」の現場も語られていて、植民地・占領地返還後の「日本」がけっして単一の言葉・文化・血統を共有する「単一民族国家」ではありえなかったことが、そこからは見えてくる」(29頁)。「「引揚げ文学」は、「引揚げ」そのものの悲惨な記憶を忘却せんとする欲望に加えて、「帝国」政策の結果としての混血性を露わにし、新しいはずの「戦後日本」がほかならぬ「帝国後日本」でしかなかったことをつきつける存在でもあった」(30頁)というのが著者の分析です。

★また、あとがきでは次のように振り返っておられます。「『和解のために』『ナショナル・アイデンティティとジェンダー――漱石・文学・近代』『帝国の慰安婦』と、引揚げとは関係ない本をだしてきたが、『ナショナル・アイデンティティとジェンダー』にさえ、他者と出会う体験をさせる「移動」への関心が底辺にあった。ここ十余年の歳月は、まさに移動への関心とともにあったのである。特に『帝国の慰安婦』は、住み慣れた場所を離れることを余儀なくされ、「移動」させられる女性たちのことを書いたつもりである」(201~202頁)。「歴史は、ともすると観念化する」(204頁)という言葉は朴さんの研究における批判的姿勢をよく表しているように思えます。

★『加藤秀俊社会学選集(上/下)』は発売済。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。版元さんの説明によれば、『加藤秀俊著作集』全12巻(中央公論社、1980~1981年)に含まれていない、「1995年以降の主要な論考を、若い世代の社会学者の意見も参考にしながらまとめた」もので、「各論考に、現在の考え、当時の思い出やこぼれ話といった「あとがき」を付」したもの、とのことです。白い紙に書家の石川九楊さんによる題字が印刷され、カバーには内容紹介文は一切記載されておらず、帯も付属しないという極めてシンプルな装丁です。人文書院さんのウェブサイトでは、竹内洋さんによる「加藤秀俊論」(『大衆の幻像』中央公論新社、2014年より転載)が掲出されており、加藤さんの立場を「非」論壇的で「非」左翼であるとする興味深い分析を読むことができます。

★河西秀哉『うたごえの戦後史』は発売済。著者の河西秀哉(かわにし・ひでや:1977-)さんは神戸女学院大学文学部准教授。これまで主にに戦後の天皇制をめぐる複数の著書を上梓しておられます。本書について「合唱は一緒に歌うことを通じて、参加者どうしの結びつきを強め、一体となる効用があると考えられた。そして、ともに歌うことで、一人ひとりが抱えていた問題が解消し、またそれぞれの生活に戻っていく。うたごえの戦後史は、それをどう思想的に位置づけ実践するのか、という模索であった」(196頁)と著者は終章で述べています。目次詳細や序章の立ち読みは書名のリンク先をご覧ください。

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# by urag | 2016-12-04 21:42 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)

注目新刊:ブランショ『終わりなき対話』

弊社出版物でお世話になっている著訳者の最近の出版物をご紹介します。

◆モーリス・ブランショさん(著書:『ブランショ政治論集』『書物の不在』『謎の男トマ』)
◆郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)

後期の代表作評論集のひとつ『終わりなき対話』(L'entretien infini, Gallimard, 1969)の訳書が三分冊で刊行開始となりました。三部構成がそのまま一冊ずつ出版されていくかたちで、今回発売された第Ⅰ巻が「複数性の言葉(エクリチュールの言葉)」、第Ⅱ巻が「限界-経験」で2017年3月刊行予定、第Ⅲ巻が「書物の不在(中性的なもの、断片的なもの)」で2017年7月刊行予定、と告知されています。第Ⅰ巻の翻訳の分担は巻頭の対話篇「終わりなき対話」が郷原さんによるもので、そのほかは湯浅さんと上田さんの共訳です。このお二人が訳者あとがきもお書きになっておられます。

終わりなき対話 Ⅰ 複数性の言葉(エクリチュールの言葉)
モーリス・ブランショ著 湯浅博雄/上田和彦/郷原佳以訳
筑摩書房 2016年11月 本体4,500円 A5判上製248頁 ISBN978-4-480-77551-1

