2018年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆最新刊と近刊

◎2017年5月15日取次搬入予定:金澤忠信『ソシュールの政治的言説』本体3,000円、シリーズ・古典転生第14回配本。

◎2017年5月12日取次搬入予定:『鉄砲百合の射程距離』内田美紗[句]、森山大道[写真]、大竹昭子[編]、本体2,500円

◎2017年4月17日発売:『表象11:ポスト精神分析的主体の表象』本体2,000円。

◎2017年3月30日発売:上野俊哉『[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ』本体3,000円。

◎2017年2月16日発売:松江泰治『Hashima』本体3,600円。
書評1⇒無記名氏(『CANON PHOTO CIRCLE』2017年4月号「今月の新刊」欄)
書評2⇒無記名氏(「信濃毎日新聞」2017年3月26日(日)付「読書欄」)

◎2017年2月10日発売:佐野方美『SLASH』本体4,000円。
書評1⇒『アサヒカメラ』2017年4月号「TOPICS/BOOK」欄「写真に封じ込められた一瞬の集積――時代の空気を写しとめた新作写真集を読む」(解説=山内宏泰、聞き手=池谷修一)

◎2017年2月8日発売:星野太『崇高の修辞学』本体3,600円、シリーズ古典転生12。
書評1⇒n11booknews_staff氏「「崇高」に惑わされないための丁寧な考察」(「Book News|ブックニュース」2017年3月4日エントリー)
書評2⇒中島水緒氏(「美術手帖」2017年5月号「BOOK」欄)

◎2016年12月26日発売:マッシモ・カッチャーリ『抑止する力』本体2,700円。
書評1⇒篠原雅武氏「オレンジとバカにされている偉そうなジジイのアポカリプスとともに、アメリカのいたるところは主の到来を待ち望む人たちによって埋め尽くされようとしている」(「図書新聞」2017年3月18日号)
書評2⇒中村勝己氏「「カテコーン」の概念の解釈を主題に――〈世界の再宗教化〉をどう捉えどう向き合うべきか」(「週刊読書人」2017年3月31日号)

◎2016年12月7日発売:荒木経惟×荒木陽子『東京は、秋』本体3,500円
書評1⇒山本アマネ氏(『FUDGE』2017年2月号「PICK UP NEW BOOKS 今月の新刊&注目作」欄)
書評2⇒山本アマネ氏(『men's FUDGE』2017年3月号「BOOKS」欄)
書評3⇒無記名氏(『母の友』2017年5月号「polyphony/Books」欄)

◎2016年11月11日発売:森山大道×鈴木一誌『絶対平面都市』 本体2,750円
紹介記事1⇒「東奥日報」2016年12月16日付など
短評⇒「週刊読書人」2016年12月16日号「2016年の収穫 41人へのアンケート」神藏美子氏
紹介記事2⇒『アイデア』No.360(2017.1)「book」欄
書評1⇒上野昂志氏書評「急かされ。考えさせられる」(『キネマ旬報』2017年2月上旬号「映画・書評」欄)
書評2⇒大竹昭子氏書評(『朝日新聞』2017年1月22日付「読書」欄)
書評3⇒小原真史氏書評「奇妙なダイアローグ 優れた森山大道論であり写真論」(「週刊読書人」2017年2月10日号)
書評4⇒土肥寿郎氏書評「写真の本質 対話重ね迫る」(『北海道新聞』2017年2月12日付「本の森」欄)

◎2016年9月2日発売:森山大道『Osaka』本体3,500円

◎2016年7月7日発売:W・ウォルターズ『統治性――フーコーをめぐる批判的な出会い』本体2,500円。
書評1⇒ぷよまる氏書評「フーコーを使う、理論を使う」(「綴葉」352号、2016年11月)
書評2⇒山本奈生氏書評(『佛大社会学』第41号、2017年3月30日発行)

◎2016年7月1日発売:G・バタイユ『マネ』本体3,600円。
書評1⇒濱野耕一郎氏書評「期待を裏切る至高のタブロー――バタイユによるマネ論」(「週刊読書人」2016年9月9日号)
書評2⇒中島水緒氏書評「マネ作品の可能性を汲み尽した比類なき芸術論」(「美術手帖」2016年11月号BOOK欄)