カヴァー表1紹介文より:不可能と対峙せよ。20世紀文学史に屹立する孤高の名著、刊行開始。

目次:
はしがき
終わりなき対話
1 思考と不連続性の要請
2 このうえなく深い問い
 1
 2
 3
3 言葉を語ることは見ることではない
4 大いなる拒否
 1
 2 暗くてわからないものをいかにしてあらわにするか
5 未知なるものを知ること
6 言葉を保ち続ける
7 第三類の関係――地平のない人間
8 中断――リーマン面のうえにいるように
9 複数性の言葉
訳注
訳者あとがき

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# by urag | 2016-12-02 12:25 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)

丸善お茶の水店に新設された2Fの芸術書売場

さる7月25日に、丸善お茶の水店が増床オープンしたのは皆様ご承知の通りです。2階フロア150坪が新設され、1階と合わせて約400坪に広がりました。新設された2階には芸術書のほか、語学書、洋書、学参、コミックが展開されています。お茶の水店さんから芸術書売場の店頭写真を何枚か頂戴したのでご紹介します。

1枚目は写真評論および写真家別写真集の棚です。日本の写真家を巨匠から若手まで、コンパクトにまとめておられます。弊社の今月新刊、森山大道×鈴木一誌『絶対平面都市』を面陳で置いていただいています。
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2枚目は1枚目の棚の裏側で動物写真の棚です。リボンで飾られている二段では年末年始のギフト向け商品を展開されています。3枚目はそのギフトコーナーの接写です。好評を博している某版元さんのパラパラブックスですね。
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芸術書売場では写真、美術、音楽、演劇、映画、デザイン書を陳列。鑑賞するだけでなく、実際に描いたり、作ったり、演じたりするための本も並べているとのことです。
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# by urag | 2016-11-29 20:38 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)

メモ(9)

「日本経済新聞」2016年11月28日付記事「紙離れでも積極投資 凸版印刷100億円、神戸新聞は輪転機」に曰く「人口減や電子媒体の普及による「紙離れ」が進むなか、印刷会社や新聞社が積極投資に打って出る。凸版印刷は28日、雑誌や書籍の印刷を手掛ける川口工場(埼玉県川口市)での約100億円の設備投資を発表。〔・・・〕最新鋭の印刷機械を手に入れて業務を効率化、収益基盤を固める狙いだ。/凸版印刷が川口工場で導入するのは、高速オフセット輪転印刷機など。このほど延べ床面積1万7722平方メートルの新棟を建設。これまで全国に点在していた印刷・製本の設備を集約するという。新しい生産ラインは12月から稼働する予定だ。/最新型の印刷機を導入することで、これまで受注してきた雑誌などに加え、印刷数が数百から数千と少ない自費出版の書籍や高価な学術書の印刷にも機動的に対応する。幅広い印刷需要を掘り起こすことで、「紙離れ」に対抗する」と。

大手のやること以外はなかなか記事になりにくいのかもしれませんが、中規模印刷所でもこうした投資をし、縮小する市場規模の中での生き残りを賭けている会社があります。撤退する会社があれば、事業拡大を目指す会社もある、と。凸版印刷が「印刷数が数百から数千と少ない自費出版の書籍や高価な学術書の印刷にも機動的に対応する」というのは、大手版元の事情を如実に表していると想像できます。ことこの少部数出版の分野においては凸版が中小印刷会社と価格競争ができるのかどうかはよく分かりませんが、中小版元にまで凸版から営業がかかることはないような気がします。
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# by urag | 2016-11-29 12:46 | 雑談 | Trackback | Comments(0)

メモ(8)

東京商工リサーチの「TSR速報」2016年11月28日付によれば、岩波ブックセンターを経営する(有)信山社が破産開始決定と。「設立平成12年8月、資本金300万円、故柴田信代表)は11月25日、東京地裁から破産開始決定を受けた。〔・・・〕負債は現在調査中。/東京・神田神保町で(株)岩波書店発行の書籍販売を中心とした「岩波ブックセンター」を経営していた(岩波書店との資本関係は無い)。人文・社会科学系の専門書、新書、文庫をはじめ岩波書店が刊行する書籍の大部分を取り扱っていることで広く知られ、多くの書店が集中する神保町界隈でもランドマーク的な存在として知名度を有していた。/しかし、28年10月に代表の柴田取締役会長が急逝。事業継続が困難となり11月23日より店舗営業を休業し、動向が注目されていた」と。

帝国データバンクの11月28日付「倒産速報」では、負債1億2732万円(債権者約28名)と伝えられ、「2000年(平成12年)8月に設立された専門書店運営業者。神田神保町にて「岩波ブックセンター」を運営していた。岩波書店と直接的な資本関係はないものの、岩波書店発行の歴史、文芸、政治、哲学、宗教、心理などの人文・社会科学系専門書を取り揃え、岩波書店が刊行する新刊本、流通している既刊本はすべて取り扱っていることを最大の強みとしていた。/しかし、出版不況下で慢性的な業績低迷が続き、毎期欠損計上を余儀なくされていた。財務体質は脆弱で、債務超過の状態を脱することが出来なかった」と報じています。

人文書業界にとってはけっして小さくないニュースです。取次は大阪屋栗田で、旧栗田の帳合店でした。大阪屋栗田と言えば、関東の流通拠点であるOKC(埼玉県戸田市氷川町3-4-15)とOKC第二物流センター(戸田市美女木1271-3;元「太洋社戸田流通センター」)を年内で閉鎖し、年明けから埼玉県川口市本蓮1-14-1の日の出運輸倉庫の1Fと3Fに「大阪屋栗田関東流通センター」を開所することになったばかり。2拠点分の物流をどうやって日の出倉庫に統合できるのか部外者には想像がつかないなか、大阪屋栗田が支えていくと宣言しているはずだった街ナカ書店のひとつである岩波ブックセンターが破産というのは、旧栗田帳合の書店さんへの取次の対応が思いやられ、さらに11月18日には株式会社出版物共同流通センターが解散したこともあり(「文化通信」2016年10月13日付記事「共同集品の出版物共同流通センターが解散へ」)、年末という区切りだけにいささか嫌な流れを感じるところではあります。また、岩波ブックセンターは店頭在庫の何割かが岩波書店の本や文庫、新書、ブックレット、雑誌だったのでしょうし、資本関係がないとはいえ、岩波書店との付き合いがどんなものだったのか、推理しようとする向きもあるようです。

関連記事は以下の通り。「新文化」2016年11月28日付記事「岩波ブックセンター信山社が破産」に曰く「10月に柴田会長が急逝したことで事業継続が困難となり、11月23日から店舗を休業していた。同28日には、関係者らが店内の整理にあたっていた。白井潤子社長の姿もあったが、関係者に遮られ直接声を聞くことはできなかった」と。店内を整理する様子を窓の外から写した写真が何とも言えず物悲しいです。同紙11月22日付記事「柴田信氏の「お別れの会」、400人超が参列」。同紙11月14日付記事「大阪屋栗田、OKCの2拠点を統合」。

ちなみに版元の信山社出版株式会社さんはまったくの別会社で無関係であり、有限会社信山社との資本関係もないと聞いています。

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柴田信さんについては「東京新聞」2016年11月10日付夕刊社会面の記事「岩波ブックセンター会長 故柴田信さん 本愛した「神保町の顔」 21日にお別れの会」で手短かにまとめられています。

「J-CASTニュース」11月28日付記事「「岩波ブックセンター」運営会社が破産 神保町の名所「とても寂しい」」ではツイッターでの反響も拾われています。色々な声はあると思いますが、この記事配信後のツイートで個人的に胸にズキンと来たのは@lalalacozyさんのつぶやき「残念というのは容易いけれど、そう嘆く人の何割が最近岩波ブックセンターに足を運び購入したのだろう。本を買わなくなった我々が潰したのだ」、でした。