◎2016年5月25日発売:『ユンガー政治評論選』本体2,800円。

◎2016年4月15日発売:『表象10:爆発の表象』本体1,800円

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎品切重版準備中:『ミクロコスモス第1集』2刷、ユンガー『パリ日記』2刷、ギルロイ『ブラック・アトランティック』4刷。
◎品切重版未定:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象04』『表象05』『表象08』、毛利嘉孝『文化=政治』、上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』、ブランショ『書物の不在 第二版鉄色本』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道『新宿』、森山大道写真集『新宿+』、森山大道写真集『大阪+』、森山大道写真集『オン・ザ・ロード』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、熊木裕高写真集『吠えない犬』、瀬戸正人写真集『picnic』、菱田雄介写真集『ある日、』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
日々この業界ではたくさんの出来事が起こっていて、それぞれにコメントしたい気もするし、実際言うべきこともままあるのですが、出来事に振り回されるのは嫌だし、こみいった背景をうまく説明できなかったり、しがらみのせいではっきり言えなかったりするのが現実なので、出来事情報は下記のリンクを随時ご参照下さいませ。

◎業界紙系:倒産や出店などの時事情報がやっぱり早い→ 新文化 ニュースフラッシュ
◎一般紙系:全国紙や地方紙、専門紙誌に掲載されたニュースをまとめてチェック→ Yahoo!ニュース「マスコミ、出版」
◎話題系:昨今の様々な注目トピックを整理整頓→ フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営」 / Yahoo!ニュース「出版不況」「電子書籍」「アマゾン
◎新刊書店系:書店業界のひきこもごもの内情→ 日書連 全国書店新聞
◎古書店系:古本屋さんの奥深い世界を垣間見れます→ 東京古書組合 日本の古本屋メールマガジン
◎雑談&裏話:業界の「非常時」には頼りになる一面もあるかも→ 2ちゃんねる 一般書籍

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# by urag | 2018-12-31 23:59 | ご挨拶 | Trackback(1) | Comments(21)
2017年 04月 30日

注目シリーズのスタート:『吉本隆明全集』第二期、「井筒俊彦英文著作翻訳コレクション」、ほか

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吉本隆明全集(37)書簡I』晶文社、2017年5月、本体6,000円、A5判変型上製456頁、ISBN978-4-7949-7137-1
老子道徳経』井筒俊彦著、古勝隆一訳、慶応義塾大学出版会、2017年4月、本体3,800円、A5判上製272頁、ISBN978-4-7664-2415-7

★『吉本隆明全集(37)書簡I』は5月10日頃発売。第13回配本で、今回から第二期のスタートです。帯文に曰く「『試行』単独編集、試行出版部創設、『初期ノート』刊行、「全著作集」刊行開始――。1962~68年に白熱の核心をむかえる川上春雄宛全書簡150通余りを収録」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻末の間宮幹彦さんによる解題によれば、川上春雄さんは吉本隆明さんにかんする資料の収集者であり、年譜作成者であり、著作集の編集・校訂をゆだねられた人物で、試行出版部の発行者だったと紹介されています。また、吉本さんと直接知り合うまでの経緯も解題に記載されています。その川上さんへの全書簡のほか、資料として吉本さん本人やそのご両親や友人に訪問取材した記録なども収録されています。付属の月報13は、山根貞男さんによる「ある世代の思い出」、田中和生さんの「文芸批評家から文人へ――書簡集刊行によせて」、ハルノ宵子さん「お気持ち」を掲載。次回配本は9月予定、第13巻(1972~1976年)で「はじめて外国の文学者たちを論じた『書物の解体学』と長くその資質にひかれて論じてきた『島尾敏雄』、その他の散文と詩を収録[単行本未収録二篇]」(全巻内容より)。

★『老子道徳経』は発売済。シリーズ「井筒俊彦英文著作翻訳コレクション」の第一回配本です。同コレクションは「『井筒俊彦全集』と併せて、今日にいたるまで世界で読み続けられている井筒俊彦の英文代表著作を、本邦初訳で提供し、井筒哲学の全体像をより克明に明らかにするもの」(特設サイトより)で、「日本語著作の空白の時代を埋める」(内容見本より)もの。全7巻全8冊の詳細や『老子道徳経』の目次詳細についても版元さんの特設サイトでご覧いただけます。『老子道徳経』の帯には中島隆博さんによる推薦文が掲載されていますが、それも特設サイトで読むことができます。凡例によれば底本は同出版会から2001年に刊行された『Lao-tzŭ:The Way and Its Virtue』で、「翻訳にあたり新たに原文を修正した部分がある。その異同などは適宜訳注に注記した」とのことです。本訳書には新たに訓読索引と事項索引が付されています。第2回配本は6月刊行予定、『クルアーンにおける神と人間――クルアーンの世界観の意味論』(鎌田繁監訳、仁子寿晴訳)とのことです。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

大航海時代の日本人奴隷――アジア・新大陸・ヨーロッパ』ルシオ・デ・ソウザ/岡美穂子著、中公叢書、2017年4月、本体1,400円、四六判並製208頁、ISBN978-4-12-004978-1
ジョルジュ・ペレック――制約と実存』塩塚秀一郎著、中公選書、2017年5月、本体2,600円、四六判並製456頁、ISBN978-4-12-110028-3
灰緑色の戦史――ドイツ国防軍の興亡』大木毅著、作品社、2017年5月、本体2,800円、46判上製400頁、ISBN978-4-86182-629-0
熟議民主主義の困難――その乗り越え方の政治理論的考察』田村哲樹著、ナカニシヤ出版、2017年5月、本体3,500円、A5判上製282頁、ISBN978-4-7795-1172-1

★『大航海時代の日本人奴隷』は発売済。カバー表4の紹介文は次の通り。「戦国時代の日本国内に、「奴隷」とされた人々が多数存在し、ポルトガル人が海外に連れ出していたことは知られていた。しかし、その実態は不明であり、顧みられることもほとんどなかった。ところが近年、三人の日本人奴隷がメキシコに渡っていたことを示す史料が見つかった。「ユダヤ教徒」のポルトガル人にたいする異端審問記録に彼らに関する記述が含まれていたのだ。アジアにおける人身売買はどのようなものだったのか。世界の海に展開したヨーロッパ勢力の動きを背景に、名もなき人々が送った人生から、大航海時代のもう一つの相貌浮かび上がる」。緒言にはこうあります。「我々〔著者〕がこの三人の「日本人奴隷」に関する記録に出会ったのは、マカオ、長崎、マニラを転々と暮らした「ユダヤ人」一家の異端審問裁判記録中であった。「ユダヤ人」とはいっても、国籍はポルトガル人で、さらには表面的にはカトリックのキリスト教徒であった。なぜ「ユダヤ教徒」のポルトガル人が、16世紀の長崎に住み、日本人を奴隷として連れ、アジア各地を転々としていたのか。それはアジアにおける人身売買と、多様な文化的アイデンティティを擁したイベリア半島社会の歴史が複雑かつ綿密に絡み合った結果に他ならない」(5頁)。目次も列記しておきます。緒言、はじめに、序章「交差するディアスポラ――日本人奴隷と改宗ユダヤ人商人の物語」、第一章「アジア」(Ⅰ:マカオ、Ⅱ:フィリピン、Ⅲ:ゴア)、第二章「スペイン領中南米地域」(Ⅰ:メキシコ、Ⅱ:ペルー、Ⅲ:アルゼンチン)、第三章「ヨーロッパ」(Ⅰ:ポルトガル、Ⅱ:スペイン)、おわりに、あとがき、参考文献、文献、注。あとがきによれば本書は、ポルトガルで出版されたルシオ・デ・ソウザ(Lúcio de Sousa, 1978-)の著書『16・17世紀の日本人奴隷貿易とその拡散〔Escravatura e Diáspora Japonesa nos séculos XVI e XVII〕』(NICPRI, 2014)の第一章と第二章を、吉田尚弘さんが翻訳し、著者の奥様でいらっしゃる岡美穂子さんが著者との調整のもと、日本で出版するにあたり、より理解しやすい内容と表現へと大幅に改稿したもの、とのことです。