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「OKC 戸田」で検索すると比較的上位に掲出される某ブログ記事に戦慄を覚えました。怖い話なのでリンクできません。

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信山社関連記事。「読売新聞」11月28日付記事「岩波ブックセンター経営、信山社が破産手続き」、「毎日新聞」11月28日付「岩波ブックセンター 経営の信山社が倒産」、「時事通信」11月28日配信「神保町の信山社破産=「岩波ブックセンター」経営」などはごく簡単な報道。「朝日新聞」11月29日付記事「岩波中心の書店、運営社破産」は有料記事につき全文は読めませんが、ヤフーニュース版11月28日付記事「岩波ブックセンターの運営会社破産 「専門書の専門店」」と類似する内容かと推察されます。曰く「岩波書店や東京商工リサーチによると、岩波ブックセンターは1981年、岩波ホールに隣接する岩波書店アネックスに入居。当時は岩波の関連会社が運営していたが、2000年に岩波とは資本関係のない信山社が引き継いだ。同店のホームページでは「硬派出版社の新刊本・既刊本にこれだけ出会える書店は、他に例はない」とするなど「専門書の専門店」として知られてきたが、・・・」と。

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岩波ブックセンターのサイトトップにはごく簡単な「ご案内」が掲出されています。曰く「誠に勝手ながら、岩波ブックセンターは平成28年11月25日をもちまして閉店させていただきます。長年のご愛顧、まことに有り難うございました。岩波ブックセンター(有)信山社」。

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# by urag | 2016-11-28 17:16 | 雑談 | Trackback | Comments(0)

注目新刊:レヴィ=ストロースの再刊2点、ほか

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★今回は以下の3点の再刊書に注目したいと思います。

火あぶりにされたサンタクロース』クロード・レヴィ=ストロース著、中沢新一訳・解説、角川書店、2016年11月、本体1,800円、四六判上製124頁、ISBN978-4-04-400220-6
神話と意味』クロード・レヴィ=ストロース著、大橋保夫訳、みすず書房、2016年11月、本体2,400円、四六判上製112頁、ISBN978-4-622-08591-1
心と身体/物質と記憶力――精神と身体の関係について』ベルクソン著、岡部聡夫訳、駿河台出版社、2016年11月、本体3,600円、B6判並製488頁、ISBN978-4-411-02241-7

★まずはレヴィ=ストロースの2点。『火あぶりにされたサンタクロース』は1995年にせりか書房から刊行されたものの新版で、巻頭に新たに置かれた「新版のための序文」によれば、「図版や写真や若干の表記を改めただけで、ほぼそのままのかたちで新しく出版し直す」とのことです。サルトルの依頼により「レ・タン・モデルヌ」誌77号(1952年3月)に寄稿された論考「Le Père Noël supplicié」の翻訳で、巻末にはせりか書房版と同様に、中沢さんの解説「クリスマスの贈与」が付されています。先述した新しい序文で中沢さんはこの論考について次のように紹介されています。「興味ふかい論文の中で、太陽の力が弱まる冬至をはさんでおこなわれた異教世界の死者儀礼が、どのようにしてキリスト教の祭りに組み入れられ、変形されていったかを、それまでにない斬新な着想にもとづいて明らかにしてみせている。とりわけ近代の資本主義化したヨーロッパが、いかにしてたくみにクリスマスを資本主義精神の表現者につくりかえていったかを、みごとに描き出してみせた。/資本主義という経済システムの深層には、「贈与」や「増殖」をめぐる人類のとてつもなく古い思考が埋め込まれている。クリスマスが図らずもそのことを露呈させる。つまりクリスマスとは、キリスト教的なヨーロッパが意識下に押し隠そうとした文明の「無意識」を、夢のようなしつらえをつうじて社会の表面に露呈させる、いささか不穏なおもむきをはらんだ祭りなのである。/レヴィ=ストロースはクリスマスのはらむその不穏なうごめきのようなものを、ヨーロッパ文明の本質をなす矛盾の表現と考えたのである」(2~3頁)。