★塩塚秀一郎『ジョルジュ・ペレック――制約と実存』はまもなく発売(5月8日頃)。カバー表4の内容紹介文は次の通りです。「ユダヤ系移民の子としてパリに生誕したペレックは、第二次世界大戦によって戦争孤児となり、想像を絶する人生の断絶を体験した。のち特異な言語遊戯小説の制作者となり、評価は歿後ますます高まっている。本書は、日常・自伝・遊戯・物語の四分類よりペレックの総合的読解に挑み、20世紀後半を彗星の如く駆け抜けた作家の魅力へと縦横に迫る」。目次を列記すると、はじめに、第1章「制約が語る――『煙滅』におけるリポグラムの意味」、第2章「制約下の自伝――『Wあるいは子供の頃の思い出』におけるフィクションと自伝」、第3章「制約と自由の相克――『人生 使用法』における諸プロジェクトの表象」、第4章「発見術としての制約――『さまざまな空間』はなぜ幸福な書物なのか」、おわりに――「大衆的な作家」、あとがき、注。ちなみに「リポグラム」とは「アルファベットの特定の文字を使わずに書く技法」(22頁)で、古代ギリシア以来の歴史があるそうです。ペレックには「リポグラムの歴史」という小文があります(酒詰治男訳、『風の薔薇(5)ウリポの言語遊戯』所収、書肆風の薔薇〔現・水声社〕、1991年、86~105頁)。周知の通りペレックの小説『煙滅』(水声社、2010年)はEを使わずに書かれており、それを塩沢さんはなんと、い段(いきしちにひみりゐ)を使わずにお訳しになっておられます。

★大木毅『灰緑色の戦史』は発売済。帯文はこうです。「シュリーフェン計画、電撃戦から、最後の勝利「ゼーロフ高地の戦い」まで、その“勝利”と“失敗”の本質から学ぶ。戦略の要諦、用兵の極意、作戦の成否。独自の視点、最新の研究、ドイツ連邦軍事文書館などの第一次史料の渉猟からつむがれる「灰緑色」の軍隊、ドイツ国防軍の戦史」。灰緑色はドイツ国防軍の軍服の色で、シンボルカラー。目次は以下の通りです。序「ドイツ国防軍にまつわる「神話」の解体」、第Ⅰ部「国防軍――その前史と誕生:第一次大戦 1939年」(第一章「軍事思想の相克」、第二章「総統と国防軍」)、第Ⅱ部「巨大なる戦場へ 1940-1944年」(第三章「閃く稲妻――電撃戦の時代」、第四章「ロシアのフォン・マンシュタイン」)、第Ⅲ部「鋼鉄軍の黄昏 1943-1945年」(第五章「ビヒモス陸に退く」、第六章「狼たちの落日」)、あとがき、註、主要参考文献、索引。作戦や戦線の数々を視覚化した作図の数々が圧巻です。

★田村哲樹『熟議民主主義の困難』はまもなく発売(5月15日頃)。田村哲樹(たむら・てつき:1970-)さんは名古屋大学大学院法学研究科教授でご専門は政治学・政治理論。複数のご著書がありますが、本書は『熟議の理由――民主主義の政治理論』(勁草書房、2008年)に続いて再び熟議民主主義(deliberative democracy)を論じたもの。序論によれば前著が「一定の包括的な構想を示そうとしたもの」で、今回の新著の主題は「熟議民主主義の困難」であり、その困難をもたらす阻害要因について論じられています。「本書の最終的な目的は、様々な阻害要因に対して、熟議民主主義の意義や可能性を擁護することである」(iii頁)。三部構成となっており(目次詳細は書名のリンク先をご参照ください)、第Ⅰ部「現代社会の状況への対応可能性」では「熟議では対応できないとされがちな現代社会の状況を取り上げ」、第Ⅱ部「問題としての思考枠組」では「熟議民主主義の、機能的に等価な代替案となり得る二つのもの〔情念、アーキテクチャ〕について検討」し、第Ⅲ部では「熟議民主主義に関する私たちの「思考枠組」こそが熟議の阻害要因となり得ると考え」、「思考枠組を転換し、より熟議民主主義の可能性を開くために三つの重要な問題〔親密圏、ミニ・パブリックス、自由民主主義〕を検討する」と。

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# by urag | 2017-04-30 23:32 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 28日

メモ(16)