★『神話と意味』は、1996年にみすずライブラリーの一冊として刊行されたものの新装版。再刊にあたって改訂があったのかどうかは特記されていませんが、訳者は1998年にお亡くなりになっています。原書は『Myth and Meaning』(University of Toronto Press, 1978; 2nd edition, Schocken Books, 1995)です。1977年12月にカナダのCBCラジオで放送された、神話をめぐる全5回の講話。帯文に曰く「ラジオでの講話を編集。『野生の思考』『神話論理』に対する質問に答える。率直かつ明快な、彼自身による入門書」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ウェンディ・ドニジャー(Wendy Doniger, 1940-)による「序」に付されたささやかな注でほのめかされている、レヴィ=ストロースとジーンズメーカーのリーヴァイ・ストラウス(レープ・シュトラウス)の「関係」については、どう理解するべきなのかよく分かりませんが、興味をそそられます。

★続いてベルクソンです。『心と身体/物質と記憶力』は、『物質と記憶――精神と身体の関係について』(駿河台出版社、1995年)の新版。巻末の「後記」によれば、旧版の「段落で見落としたところを補い、気づいた間違いは訂正し、また訳文もいくらか修正した」とのことです。また続けて「日本語として意味不明の訳文が、すべて誤訳であることはいうまでもない」ときっぱりとお書きになっておられ、その厳しいご姿勢に胸を打たれます。新版では新たに『精神的エネルギー』の第二論文「心と身体」の翻訳が掲載され、さらに巻末解説も一新されています。旧版では「脳と記憶――ベルクソンの失語論」(旧版345~362頁)と題されていましたが、新版では「自由な行為における記憶力と身体の関係について」(409~471頁)となっています。御参考までに新旧の訳者解説の詳細目次を以下に列記しておきます。旧版:Ⅰ「『物質と記憶』概観」、Ⅱ「局在論とその問題点」、Ⅲ「ベルクソンによる説明」、Ⅳ「形而上学の伝統的テーマについて」、後記。新版:第一部「記憶は脳のなかにある?」、第二部「心身関係――ベルクソンの場合」〔Ⅰ「記憶力の二つの形態について」、Ⅱ「再認の二つの形態について」、Ⅲ「イマージュの記憶から運動への移行について」〕、第三部「心脳関係――ペンフィルドの場合」、第四部「自由な行為と記憶力」、後記。なお、新版の刊行にあたって『物質と記憶』を『物質と記憶力』と改めたことについては、後記に「精神力の異名であるmémoireを「記憶力」あるいは「記憶力のはたらき」とし、souvenirを「記憶」あるいは「思い出」としたことによる」とお書きになっておられます。

★なお『物質と記憶』をめぐっては今月、注目すべき論文集が刊行されました。『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する――現代知覚理論・時間論・心の哲学との接続』(平井靖史/藤田尚志/安孫子信編、書肆心水、2016年11月)。書名のリンク先で目次の閲覧と立ち読みができます。

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★このほか、最近では以下の書籍との出会いがありました。

ジャック・デリダと精神分析――耳・秘密・灰そして主権』守中高明著、岩波書店、2016年11月、本体2,900円、四六判上製256頁、ISBN978-4-00-061157-2
タイム・スリップの断崖で』絓秀実著、書肆子午線、2016年11月、本体2,300円、四六判並製312頁、ISBN978-4-908568-08-4
マイクロバイオームの世界――あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』ロブ・デサール/スーザン・L・パーキンズ著、パトリシア・J・ウィン本文イラスト、斉藤隆央訳、紀伊國屋書店、2016年12月、本体2,000円、46判上製298頁、ISBN978-4-314-01144-0