故桑原武夫先生のご遺族が京都市に寄贈した蔵書1万421冊を一昨年、市右京中央図書館副館長だった女性職員(57歳、生涯学習部部長から課長補佐へ降任)が廃棄していた件の無残さは言うまでもありません(毎日新聞京都新聞その1その2読売新聞日本経済新聞朝日新聞)。おそらく蔵書家の多くはそもそも以前から図書館への寄贈に懐疑的だったはずですが、それを念押しする一例となってしまいました。

目下、出版業界をざわつかせているのは、「7月1日問題」です。版元営業の「記述師文庫堂」さんのツイートや、ひつじ書房のM社長のfacebookでの投稿をご参照ください。アマゾンから日販に日々飛んでいるバックオーダー(既刊書補充発注)の終了予定が6月30日なのです。この件については留意すべきことがドミノ式に増えていくため、まとめるのがしんどいのですが、しいてまとめると以下のようになります。

1)日販※がロングテールの在庫を抱えるのは現実的に無理では。
 ※納期短縮を懸命に推進してきたウェブブックセンターへのさらなる負担増大はリスキー。
 ※取次最大手と言えども王子RCのほかに巨大物流倉庫を一社単独で新設することは想像できない。
2)大阪屋栗田※がバックオーダーを支えきるのも無理では。
 ※現在でも日販で調達できない分の発注は大阪屋栗田に飛んでいる。
 ※アマゾン通達のQ&Aでは大阪屋栗田経由ではなく版元直取引の検討をと促している。
3)版元すべて※がアマゾンと一挙的に直取引になる可能性は低いのでは。
 ※継続的な出版活動をしているいわゆる「アクティブ」状態にあると思われる約2000社が想定される。
 ※そのほとんどは小零細企業。ヤマトや佐川が運賃値上げするのに、アマゾンの各拠点への分散小口納品などできません。
4)トーハン※がバックオーダーを引き受ける可能性も低いのではないか。
 ※大阪屋や日販がさんざんアマゾンに振り回されるのを見てきたわけで。
 ※現在でもコミックと雑誌の、アマゾンへの調達を担当。

アマゾンもずいぶんとスレスレなカードを切ったものだ、というのが営業マンたちが囁き合っている本音です。また、本件はロングテールを維持するためのキックバック要求や、運賃上昇に伴う取引条件の改定、などが今後アジェンダ化する可能性と必然的に隣り合わせになっています。栗田や太洋社に続いてここでも問題なのは物流という足腰がすっかり弱くなっている現状です。ようするに今回のアマゾン通達は出版業界をなぎ払うかもしれない嵐がすぐそこまで近づいていることを意味しているわけです。

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ようやく「文化通信」の記事が出ました。「アマゾンジャパン、日販非在庫品の取り寄せ発注を終了へ」(2017年4月28日付)に曰く「アマゾンジャパンは4月28日、日本出版販売(日販)が非在庫書籍を出版社から取り寄せる「日販バックオーダー発注」を6月30日で終了することを、出版社に通知した。これにより、一時的に売上機会減少のリスクがあるとしながら、出版社に対して同社との直接取引による商品供給を検討するよう求めている」。

「記述師文庫堂」さんが指摘している通り、在庫ステータス11番(在庫あり)以外の引当率が低いのは当たり前なのです。それを日販のせいにするのは無理があります。たとえば22番(重版中)や32番(版元品切)、33番(品切重版未定)はそもそも版元に商品がないのですから、版元と直取引したって引当率が上がるはずはありません。大取次にガチで無茶振りをするような会社を相手に、どの出版社が喜んで直取引をするというのでしょうか。最大手の講談社に対してすら電子書籍の取り扱いで酷い仕打ちをしているのが周知の事実なのに。一時的な売上機会減少のリスクどころではなく、ロングテール喪失の危険すらあるのに。

アマゾンがここまで直取引を推してくるのは、ここ数年来の相次ぐ取次危機にたいするリスクヘッジの側面もあるとはいえ、実際にアマゾンが目論んでいるほどには直取引が増えていないという現実の裏返しなのかもしれません。いきなり流通の蛇口を締めるようなことをするのではなく、「北風と太陽」の寓話を思い出してほしいところです。

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# by urag | 2017-04-28 20:11 | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 28日

注目新刊『HAPAX 7:反政治』夜光社、注目イベント@PGI

★江川隆男さん(訳書:ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』)
夜光社さんの思想誌『HAPAX』第7号が刊行されました。江川さんは「最小の三角回路について――哲学あるいは革命」(118₋130頁)を寄稿されておられます。

反政治 ― HAPAX 7
夜光社 2017年4月 本体1200円 四六判変形並製186頁 ISBN978-4-906944-12-5

目次:
相模原の戦争(HAPAX+鼠研究会)
人民たちの反政治(HAPAX)
魂の表式(入江公康)
ウンコがしたい(栗原康)
翻訳解題
エイリアンと怪物――『ダーク・ドゥルーズ』における革命(アンドリュー・カルプ)
残酷の政治について(『ホスティス〔Hostis〕』1号より)
残酷の政治についての五つのテーゼ(『ホスティス〔Hostis〕』2号より)
最小の三角回路について――哲学あるいは革命(江川隆男)
火墜論(混世博戯党)
Raw power is laughin' at you and me.(World's Forgotten Boy)
武器を取れ――大道寺将司の俳句(友常勉)

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★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
PGI(東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F)で2017年5月10日(水)から7月8日(土)にかけて開催される、濱田祐史さんの写真展「Broken Chord」に関連して行われるトークショーにご出演されます。

◎濱田祐史×星野太トークショー

日時:2017年 6月17日 (土) 16:00~
会場:PGI
定員:30 名
料金:500 円(要予約/当日お支払い下さい)

内容:金沢美術工芸大学美術科芸術学専攻講師の星野太氏(美学/表象文化論)をお招きし、”exposure”というキーワードをもとに本作「Broken Chord」を紐解いていくと共に、濱田氏の過去の作品や東欧に滞在した体験にも触れるトークショーを予定しております。

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# by urag | 2017-04-28 15:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 25日

本日スタート:森山大道写真展@森岡書店銀座店

来月中旬に全国主要書店にて発売となる予定の弊社新刊『鉄砲百合の射程距離』の発刊を記念した「森山大道写真展」が本日より銀座の森岡書店さんでスタートしました。5月7日まで開催(4月30日は休店)。内田美紗さんによる俳句の数々と森山大道さんの写真が織りなす独特な世界観をご堪能いただけます。会期中は森山大道さんのオリジナルプリントも販売されています。

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# by urag | 2017-04-25 15:06 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 24日

「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」@首都大学東京

◎講演会「人文書出版と業界再編――出版社と書店は生き残れるか」

日時:2017年5月24日(水)16.20-18.00
場所:首都大学東京(南大沢)国際交流会館 中会議室
講師:小林浩(月曜社取締役・編集者)
司会:西山雄二(首都大学東京准教授)
料金:入場無料、事前予約不要

内容:出版業界は激動期に突入しています。自費出版社が中堅版元を吸収し、新古書店がセレクト書店チェーンを傘下におき、大手印刷会社が書店や出版社を次々に買収しています。ネット通販会社が取次の大株主となり、IT関連企業と大出版社が合併しました。電子出版はジャンルによっては紙媒体の売上を上回るようになり、ネット書店最大手の販売力はリアル書店最大手のそれを凌駕しています。リアル書店は書籍だけでは売上を維持できず、文具や雑貨の売場、カフェなどを併設するのが当たり前になりつつあり、このトレンドは図書館にまで影響を及ぼしています。紙媒体の雑誌は広告収入が減少し、専門書の初版部数もまた減少しています。もはや戦後の従来の体制を維持できなくなりつつある出版界で、出版社は、書店は、物流は、人文書は、どう変わっていくのでしょうか。著者や読者はそこにどう巻き込まれていくのでしょうか。出版界に明るい未来はあるのでしょうか。五里霧中とも言える不透明な業界再編の現実について、零細出版社の立場から証言し、展望します。そして、誰しもが納得しうる万能な解決策の提示ではなく、出版の、書物の原点を再確認したいと思います。(講師・記)


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# by urag | 2017-04-24 09:26 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 23日