★守中高明『ジャック・デリダと精神分析――耳・秘密・灰そして主権』は発売済。本書の企図について巻頭の序「「科学」の時代における精神分析」にはこう説明されています。「ジャック・デリダの思考とフロイトに始まる精神分析の思考をあらためて出会わせ、そのことを通して人間という謎に満ちた存在の全的理解が試されるいくつかの限界的場面にその知を向き合わせること、そして同時に、制度化され学としての体系性を手に入れる代償として精神分析が失ったものが何であるかを、デリダの思考を一種の触媒として明らかにすること、つまりは脱構築的読解の介入によって精神分析を変容させ、この知に新たな別種の射程をもたらすこと」(1頁)。序に続く本書の構成は以下の通りです。第Ⅰ部「耳について」〔第一章「脱構築と(しての)精神分析――不気味なもの」、第二章「ラカンを超えて――ファロス・翻訳・固有名」〕、第Ⅱ部「秘密について」〔第一章「告白という経験――フーコーからデリダへ」、第二章「埋葬された「罪=恥」の系譜学――クリプトをめぐって」〕、第Ⅲ部「灰について」〔第一章「終わりなき喪、不可能なる喪――アウシュヴィッツ以後の精神」、第二章「ヘーゲルによるアンティゴネー――『弔鐘』を読む」〕、第Ⅳ部「主権について」〔第一章「絶対的歓待の今日そして明日――精神分析の政治-倫理学」、第二章「来たるべき民主主義――主権・自己免疫・デモス」〕、註、あとがき。

★絓秀実『タイム・スリップの断崖で』は発売済。扶桑社の文芸誌「en-taxi」(2003年~2015年)の第5号(2004年春号)から休刊号となる第46号(2015年冬号)にかけて連載された時評「タイム・スリップの断崖で」に加筆訂正を加えたもの。帯文は以下の通りです、「小泉政権下でのイラク邦人人質事件から安保関連法案をめぐる国会前デモまで、そこに顕在化したリベラル・デモクラシーのリミット=断崖を照射する!」。奥付前の特記によれば、連載第一回目の「さらに、踏み越えられたエロティシズムの倫理――大西巨人の場合」は「文芸評論として書かれており、本書の時評集という性格から外れるため、これを収録しなかった」とのことです。また、絓さんが「本書最大の読みどころ」と絶賛されている、本書の10万字以上に及ぶという脚注は、長濱一眞さんによるものだそうです。

★デサール&パーキンズ『マイクロバイオームの世界』はまもなく発売。原書は『Welcome to the Microbiome: Getting to Know the Trillions of Bacteria and Other Microbes In, On, and Around You』(Yale University Press, 2015)です。訳者あとがきの文言を借りると、本書は「アメリカ自然史博物館で2015年11月から2016年8月まで開催されていた、マイクロバイオームをテーマとして展示会に合わせて制作されたものらしい。展示会はその後、アメリカ国内のみならず国外へもツアーをおこなう予定とのことなので、いずれ日本で開催されることもあるかもしれない」。同じく訳者あとがきによれば、マイクロバイオームとは「私たちの体の内部や表面のほか、家庭や学校などの生活の場のそれぞれに存在する微生物の集まり」であり、そうした微生物のもつ遺伝子の総体を指すこともあるとのことです。目次詳細や本書の概要については書名のリンク先をご覧ください。

★今夏に刊行されたアランナ・コリンによる『あなたの体は9割が細菌――微生物の生態系が崩れはじめた』(矢野真千子訳、河出書房新社、2016年8月)が話題を呼びましたが、この本が踏まえている議論こそが「ヒトマイクロバイオーム・プロジェクト」であり、その詳細を『マイクロバイオームの世界』が教えてくれます。マイクロバイオーム関連の新刊は今後もますます増えていくものと思われます。近年では理系や医学系の雑誌で幾度となく取り上げられてきましたし、マーティン・J・ブレイザー『失われてゆく、我々の内なる細菌』(山本太郎訳、みすず書房、2015年7月)や、今月刊行されたデイビッド・モントゴメリー/アン・ビクレー『土と内臓――微生物がつくる世界』(片岡夏実訳、築地書館、2016年11月)など、単行本も増えています。『現代思想』2016年6月臨時増刊号「総特集=微生物の世界――発酵食・エコロジー・腸内細菌」などもその引力圏にあると言えるかと思われます。文理の別を問わない越境的な問題群に切り込む重要な鍵として書店さんの店頭をにぎわせていくことでしょう。
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# by urag | 2016-11-27 16:46 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)