注目新刊:全編新訳『ヘーゲル初期論文集成』作品社、ほか

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ヘーゲル初期論文集成
G・W・F・ヘーゲル著 村田晋一/吉田達訳
作品社 2017年4月 本体6,800円 A5判上製695頁 ISBN978-4-86182-631-3
帯文より:処女作『差異論文』からキリスト教論、自然法論、ドイツ体制批判まで。哲学・宗教・歴史・政治分野の主要初期論文を全て新訳で収録。『精神現象学』に先立つ若きヘーゲルの業績。
目次:
Ⅰ 哲学論文
 フィヒテとシェリングの哲学体系の差異――ラインホルト『一九世紀初頭の哲学の状況をもっと簡単に概観するための寄与』第一部との関連で
 哲学的批判一般の本質、とりわけ哲学の現状にたいするその関係について
 懐疑主義と哲学の関係――そのさまざまな変種の叙述および最近の懐疑主義と古代懐疑主義の比較
 抽象的に考えるのはだれか
 ドイツ観念論最古の体系プログラム
Ⅱ 宗教論文
 ユダヤ人の歴史と宗教
 イエスの教えとその運命
 愛と宗教
一八〇〇年の宗教論
Ⅲ 歴史・政治・社会論文
 自然法の学問的な取りあつかいかた、実践哲学におけるその位置、および実定化した法学との関係について
 歴史的・政治的研究
 ドイツ体制批判
『ヘーゲル初期論文集成』解題
ヘーゲル略年譜
あとがき
人名索引

★発売済。「あとがき」によれば本書は「『精神現象学』刊行までの(年代的にはおよそ1795年から1807年までの)論文をおさめている。『精神現象学』は、哲学はもとより自然科学、歴史、芸術、政治、宗教といったじつに多彩な領域における西洋の知的遺産を弁証法という一貫した論理のもとに鳥瞰させてくれる画期的な著作だが、それを可能にしたのは青年時代の思索の積み重ねである。そこで本書は「Ⅰ 哲学論文」、「Ⅱ 宗教論文」、「Ⅲ 歴史・政治・社会論文」の三章を設けて、青年ヘーゲルの知的活動をできるかぎり多方面にわたって収録するように努めた」とのことです。また、未刊草稿である「キリスト教の精神とその運命」は「それに含まれる草稿群の執筆年代にかなりのばらつきがあり、ヘーゲル自身がまとまった著作を計画していたとは考えられないために、あえて二つに分けて「ユダヤ人の歴史と宗教」と「イエスの教えとその運命」とした」とのことです。初期ヘーゲルの著作群については複数の訳書がありますが、ここにまた刮目すべき新訳が加わったことになります。

★ヘーゲルの新訳は今月もう一冊、『美学講義』(寄川条路監訳、石川伊織・小川真人・瀧本有香訳)が法政大学出版局さんよりまもなく発売予定です。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

悪しき愛の書』フェルナンド・イワサキ著、八重樫克彦/八重樫由貴子訳、作品社、2017年4月、本体2,400円、四六判上製247頁、ISBN978-4-86182-632-0
群島と大学――冷戦ガラパゴスを超えて』石原俊著、共和国、2017年3月、本体2,500円、四六判並製276頁、ISBN978-4-907986-34-6
謀叛の児――宮崎滔天の「世界革命」』加藤直樹著、河出書房新社、2017年4月、本体2,800円、46変形判上製352頁、ISBN978-4-309-24799-1
痛みと感情のイギリス史』伊東剛史/後藤はる美編、東京外国語大学出版会、2017年3月、本体2,600円、四六判上製368頁、ISBN978-4-904575-59-8
ゾンビ学』岡本健著、人文書院、2017年4月、本体2,800円、4-6判並製340頁、ISBN978-4-409-24110-3
アジアの思想史脈――空間思想学の試み』山室信一著、人文書院:シリーズ・近現代アジアをめぐる思想連鎖、2017年4月、本体3,400円、4-6判上製376頁、ISBN978-4-409-52065-9
アジアびとの風姿――環地方学の試み』山室信一著、人文書院:シリーズ・近現代アジアをめぐる思想連鎖、2017年4月、本体3,400円、4-6判上製392頁、ISBN978-4-409-52066-6

★『悪しき愛の書』は発売済。原書はペルー版『Libro de mal amor』(Alfaguara, 2006)です。フェルナンド・イワサキ(Fernando Iwasaki Cauti, 1961-)はペルーの日系小説家。既訳書に『ペルーの異端審問』(八重樫克彦/八重樫由貴子訳、新評論、2016年7月)があり、同書には筒井康隆さんによる巻頭言、バルガス・リョサによる序文が寄せられていました。『悪しき愛の書』は訳書第二弾であり、全十章構成の小説です。目次詳細は書名のリンク先をご覧下さい。三つの序文が収められているほか(スペイン版第三版・メキシコ版初版2011年への序文、スペイン版第二版・ペルー版初版2006年への序文、スペイン語版初版2001年への序文)、2006年版に収められたリカルド・ゴンサレス・ビヒルによる解説が訳出されています。

★『群島と大学』は発売済。著者の石原俊(いしはら・しゅん:1974-:明治学院大学社会学部教員)さんには歴史社会学と同時代分析の二領域でこれまで上梓されてきた『近代日本と小笠原諸島』『〈群島〉の歴史社会学』『殺すこと/殺されることへの感度』などの単独著がありますが、今回の新刊はそれらに収録されてこなかった文章のなかから大小約20本をセレクトし、大幅に加筆修正・再構成したものだそうです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。特に第三部「大学という現場──グローバリズムと国家主義の攻囲のなかで」は大学の先生方の著訳書を刊行したり販売したりしている出版人や書店人は読んでおいた方がいいと感じました。なお、本書は昨秋逝去された道場親信さんに捧げられています。

★『謀叛の児』はまもなく発売。出版社勤務のご経験もおありのノンフィクション作家、加藤直樹(かとう・なおき:1967-)さんによる、話題作『九月、東京の路上で――1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから、2014年)に続く単独著第二弾であり、「世界革命としての中国革命」(15頁)を標榜した宮崎滔天をめぐる評伝です。帯には安藤礼二さんと酒井隆史さんによる推薦文あり。「滔天が復活する」(安藤さん)、「滔天像を一新する驚嘆すべき書」(酒井さん)と。加藤さんは滔天を「いかなる意味でも右翼ではない」(11頁)と評し、アジア主義との見方にも疑義を呈します。「滔天は、独自の深い思索によって日本と中国、世界の行方を見つめ続けた人物であり、その射程の長さには驚くべきものがある」(14頁)。

★『痛みと感情のイギリス史』は編者の伊東さんによる巻頭の「無痛症の苦しみ」によれば、「近世から現代のイギリス史の中に六つの舞台を設定し、個々の具体的な事例を通じて痛みの歴史性を明らかにする。その六つの章を表すキーワードはそれぞれ、Ⅰ「神経」、Ⅱ「救済」、Ⅲ「情念」、Ⅳ「試練」、Ⅴ「感性」、Ⅵ「観察」である」と。収録論文は版元ウェブサイトで公開されています。痛みをめぐる文化史であり、感情史というユニークな分野の研究成果です。

★最後に人文書院さんの新刊3点です。『ゾンビ学』は「世界初、ゾンビの総合的学術研究書」と帯文に謳われています。「映画、マンガ、アニメ、ドラマ、小説、ゲーム、音楽、キャラクターなど400以上のコンテンツを横断し、あらゆる角度からの分析に挑んだ、気鋭による記念碑的著作」とも。書名のリンク先では目次詳細が公開されているほか、「はじめに」「第1章」「付録:資料のえじき―ゾンビな文献収集」をPDFで立ち読みすることができます。著者の岡本健(おかもと・たけし:1983-)さんは、奈良県立大学地域創造学部准教授。ご専門は観光学で、既刊の著書に『n次創作観光――アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性』(NPO法人北海道冒険芸術出版、2013年2月)などがあります。

★山室信一さんの『アジアの思想史脈』『アジアびとの風姿』はまもなく発売。「近現代アジアをめぐる思想連鎖」というシリーズの二巻本になります。『アジアの思想史脈』の「はじめに」に曰く、この二巻本は「国内外での講演記録などのうちから、割愛した箇所やもう少し説明を要すると気がかりだった箇所などを補訂したものです。いえ、補訂という以上に、書き下ろしといえるほど全面的に書き改めたものがほとんどです」とのこと。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

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# by urag | 2017-04-23 00:38 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)